ハックスクワットは安全性の高いスクワット種目です。
一般的にはハックスクワットマシンを用いてトレーニングを行います。
しかしながら、スクワットやレッグプレスといった種目との違いや正しい手順がわからないという方も少なくないのではないでしょうか。
これに加えて、ハックスクワットはスミスマシンやバーベルで代替することも出来るため、本記事ではこれらについて詳しく解説します。
1.ハックスクワットとは
ハックスクワットとは、一般的にハックスクワットマシンを用いて行うスクワット種目の一つです。
ハックスクワットは、主に大腿四頭筋を鍛えるのに適した種目です。
このレッグプレスやスクワットといった種目との違いがわからないという方も少なくないのではないでしょうか。
1-1.ハックスクワットはバーベルスクワットとの違いは安全性が高いこと
ハックスクワットとバーベルスクワットなどとの違いは、安全性が高いことです。
一般的にフリーウエイトであるバーベルスクワットは、自由度が高い分危険な種目でもあります。
バーベルスクワットでは、腰を反らせすぎたりしてしまい、大きな怪我を招くこともあります。
一方でハックスクワットの場合には、マシンであることから動作の軌道は一定しています。これに加えて肩をパッドにつけて行うことにより、腰への負担は軽減されます。
このことから、バーベルスクワットよりは安定性の高い種目であることが言えます。
1-2.ハックスクワットとレッグプレスは可動域と重量に違いがある
ハックスクワットとレッグプレスには、可動域と取り扱いやすい重量において違いがあります。
ハックスクワットは、レッグプレスよりも重量を取り扱いにくいものの、マシンの移動範囲が大きいことから可動域を広くトレーニングを行うことが出来ます。
一方でレッグプレスの場合には、腰やお尻といった部位もパッドにつけて行うことから高重量を取り扱いやすいというメリットが挙げられます。
可動域を広くトレーニングを行いたい場合には、ハックスクワットをおすすめします。
1-3.ハックスクワットはバーベルスクワットとレッグプレスの中間的な種目
ハックスクワットは、バーベルスクワットとレッグプレスの中間的な種目です。
バーベルスクワット程腰への負担は大きくなく、レッグプレスよりも可動域は大きくなります。
このことから、大腿四頭筋をスクワットで鍛えたいという人にハックスクワットはおすすめです。
2.ハックスクワットの正しい手順
ハックスクワットは下記のような手順を踏んで行うことによって効果的に行えます。
2-1. パッドに背中と肩をくっつけて体を固定する
ハックスクワットを行う場合には、必ずパッドに背中と肩をしっかりとつけましょう。
パッドに背中と肩をくっつけることによって、上半身が固定されるため、安定したトレーニングを行うことが出来ます。
2-2. 両脚を肩幅程度に開きつま先をまっすぐに向ける
背中と肩をパッドにつけたら、両足を肩幅程度に開き、太ももがフットプレートと平行になる位置に足を置きます。
この足の位置は、トレーニングを実施する人の足の長さによって異なるため、プレートをつける前に必ず試技を行って調整しましょう。
2-3. ストッパーを外して膝の角度が90度になるまで両脚を曲げる
ハックスクワットを行う準備が出来たら、少し持ち上げてストッパーを外します。
ストッパーを外したら膝の角度が90度になるまで両足を曲げます。この時にしゃがみ込みすぎたり膝が内側に入ったり外側に向いたりしないようにすることで怪我のリスクを抑えることが出来ます。
また、しゃがみ込む際には背中や腰がパッドにつけることを徹底しましょう。
2-4. 両足が伸び切らないように立ち上がる
しゃがみ込んだ後には、両足が伸び切らないようになるまで立ち上がります。
両足が伸び切ってしまうことで、重量を筋肉ではなく関節で支えることになってしまうため、筋肉の緊張も解けてしまうだけではなく関節への負担もかかってしまうため、効果的なトレーニングが出来ません。
3.ハックスクワットにおける3つのポイント
3-1. パッドに背中と肩をしっかりくっつけることで安定性を高める
ハックスクワットの最大の特徴は、パッドがあることです。このパッドに背中と肩をしっかりとつけて行うことによって安定性の高いトレーニングが可能です。
このことによって上半身のブレがなくなり、腰への負担は少なくなるため安定性は高くなります。
3-2. 膝が外側や内側に向かないようにして怪我の予防をする
スクワットやレッグプレスと同じように、膝が外側や内側に向かないようにすることで、怪我のリスクを避けることが出来ます。
膝が外側に出てつま先が内側に入ってしまった場合には、ニーアウトトゥーインと言われる姿勢になり、半月板損傷や足関節内反捻挫などのリスクが存在します。
一方で膝が内側に入ってつま先が外側に出てしまった場合には、トゥーアウトニーインと言われる姿勢になり、半月板損傷や膝MCL損傷などの危険があります。
こうした怪我のリスクを未然に防ぐためにも、膝はひざ下に対してまっすぐにし、つま先の方向と膝のでる方向を合わせましょう。
3-3. 膝の角度が90度になるようにしゃがみ込むことで大腿四頭筋をメインに鍛える
ハックスクワットでは、膝の角度が90度になるまでしゃがみ込むことで股関節の動きを抑制し、大腿四頭筋をメインに鍛えることが出来ます。
なぜならば、しゃがみ込みすぎてしまうと骨盤が後傾してしまい、股関節の動きも加わってしまうことで、大腿四頭筋への関与が低くなってしまうためです。
ハックスクワットで大腿四頭筋を鍛えるのであれば、膝の角度は90度になるまでしゃがみ込むのがベストです。
4.ハックスクワットで効かせる筋肉を変える方法
ここまでは一般的な下肢全体を鍛えるための方法を紹介しました。
しかしながら、少しフォームを変えることによって、効かせる筋肉を変えることが出来ます。
4-1. つま先を外側に向けることで大腿四頭筋の内側に効かせやすい
ハックスクワットでつま先を外側に向けると、大腿四頭筋の中でも内側広筋を鍛えることが出来ます。
内側広筋は肥大化すると大腿四頭筋の中でも最も目立ちやすいため、ボディービルダーなどでも鍛える事の重要性が認知されています。
つま先を外側に向けてハックスクワットを行う場合には、膝の出す方向がつま先と同じようにしなければ怪我をする危険があるため注意が必要です。
4-2. 大腿四頭筋に強く効かせるならリバースハックスクワットがおすすめ
一般的なハックスクワットは、大腿四頭筋を中心にハムストリングスや大殿筋にも刺激が入りますが、大腿四頭筋に対してさらに負荷をかけたい場合には、リバースハックスクワットがおすすめです。
やり方としては、体をパッドに向い合せた状態で行います。
リバースハックスクワットは、一般的なスクワットにフォームが近いため、腰への負担は大きくなるものの、大腿四頭筋への負荷は高くなります。
足の位置は、体の真下にして行いパッドにつけるのは肩だけです。
その他はスクワットと同じように、膝をなるべく前に出さないようにして足重心は少し前重心で行います。
リバースハックスクワットは、バーベルスクワットとは異なり、軌道が安定しているため、通常のスクワットよりは安全性が高く、初心者でも効かせやすいことがおすすめポイントです。
4-3. ハムストリングスや大殿筋を鍛えるなら踵重心がおすすめ
ハックスクワットでハムストリングスや大殿筋を中心に鍛えるのであれば、踵重心で行う必要があります。
なぜならば、つま先重心で行ってしまうと、膝関節の屈曲が中心になるため大腿四頭筋に刺激が入りやすいです。
踵重心にすることによって、股関節主働の動作になることから、ハムストリングスや大殿筋に効果的になります。
5.ハックスクワットをスミスマシンで行う方法
ハックスクワットは、専用のマシンがあればベストですが、無い場合にもハックスクワットをすることが出来ます。
ハックスクワットマシンが無い場合の代替方法としては、スミスマシンを用いる方法があり、手順は下記の通りです。
5-1. ウエイトは少し軽めにセットする
スミスマシンでハックスクワットを行う場合には、ウエイトを軽めにセットしましょう。なぜならば、スミスマシンでハックスクワットを行うときには体が後傾します。
重いウエイトで実施してしまうと、足が滑って転倒する危険性があるのです。
ハックスクワットを行う際に初心者の人は目安として自分の体重程度で行いますが、スミスマシンで行う場合にはそれよりも10キロから20キロ程度軽くして行いましょう。
5-2. 膝を90度に曲げたときに太ももが平行になるような位置にストッパーを設定する
ハックスクワットをスミスマシンで行うときには、直立した時に身体よりも前に足を置き、膝を90度にした時に太ももが平行になるようにします。
トレーニングを始める前にあらかじめ足の位置とバーがどこまで下がるかを確認して、安全装置であるストッパーを必ずつけましょう。
目安としては、太ももが平行になる位置までしゃがみ込めるギリギリの場所にストッパーをセットすると良いです。
5-3. 手幅は肩幅より拳2つ分空ける
手幅は肩幅より拳2つ分程度空けて、バーをあまり握りこまないように意識しましょう。
バーを握りこんでしまうと手首や肘にも負担がかかってしまいます。
両手はバーを軽く持ち上げる程度で良いでしょう。
5-4. ハイバーで行う
ハックスクワットをスミスマシンで行う場合には、ハイバーポジションでバーを担ぎましょう。ハイバーで担ぐ方法としては、胸を張って肩の上に載せます。
ハイバーで担ぐことによって体の前傾を押さえてトレーニング出来るため大腿四頭筋に効かせやすくなります。
5-5. 椅子に座るようにしゃがみ込み膝の角度が90度になるまでしゃがむ
ハックスクワットをスミスマシンで行う場合には、足を前に出して行います。そのため太ももが床と平行になるのではなく、膝の角度が90度になるようにしゃがみ込むことが必要です。
床と平行になるところで持ち上げてしまうと、可動域が狭くなってしまい、効果的なトレーニングを行えません。
5-6. 膝が伸び切らないように持ち上げる
ハックスクワットをスミスマシンで行う時も膝が伸び切らないようにすることは重要です。
必ず膝が伸び切ってロックする前にバーを下げましょう。
6.ハックスクワットをバーベルで行う方法
ハックスクワットマシンが無い場合には、スミスマシンで行う他にもバーベルで行うことも出来ます。
手順は下記の通りです。
6-1. バーベルを床に置き踵を乗せるプレートを2枚置き大腿四頭筋に効かせやすくする
バーベルでハックスクワットを行うには、初めにバーベルを床に置きます。次に踵にプレートを敷きましょう。
バーベルでハックスクワットを行うときは、体の後ろでバーベルを挙げます。そのため、踵にプレートを敷かなければ転倒の可能性もある事に加えて大腿四頭筋に効かせにくくなってしまいます。
プレートを敷くことによって、膝関節主働になるため大腿四頭筋に効かせやすくなります。
6-2. 肩幅より少し狭くスタンスを取る
バーベルハックスクワットでは肩幅よりスタンスを狭く取りましょう。
こうすることでバーベルを持ちやすくするだけではなく、大腿四頭筋には効かせやすくなります。
6-3. バーベルのすぐ前に立ち踵をプレートに載せる
バーベルハックスクワットを行う際には、踵をプレートの上に載せましょう。
プレートが自分で用意できない場合には、マットの端っこなどを利用しても構いません。ただし、マットからバーベルが出ないように注意してください。
6-4. 手幅は肩幅程度にしてバーベルを握る
バーベルハックスクワットでは、手幅を肩幅程度にしてバーベルを握りましょう。
6-5. 裏太もも上部にバーベルをつけながら立ち上がる
バーベルハックスクワットの最大のポイントとしては、裏太もも上部に常にバーベルをつける事を意識しましょう。こうすることで軌道が安定し、大腿四頭筋に効かせやすいです。
6-6. 太ももが床と平行になるまでしゃがむ
バーベルハックスクワットにおいても、しゃがみ込みすぎないように注意しましょう。
しゃがみ込みすぎてしまうと、大腿四頭筋の関与ではなく、大殿筋やハムストリングスの関与が大きくなってしまいます。
太ももが床と平行になる程度までしゃがみ込むことで、大腿四頭筋に最大限の負荷をかけることが出来ます。
7.まとめ
ハックスクワットは、安全にスクワットをやりたい初心者にはおすすめのトレーニング種目です。
ハックスクワットは、足全体を鍛えるには効果的な種目ですが、主に狙う筋肉としては大腿四頭筋です。
この大腿四頭筋の中でも外側にある外側広筋を鍛える場合にはつま先を内側に向け、内側広筋を鍛えるのであればつま先を外側に向けることで、刺激の入りやすい筋肉を変えることが出来ます。
また、強く大腿四頭筋を刺激させたい場合には、リバースハックスクワットを行うのも効果的です。
このようにやり方によって狙う筋肉を変えることが出来ますが、ハックスクワットはマシンが無くてもスミスマシンやバーベルで代替することが出来ます。
ハックスクワットで安全にスクワットを行って下肢を鍛えてみましょう。
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