大腿四頭筋のトレーニングはわかったつもりで進めていてもあまり効果が出ません。大腿四頭筋について正しく知ることで大腿四頭筋を効率的に発達させることができるようになります。
ここでは、大腿四頭筋の基本情報、大腿四頭筋を発達させるための4つのポイント、大腿四頭筋を発達させるのにおすすめのトレーニング種目、メニューの作り方を紹介しています。ぜひ、参考にしてみてください。
1.鍛える前に知ってておきたい大腿四頭筋の基本情報
本格的に大腿四頭筋を鍛える前に大腿四頭筋の基本情報をおさえておきましょう。
1ー1.大腿四頭筋の起始と停止
大腿四頭筋は太ももの前側についている筋肉で、太ももを大きくするためには欠かせない筋肉です。大腿四頭筋は細かく分けると、大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋の4つに分けることができます。
外側広筋や内側広筋、中間広筋は大腿骨から筋肉が始まって(起始)おり、すねの骨である脛骨までついています。これらの筋肉は膝を伸ばす(膝関節の伸展)はたらきを持っています。おもに太もも全体のボリュームを出すのに必要な部位です。
それに対し、大腿直筋は骨盤にある下前腸骨棘から筋肉が始まってて脛骨までついている二関節筋です。なので、大腿直筋は膝を伸ばすはたらきだけでなく股関節を曲げる(股関節の屈曲)はたらきも持っています。大腿直筋に刺激を与えたいときは股関節を曲げる動きも伴うようにしましょう。大腿直筋は太ももの立体感をつくるのに必要な部位です。
1ー2.大腿四頭筋のはたらき
大腿四頭筋のはたらきは上でも述べたとおり、膝を伸ばすことと股関節を曲げることです。ハイバースクワットやシシースクワットのような膝を伸ばす種目で太もものボリュームを出し、大腿直筋狙いのレッグエクステンションのような股関節を曲げる種目で太ももの立体感をつくるといった形で2つのはたらきを分けて行うようにしましょう。
2.大腿四頭筋を発達させるための4つのポイント
大腿四頭筋を効率的に発達させるためには4つのポイントがあります。大腿四頭筋を発達させるためのポイントを紹介します。
2ー1.膝関節をメインに使う
大腿四頭筋を発達させるためには、膝関節をメインに使う意識を持ってトレーニングを行うようしましょう。大腿四頭筋は、股関節を曲げるはたらきもありますが膝関節を伸ばす働きがメインの筋肉です。膝関節を優先的に使うことが大腿四頭筋を効率的に発達させるためのポイントです。
2ー2.膝とつま先の向きをそろえる
大腿四頭筋に刺激を与える種目を行うときは膝とつま先の向きをそろえて行うようにしましょう。膝とつま先の向きがズレていると大腿骨と脛骨・腓骨に捻れが生じて膝関節のストレスが必要以上に大きくなってしまうからです。
ただでさえ大腿四頭筋のトレーニングで膝関節まわりへの負担が大きいのに、大腿骨と脛骨・腓骨に捻れがあると膝の靭帯への負担が甚大なものになってしまい危険です。怪我のリスクをおさえるために、膝とつま先の向きをそろえてトレーニングを行うようにしましょう。
つま先と膝の向きをそろえるとき、膝蓋骨と足のどの指の向きをそろえるかをあらかじめ決めておくとフォームが決まりやすいのでおすすめです。ちなみに、筆者は人差し指でそろえています。
2ー3.股関節の柔軟性を確保する
大腿四頭筋のトレーニングを行う前には股関節の柔軟性を確保する必要があります。股関節の柔軟性を確保することでハイバースクワットやシシースクワットを行うときの膝の曲げ伸ばしが股関節の癒着なしにスムーズに行えるようになります。クアッドラプスロッキングを行うことで股関節の柔軟性を確保することができます。
- 四つん這いになる
- 背中から腰をまっすぐにしたまま腰を後ろに引く
- 腰が曲がらない程度に引けるところまで腰を引く
- 動作を切り返す
この動作を行うことで股関節の柔軟性を確保することができ、大腿四頭筋のトレーニングが行いやすくなります。クアッドラプスロッキングは10回を1セット行いましょう。1回につき6秒ほどかけてゆっくり行うことでクアッドラプスロッキングの効果を高めることができます。
2ー4.膝上のショートパンツを着用する
大腿四頭筋メインのトレーニングを行うときは、可能な限り膝上の丈のショートパンツを着用するようにしましょう。膝上のショートパンツを着用して行うことでハイバースクワットのようなしゃがむ動作がやりやすくなります。膝を覆うような丈のパンツだと、パンツの繊維が引っ掛かりフォームのブレを生んでしまうからです。
また、膝上の丈のショートパンツを履いて行うことで大腿四頭筋の動きが見えるようになるので意識がしやすくなったり、太ももがあらわになることで大腿四頭筋を発達させなければならないという気持ちが芽ばえたりするので、大腿四頭筋のトレーニングを行うときは膝上のショートパンツを着用するようにしましょう。
2ー5.1セットの回数を11回までに抑える
大腿四頭筋の筋肉量を増やしたいのであれば、1セットの回数を11回までに抑えるようにしましょう。
レッグプレスとスクワット、レッグエクステンションの3種目を3~5回4セットでインターバル3分で行うのと、9~11回3セットをインターバル2分で行うのとでは同等の筋肥大効果があったという研究結果が出ており、それよりも回数の多い20~28回2セットでインターバル1分で行った場合筋肥大効果があまりなかったという結果が出ています。(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12436270)
3.大腿四頭筋を発達させるのにおすすめの種目
ここからは大腿四頭筋を発達させるのにおすすめの種目を紹介します。
3ー1.ハイバースクワット
大腿四頭筋のトレーニングで最初に行いたいのが、首の付け根でバーを担ぐハイバースクワットです。ハイバースクワットは大腿四頭筋の種目の中でもっとも高重量を扱うことができて大腿四頭筋全体に強い刺激を与えることができる種目です。(https://waseda.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=24269&file_id=20&file_no=3)
また、ハイバースクワットはフリーウエイト種目なので、筋肉の繊維の動員数がハックスクワットやレッグプレスに比べて多いので、肩の状態が悪くてハイバースクワットができない人でなければハイバースクワットを選択するようにしましょう。
方法は以下のとおりです。
- ラックとセイフティを設定する
- 息を吸い込んでバーを首の付け根に乗せてまっすぐ立つ
- 後方に2~5歩歩いて足場を確保する
- 息を吸い込んで膝を前に出すようにしゃがむ
- 膝よりも股関節が下に来るまでしゃがんだら動作を切り返す
- くるぶしと膝と股関節とバーの位置を横から見て一直線にする
大腿四頭筋狙いのハイバースクワットを行うとき、上体の角度を60度よりも小さくしないようにしましょう。それよりも上体の角度を小さくしてしまうとハイバーで担いでいる以上腰への負担が一気に大きくなります。セット後に腰の張りを感じたら上体の角度を60度程度に抑えることができる重量まで下げるようにしましょう。
詳しい内容はスクワットの記事を参考にしてみてください。
ハイバースクワットは研究結果(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12436270)によると3~11回であれば同等の筋肥大効果が期待できるのですが、ハイバースクワットは回数を重ねることで呼吸が苦しくなりフォームがズレやすくなる種目なので、回数を少なくしたほうが効果的なトレーニングができます。
私の場合、ハイバースクワットを1セット10回で行っていたときよりも1セット5回でしていたほうが脚が太くなりました。なので、ハイバースクワットを行うときは1セット5回を5~6セット行うことをおすすめします。
3ー2.ハックスクワット
ハックスクワットも大腿四頭筋全体に強い刺激を与えることができる種目です。ハックスクワットはハーバースクワットの代替種目として行うことができます。肩の状態によってハイバースクワットを行うことが難しい人はハックスクワットで行うといいでしょう。方法は以下のとおりです。
- ステップに足を腰幅程度に置いてパッドを肩の上に乗せる
- 息を吸い込んでから膝を伸ばして安全装置を外す
- 殿部に力を入れながら膝を曲げていく
- 膝を曲げ切ってから動作を切り返す
ハックスクワットのコツは足の裏の前側でステップを押し込む感覚を持つことです。足の裏の前側で押すことで膝関節がはたらきやすくなり、大腿四頭筋のトレーニングに適したフォームに近づけることができます。
詳しくはハックスクワットの記事を参考にしてみてください。
ハックスクワットは、ハイバースクワットと違い、姿勢をコントロールすることにあまり気を配らなくても行うことができるため回数を重ねてもトレーニングのフォームが崩れることはありません。また、ハックスクワットを5回程度の低回数で行っても個人的には大腿四頭筋に効いている感じがしないので、10回3~5セットで行うことをおすすめします。
3ー3.レッグプレス
レッグプレスでも大腿四頭筋のトレーニングを行うことができます。レッグプレスで大腿四頭筋のトレーニングを行う際はステップの下側に足を置いて行うようにしましょう。そうすることで股関節よりも膝関節の動きが大きくなり、レッグプレスを大腿四頭筋のためのトレーニングに変えることができます。
レッグプレスでも、ハイバースクワットやハックスクワットと同様、大腿四頭筋全体に刺激を与えることができます。方法は以下のとおりです。
- シートに腰をつけて座る
- ステップに足を腰幅程度に広げて置く
- 膝を包むようにして持つ
- 膝を手で押しつつ膝を伸ばす
- 体勢を整えてハンドルを握る
- シートに腰をつけたまま膝を曲げていく
- 膝を伸ばし切ったら動作を切り返す
レッグプレスで大腿四頭筋を鍛える際、シートから腰が離れて骨盤が後傾してしまいやすくなるので注意をしましょう。骨盤が後傾したままレッグプレスを続けてしまうと腰へのストレスが蓄積して怪我につながるからです。レッグプレスを行うときは常にシートに腰をつけて行うようにしましょう。
詳しくはレッグプレスの記事を参考にしてみてください。
レッグプレスは体勢が非常にとりやすいので回数を多くしてもフォームが崩れる心配はありません。なので、10回を3~6セットほど行うようにしましょう。レッグプレスもハックスクワット同様、回数が少なすぎると大腿四頭筋に効いている感じがしないので1セット10回を3~5セットほど行うようにしましょう。
3ー4.シシースクワット
大腿四頭筋のトレーニングでハイバースクワットの次に行いたい種目がシシースクワットです。シシースクワットは大腿四頭筋のトレーニング種目の中で珍しいストレッチ種目で、自体重のみでも大腿四頭筋に強い刺激を与えることができます。方法は以下のとおりです。
- 腰骨の高さのところを片方の手で掴む
- 掴んだところと母指球が横から見て一直線上に並ぶようにする
- 膝を前に出しながら股関節を曲げていく
- 骨盤を後傾させて大腿四頭筋がストレッチするのを感じる
- 膝を曲げ切ってから動作を切り返す
シシースクワットのコツは膝をゆっくりと前に出し続ける感覚を持つことです。膝を曲げ切るまでに4秒かけて行うと大腿四頭筋を強烈に刺激することができます。
シシースクワットは自重で行う種目なので低回数過ぎると大腿四頭筋への刺激が足りません。なので10回を2~3セット行うことをおすすめします。
3ー5.レッグエクステンション
レッグエクステンションは大腿四頭筋のトレーニングの中で欠かすことができない種目です。なぜなら、レッグエクステンションは、大腿四頭筋のはたらきである膝を伸ばすことと股関節を曲げることを同時に行うことができて大腿直筋に集中的に刺激を与えることができる極めてまれな種目だからです。
また、レッグエクステンションは収縮しているときに強い刺激が入る大腿四頭筋のコントラクト種目です。POF法で効率よく大腿四頭筋を大きくしたいのであればレッグエクステンションは必須の種目です。ここでは特に大腿直筋に刺激を与える方法を紹介します。
- シート設定を行う
- ハンドルを持ち腰を斜め前に突きだす
- 膝を伸ばすと同時に上体を前に倒す
- へそを太ももに近づけながら脚を伸ばし切る
- 重量をコントロールしながら②の状態に戻していく
詳しくはレッグエクステンションの記事を参考にしてみてください。
レッグエクステンションは10回5~6セット行うことをおすすめします。レッグエクステンションも回数が少ないと大腿四頭筋を追い込みにくいので、1セットの回数を10回程度にすることをおすすめします。また、レッグエクステンションは大腿四頭筋の〆の種目なのでセット数は多めに行うことをおすすめしています。
レッグエクステンションは使用重量は伸ばしていきやすい種目ですが、膝関節へのストレスを考慮して使用重量が体重の半分の重さまで来たら大腿四頭筋の収縮を強く意識するほうにシフトするようにしましょう。
4.大腿四頭筋のトレーニングのメニュー例
ここからは大腿四頭筋メインのトレーニングのメニュー例を紹介します。
・シシースクワット 10回 3セット(インターバル1~3分)
・レッグエクステンション 10回 5~6セット(インターバル30秒)
クアッドラプスロッキングで関節の柔軟性を確保してから、ハイバースクワットを行うことで安定したフォームで大腿四頭筋を鍛えることができます。そこからシシースクワットで四頭筋にストレッチをかけて、最後にレッグエクステンションで収縮をかけることで大腿四頭筋の筋肥大を促します。
私はこれを週2回行うようにしています。スクワットの1セットの回数が5回なので腰への負担が蓄積しにくく週2回でも行うことができます。大腿四頭筋を大きくしたいのであれば週2回の頻度をおすすめします。
まとめ
大腿四頭筋のトレーニングを効率的に行うためには、大腿四頭筋の構造やはたらきを理解して、股関節の可動域を確保してから行うようにしましょう。
膝とつま先の向きをそろえたり、膝関節をメインに使うといったテクニックはやっていって身につけるものですが、膝上のショートパンツを用意することなどはすぐにできます。できることから取り組みましょう。ぜひ、頑張ってみてください。応援しています。
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