「シーテッドローイングってどこの筋肉を鍛えるの?」「シーテッドローイングの縦と横のグリップはどう違うの?」「どこに向かって引けばいいの?」
シーテッドローイングに関する疑問はさまざまです。
この記事では、シーテッドローイングの基本情報、理想的な動作、鍛えることができる部位、効果、さらに効果的なトレーニングを行うためのポイントを紹介しています。
ぜひ、参考にしてみてください。
1.シーテッドローイングとは
シーテッドローイングはシートに座り手前にあるマシンのハンドルを自分のほうに引っ張ることで背中を鍛える種目です。シーテッドローイングで鍛えることができるのは、おもに背中の上側の上背部と呼ばれるところです。
上背部には、逆三角形の身体をつくるために必要な広背筋や背中の広がりを強調する大円筋、背中のでこぼこをつくる僧帽筋などがあり、身体のシルエットを変えることができる筋肉が数多く存在します。シーテッドローイングではそういった筋肉に強い刺激を与えることができます。
1ー1.シーテッドローイングは正しい姿勢がとりやすい
シーテッドローイングは、他の上背部の種目に比べて正しい姿勢がとりやすいことが特徴です。同じ上背部の種目であるベントオーバーローに比べると、シートに座るだけで股関節を固定することができるので姿勢をとるのが楽になります。
股関節の位置が安定していることで背骨や膝関節の微調整が行いやすく、正しい姿勢がとりやすくなります。ベントオーバーローだと頭・背骨・股関節・膝関節のすべてが整っていないと上背部を上手く鍛えることができません。シーテッドローイングであれば、比較的簡単に上背部を鍛えることができます。
1ー2.シーテッドローイングは軌道をコントロールしやすい
シーテッドローイングは、ベントオーバーローのような他の上背部の種目に比べて、軌道をコントロールしやすいことが特徴です。シーテッドローイングはその名のとおり、座って行う種目です。座って行う種目なので目線や姿勢がブレにくく、軌道をコントロールしやすいことがメリットです。
軌道をコントロールしやすいことでいろいろなアレンジが効くのもシーテッドローイングの特徴です。みぞおちとへその真ん中というベースの軌道から少しズラすことで違った刺激を筋肉に与えることができます。
1ー3.シーテッドローイングは胴体部にも刺激を入れることができる
シーテッドローイングは、他のトレーニングマシンと違って胴体部にも刺激を入れることができます。シーテッドローイングは水平な力の向きのベントオーバーローのようなもので胴体部の負荷を減らすような仕組みはありません。ただ、シーテッドローイングはシートがあることにより姿勢がとりやすいだけで、負荷のかかり方自体はシーテッドローイングとベントオーバーローとは大きな違いはありません。
なので、シーテッドローイングを行うことで胴体部にも刺激は入ります。腰が痛い人がシーテッドローイングを行うには注意が必要です。
2.シーテッドローイングのグリップのバリエーション
シーテッドローイングのグリップには大きく分けて3種類のものがあります。それぞれの特徴について解説します。
2ー1.上背部に刺激を与えやすいパラレルグリップ
手のひらを向かい合わせて握るパラレルグリップは上背部に強い刺激を与えることができることが特徴です。なぜなら、パラレルグリップがもっとも身体の近くまでケーブルを引くことができるからです。上背部の筋肉を強く収縮させたい人はパラレルグリップを採用しましょう。
パラレルグリップでのシーテッドローイングは胸が張りやすいので初心者でも扱いやすいことも特徴です。シーテッドローイングを始める人はパラレルグリップから始めましょう。
2ー2.たくさんの筋肉を動員できるオーバーハンドグリップ
バーを上から持つオーバーハンドグリップの特徴はたくさんの筋肉を動員できることです。オーバーハンドグリップは他のグリップに比べて肩や肘を柔らかく使うことができます。
肩や肘が柔らかく動くとたくさんの筋肉を使うことができ、多くの筋肉をバランスよく鍛えることができるようになります。多くの筋肉を鍛えることができるので、シーテッドローイングで多くの筋肉を鍛えたい人ははオーバーハンドグリップを試してみましょう。
オーバーハンドグリップでのグリップ幅は肩幅に人差し指が来るぐらいを目安にしましょう。アタッチメントによってそのグリップ幅で持てないときはなるべく肩幅に近い幅で持ちましょう。
2ー3.肩にやさしく腕に効くアンダーハンドグリップ
バーを下から持つアンダーハンドグリップは、肩関節にやさしく腕の筋肉に刺激がいきやすいことが特徴です。アンダーハンドグリップでバーを持つことで、肩が一定の位置に収まるようになり肩の負担が少なくなります。
そして、肩が動かない分腕に負荷が移り、腕の筋肉に強い刺激が入ります。四十肩などで肘を高く上げることが難しい人はアンダーハンドグリップにすると痛みなく行うことができます。
アンダーハンドグリップでのグリップ幅は広くても肩幅におさまるようにしましょう。そうしないと、肘に大きなストレスがかかり怪我につながります。
3.シーテッドローイングの理想的な動作
ケーブルでのシーテッドローイングは軌道の自由が効くぶん正確にコントロールしないと効果が半減します。ケーブルでのシーテッドローイングの理想的な動作について解説します。
3ー1.シーテッドローイングのセッティング(開始時)での3つのポイント
シーテッドローイングのセッティングでのテーマは姿勢をつくることです。セッティングのときのポイントについて解説します。
シートに座りフットスタンドに足を置く
シーテッドローイングを行うとき、最初にすることはシートに座ってフットスタンドに足を置くことです。このときに左右のズレがあるとシーテッドローイングの動作中、常にズレてしまいます。左右のズレがなく、バランスがとりやすいポジションをこのときに見つけておきましょう。
膝を曲げてハンドルを握る
シーテッドローイングのハンドルを握るとき、膝を曲げてハンドルを握るようにしましょう。膝を伸ばしたままハンドルを握ると、引くときに腰に必要以上のストレスがかかり怪我をしてしまうおそれがあります。そうならないために、ハンドルを握るときは膝を曲げてから握りましょう。
腕を伸ばしたまま脚を伸ばしてケーブルを引っ張る
シーテッドローイングのスタートポジションに入る前に、腕を伸ばしたまま脚を伸ばしてケーブルを引っ張るようにしましょう。腕を曲げたままケーブルを引っ張ると腕が先に疲れてしまい、シーテッドローイングの効果を半減させてしまうおそれがあります。
腕を伸ばしたまま脚を伸ばすことで、スタートポジションで姿勢を整えやすくなります。効果的なシーテッドローイングを行うために、腕を伸ばしたまま脚を伸ばすようにしましょう。
3ー2.シーテッドローイングのスタートポジションでの3つのポイント
シーテッドローイングのスタートポジションのテーマは姿勢をキープすることです。そのためのポイントを紹介します。
腕を伸ばしたまま膝を少しだけゆるめる
シーテッドローイングを行う直前に、腕を伸ばしたまま膝を少しだけゆるめるようにしましょう。膝をゆるめることで太ももの裏の疲労を軽減することができます。また、膝をゆるめることで股関節に余裕が生まれて腰をまっすぐにしやすくなります。
息を大きく吸い込み背すじをまっすぐにする
膝をゆるめたら、息を大きく吸い込んで背すじをまっすぐにしましょう。息を大きく吸い込むことで背すじをまっすぐにすることができ、背すじをまっすぐにすることで肩の位置が整い、負荷が上背部に集中するようになります。
直角より頭ひとつぶん後ろに倒れる
シーテッドローイングのスタートポジションに入るとき、直角より頭ひとつぶんだけ後ろに倒れるようにしましょう。なぜなら、ケーブルに対して直角に座ると背すじをを伸ばしていても腰への負担は大きくなるからです。腰の負担を軽減するために、直角よりも頭ひとつぶん後ろに倒れるようにしましょう。
3ー3.シーテッドローイングのフィニッシュポジションでの5つのポイント
シーテッドローイングのフィニッシュポジションでは、いかに背中の筋肉を収縮させるかがテーマです。フィニッシュポジションでのポイントを解説します。
みぞおちとへその真ん中にグリップが来るようにする
シーテッドローイングのフィニッシュポジションでグリップがみぞおちとへその真ん中に来るようにしましょう。そうすることで、背中の筋肉をバランスよく鍛えることができます。
フィニッシュポジションでグリップがみぞおちに近いと首の後ろの僧帽筋メインのものになります。このとき、広背筋への刺激がガクッと落ちるのでシーテッドローイングを始めたてのときは避けておいた方が無難です。
また、フィニッシュポジションのグリップがへそに近過ぎると、背中の寄せが甘くなったり手首の負担が増したりするので、フィニッシュポジションではみぞおちとへその中間にグリップが来るようにしましょう。
肘をできる限り後ろに引く
背すじをまっすぐにしたまま肘をできる限り後ろに引くことで背中の筋肉を強く収縮させることができます。このとき、背中の筋肉をななめ下に集めるイメージを持つと収縮はより強くなります。
あごを引く
シーテッドローイングのフィニッシュポジションではあごを引くようにしましょう。あごを引いたままにすることで引く力を強くすることができ、フィニッシュポジションで力が抜けてしまうのを防ぐことができます。可動域の端の部分はどうしても力が抜けやすいので、あごを引くことで力の抜けを予防します。
あごと鎖骨の間にテニスボールが挟まるぐらいにあごを引きましょう。そうすることでフィニッシュポジションでの力の抜けを防ぐことができます。
背すじをまっすぐに保つ
シーテッドローイングのフィニッシュポジションでは背すじをまっすぐに保つようにしましょう。シーテッドローイングでは高重量になってくると背すじが曲がってきます。そうなると肩や腕に負荷が移ってしまい効果的なトレーニングできなくなってしまいます。なので、フィニッシュポジションでも背すじはまっすぐに保ちましょう。
頭の位置は同じ位置でキープする
シーテッドローイングでは回数を重ねても頭の位置は同じ位置でキープするようにしましょう。シーテッドローイングでよくある誤りが、1回ごとに頭の位置がずれてフォームがバラバラになってしまうことです。フォームの安定のために、フィニッシュポジションのときの頭の位置は同じ位置でキープするようにしましょう。
3ー4.シーテッドローイングのセッティング(終了時)での2つのポイント
シーテッドローイングは終わるときも気をつける必要があります。セッティングでのポイントを解説します。
息を吸い込んでからウエイトスタックを下ろす
シーテッドローイングはウエイトスタック(重り)を下ろすときに腰に強い負荷がかかります。そのときに息を吸い込んでいることで腰の負担を減らすことができます。ウエイトタックを無造作に下ろすと怪我をしてしまう恐れがありますので、息を吸い込んでから慎重にウエイトスタックを下ろしましょう。
腕を伸ばした状態で膝を大きく曲げる
シーテッドローイングを終わるときは、腕を伸ばした状態で膝を大きく曲げて下ろすようにしましょう。そうすることで腰に負荷が収集することを防ぐことができます。膝を伸ばしたまま下ろすと、腰に大きなストレスがかかり怪我につながります。そうならないために膝を曲げて下ろすようにしましょう。
4.シーテッドローイングで鍛えることができる部位
理想的な動作がわかったところで、シーテッドローイングで鍛えることができる部位について解説します。
4ー1.逆三角形の身体をつくる広背筋
シーテッドローイングで鍛えることができる部位の代表格が広背筋です。広背筋は背骨や骨盤から二の腕にかけて付いている筋肉で、逆三角形のシルエットをつくるうえで欠かすことができない筋肉です。シーテッドローイングの軌道がみぞおちに近づくと広背筋の刺激が少なくなるので、広背筋を狙うときは常に軌道を安定させましょう。
4ー2.背中の広がりを強調する大円筋
シーテッドローイングでは大円筋も鍛えることができます。大円筋は肩甲骨から二の腕にかけて付いている筋肉で、肩甲骨の下半分の盛り上がりを強調したり背中の広がりを強調したりすることができる筋肉です。肘を後ろに引くことで強い刺激が入るので、大円筋を狙うときはしっかりと肘を引きましょう。
4ー3.背中のでこぼこをつくる僧帽筋
シーテッドローイングでは僧帽筋も鍛えることができます。僧帽筋は首や背中から肩にかけて付いている大きな筋肉で、背中のでこぼこをつくるうえで必要な筋肉です。シーテッドローイングの通常の軌道であれば僧帽筋の下のほうを、軌道をみぞおちよりにすると僧帽筋の上のほうを鍛えることができます。
ちなみに、僧帽筋の下のほうを鍛えることで胸郭が広がり姿勢が良くなります。姿勢が良くなりたい人は僧帽筋下部を鍛えましょう。
4ー4.力こぶを強調する上腕二頭筋
シーテッドローイングの動作で上腕二頭筋も鍛えることができます。上腕二頭筋は肩のまわりから前腕まで付いている筋肉で、肘を曲げることで刺激を受ける筋肉です。上腕二頭筋は力こぶの筋肉なので、筋量が上がることで力こぶも大きくなります。
シーテッドローイングの中でも、手のひらが向かい合うようにして握るパラレルグリップや下から持つアンダーハンドグリップのときは上腕二頭筋の関与は大きくなります。
5.シーテッドローイングで得られる効果
ここではシーテッドローイングで得られる効果について解説します。
5ー1.逆三角形の身体をつくることができる
シーテッドローイングでは広背筋や大円筋を鍛えることができます。広背筋や大円筋は逆三角形の身体をつくるうえで欠かすことのできない筋肉です。シーテッドローイングをやり込むことで逆三角形の身体をつくることができます。
5ー2.身体の前後バランスを整えることができる
シーテッドローイングを行うことで身体の前後バランスを整えることができます。日常生活を意識せずに過ごしていると胸やお腹の筋肉といった身体の前側の筋肉が優先的に使われて猫背のような姿勢になっていきます。そこで、シーテッドローイングを行い身体の後ろ側の筋肉も使うことで前後のバランスを整えることができます。
特にベンチプレスのし過ぎで肩が内側に巻き込んでいる人はシーテッドローイングをやり込むことをおすすめします。シーテッドローイングを行うことで、ベンチプレスのし過ぎで崩れた身体の前後バランスが整い、内側に巻き込んでいた肩の位置が戻って肩への負担を減らすことができるようになります。
6.シーテッドローイングをさらに効果的に行うためのポイント
ここからは通常のシーテッドローイングをさらに効果的に行うためのポイントを解説します。
6ー1.ケーブルの引く軌道を変える
シーテッドローイングマシンで、ケーブルの軌道を変えることで刺激を変えることができます。ケーブルの軌道をみぞおちに近づけることで、僧帽筋上部メインのシーテッドローイングに変えることができます。
他にも、ケーブルの軌道を少しへそ側にズラしてアンダーハンドグリップで行うことで通常のシーテッドローイングと違った刺激を筋肉に与えることができます。自分に合った軌道を探してみましょう。
6ー2.グリップを変える
いつもとは違うグリップで行うことで違った刺激を筋肉に与えることができます。また、同じ持ち方でも指一本ぶんほど変えるだけで刺激は大きく変わります。
6ー3.背中をあえて丸める
シーテッドローイングのスタートポジションでは背すじをまっすぐにして行うのが一般的ですが、慣れてきたらみぞおちよりも上をあえて丸めてから引くことで可動域を大きくしてトレーニング効果を高めることができます。この方法で行うときはフィニッシュポジションの段階で頭の位置を常に同じところに置くように心がけましょう。
もちろん、背中をあえて丸める方法は腰への負担は大きくなるので、効果が大きいが怪我のリスクも大きいハイリスクハイリターンな方法といえます。シーテッドローイングに慣れてきたら行いましょう。
さいごに
シーテッドローイングは簡単な種目と思っている人が多い種目です。ただ、ちょっとしたポイントをおさえないと目的に沿ったトレーニングができない奥が深い種目でもあります。
シーテッドローイングは高重量を扱おうと思えば、マシンにもよるのですが、フルスタックでも全然扱うことはできる種目です。ただ、高重量を扱うよりもほどほどの重量のほうが広背筋に効いた、なんてことが起こりやすい種目です。
シーテッドローイングはやり込むことで新しい発見がある種目だと思います。シーテッドローイングをやり込んで様々な発見をしていきましょう。応援しています。
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