レッグエクステンションは、大腿四頭筋に最も効果のあるトレーニング種目です。
その他の下肢トレーニング種目には、スクワットやレッグプレスなどがありますが、膝を伸ばし切った状態で大腿四頭筋をトレーニング出来る種目はレッグエクステンション以外にはありません。
本記事では、レッグエクステンションについて詳しく解説します。
1.レッグエクステンションとは?
レッグエクステンションは、マシンを用いて行うトレーニングです。
レッグエクステンションのマシンは、座った状態で膝を曲げ伸ばしすることで大腿四頭筋を鍛えることが出来ます。
このレッグエクステンションはその他の下肢種目と違う点や膝関節に負荷がかかりにくいこと、またアイソレーション種目(単関節種目)であることから、大腿四頭筋をピンポイントで鍛えることが出来るというメリットがあります。
1-1.レッグエクステンションは大腿四頭筋をピンポイントで鍛えることが出来る
レッグエクステンションは、下肢を鍛えるトレーニングの1つで、大腿四頭筋を中心に鍛えることが出来ます。
大腿四頭筋を鍛えるその他のウエイトトレーニングとしては、バーベルスクワットやレッグプレス、ハックスクワットなどがあります。
これらの種目とレッグエクステンションの違いは、関節の使い方にあります。
スクワット種目やレッグプレスなどは、コンパウンド種目(多関節種目)です。そのため膝関節だけではなく、股関節も使います。
一方でレッグエクステンションはアイソレーション種目(単関節種目)です。
つまり、膝関節だけを用いてトレーニングを行う種目であることから、膝関節の伸展に用いる大腿四頭筋にダイレクトで刺激を入れることが出来ます。
このような理由から、大腿四頭筋をピンポイントで鍛えるにはレッグエクステンションがおすすめです。
1-2.レッグエクステンションは膝関節に負荷がかかりにくい
レッグエクステンションは、膝関節に負荷がかかりにくいです。
なぜならば、コンパウンド種目とアイソレーション種目には、関節トルク(関節と関節のズレ)が生じるかどうかに違いがあるためです。
コンパウンド種目であるスクワットやレッグプレスは、股関節と膝関節・足関節と膝関節において前後にズレが生じます。
このズレは、膝関節に非常に負担をかけることになってしまいます。
しかしながら、アイソレーション種目であるレッグエクステンションは、膝関節だけを用いてトレーニングを行うためこのようなことがありません。
膝関節に負担をかけずに大腿四頭筋を鍛えるのであれば、レッグエクステンションはおすすめのトレーニング種目です。
1-3.レッグエクステンションは膝を伸ばした状態でトレーニングできる唯一の種目
レッグエクステンションは、膝を伸ばした状態で大腿四頭筋をトレーニング出来る唯一の種目です。
なぜならば、スクワットやレッグプレスにおいては膝を伸ばし切った状態にしてしまうことで大腿四頭筋の緊張が解けてしまいトレーニングすることは出来ません。
一方でレッグエクステンションの場合には、膝を伸ばした状態でも、負荷がかかり続けるため、可動域を広くトレーニングできることが特徴です。
大腿四頭筋をピンポイントで追い込むのであれば、レッグエクステンションは取り入れるべきトレーニング種目です。
レッグエクステンションの効果的なやり方
レッグエクステンションの効果的なやり方には、下記のような手順があります。
2-1.シートの位置は膝がマシンの回転軸に合うように調節する
はじめにレッグエクステンションのマシンのシート調整を行う場合には、膝がマシンの回転軸に合うように調節しましょう。
この回転軸と膝の位置が合う事によって、効率的な動きをすることが出来ます。
2-2.パッドの位置を膝の角度が90度以下になるように調節する
レッグエクステンションのパッドの位置は、膝の角度が90度以下になるように調節しましょう。
なぜならば、レッグエクステンションの特性を活かすためには、可動域を広く取る事が効果的であるためです。
特にレッグエクステンションでは、可動域が狭くなりがちであり、膝の角度を90度以下になるようパッドの位置をセットすることが重要です。
2-3.パッドの位置は足首よりも少し上になるように調節する
パッドの位置は、足首よりも少し上になるように調節しましょう。
足首のやや上になるように調整することによって、大腿四頭筋を効果的に収縮させることが出来ます。
2-4.お尻と腰を背もたれとシートにぴったりとつけバーを握る
レッグエクステンションでは、お尻と背中をシートにぴったりとつけましょう。
お尻や背中が浮いてしまうと、膝関節の可動域が狭くなってしまい、効果的なトレーニングをすることが出来ません。
バーを握ってシートに自分の体を押し付けるようにすることで、お尻や背中がシートから離れにくくなります。
2-5.ウエイトプレートが上がるように少し膝を伸ばす
レッグエクステンションのトレーニングを始める前に、必ずウエイトプレートが上がった状態で少し膝を伸ばしてから始めてください。
いきなり始めてしまうと関節に大きな負荷がかかり、怪我をする危険があります。
2-6.膝をしっかりと伸ばす
レッグエクステンションでは、膝を可能な限り伸ばしましょう。
膝をしっかりと伸ばすことによって、可動域が広くなるため効果的なトレーニングを行うことが出来ます。
また、膝を伸ばした状態でトレーニング出来る事は、レッグエクステンションの最大のメリットでもあるため膝をしっかりと伸ばすことは重要です。
2-7.膝の角度が90度以下になるまで曲げる
レッグエクステンションの動作を繰り返す場合には、膝の角度が90度以下になるまで曲げましょう。
こうすることで、可動域を広く取る事が出来ます。ただしウエイトプレートが使っていないプレートにくっついてしまうと、負荷が抜けてしまうため、つくギリギリまで戻すことによって最大限の可動域でトレーニング出来ます。
3.レッグエクステンションのポイント
レッグエクステンションのポイントとしては、お尻が浮かないようにバーを握ることと可動域を広く取ることです。
3-1.お尻が浮かないようにバーを握る
先にも述べた通り、お尻が浮かないようにバーを握ることで、膝関節の可動域を広くとることが出来ます。
また背中をつけることで、骨盤が前傾します。
谷埜ら1)の研究によれば、骨盤を前傾させることによって外側広筋と内側広筋が増加することを報告しています。
このことからもお尻と背中をしっかりとつけて自然に腰が湾曲するようにすることで効果的なレッグエクステンションを行えることが分かります。
3-2.可動域を広く取る事
レッグエクステンションは、高重量を取り扱うよりも、可動域を広く取るほうが効果的なトレーニングを行うことが出来ます。
生田ら2)の研究結果によれば、内側広筋斜頭と外側広筋は、膝関節が90度の時のほうが膝関節の角度が20度の時よりも筋活動が大きい事を報告しています。
一方で、大腿直筋は膝関節角度が90度の時よりも20度の時の方が高い傾向にあったことから、レッグエクステンションも可動域を広くトレーニングすることで効果的であることが言えます。
4.レッグエクステンションのバリエーション
レッグエクステンションには、大きく3つのバリエーションがあります。
4-1.外側広筋に効かせやすくするには足を内側に捻る
レッグエクステンションで外側広筋に効かせやすくするには、足を内側に捻った状態で行うと良いです。
外側広筋は、大腿四頭筋の外側についている筋肉であるため、足を内側に捻った状態で行う事によって、外側広筋が足の中心にきます。
このことによって、レッグエクステンションにおける膝関節を伸ばす動作で外側広筋が動員されやすくなります。
特にこの外側広筋は、スクワットやレッグプレスといったコンパウンド種目で行うと、関節トルク(関節と関節のズレ)が生じるため、怪我をするリスクが高くなります。
レッグエクステンションにおいては、関節トルクは発生しない事から、外側広筋を鍛えるのに効果的です。
4-2.内側広筋に効かせやすくするには足首を外側に捻る
レッグエクステンションで内側広筋に効かせやすくするには、足を外側に捻った状態で行うと良いです。
内側広筋は、大腿四頭筋の内側についている筋肉で、外側に足を捻った状態で行う事によって、膝関節を伸ばす動作で動員されやすくなります。
4-3.大腿直筋を鍛えるなら腰をパッドから離す
大腿直筋だけを効果的にトレーニングするためには、腰をパッドから離し浅く腰掛けるように背もたれを調節すると良いです。
谷埜1)らの研究結果によれば、統計学的な差は得られなかったものの、大腿直筋の活動は、骨盤が後傾している方が高い傾向があることを示しています。
ただし、シートの位置や回転軸と膝の位置などがずれてしまうと、レッグエクステンションを効果的に行うことは出来ないため、大腿直筋だけに効かせるのであれば背もたれを深めに設定してパッドを腰から離すようにすると良いでしょう。
4-4.レッグエクステンションを片足で行うことで追い込む
レッグエクステンションを片足で行うことで、強い負荷をかけて追い込むことが出来ます。
挙がらなくなった状態でも、トレーニングしていない方の足を補助として使う事によって、オールアウトに近い状態にすることも出来ます。
スクワットとは異なり、マシン種目であるため、潰される危険性もありません。
5.まとめ
レッグエクステンションは大腿四頭筋をピンポイントで鍛えやすいアイソレーション種目です。
種目特性としてアイソレーション種目であることから、関節への負担が少ない事や膝を伸ばし切った状態でもトレーニングすることが出来ることがメリットです。
レッグエクステンションには手順やポイント、バリエーションなどがあり、これらを踏まえてトレーニングすることで効果的なトレーニングを行うことが出来ます。
本記事を参考にレッグエクステンションをトレーニングに取り入れてみてはいかがでしょうか。
引用参考文献
1)谷埜予士次,福島綾子,酒井英謙,高崎恭輔,米田浩久,鈴木俊明(2008).レッグエクステンションを行う際に骨盤の肢位はどのようにすべきか? 関西医療大学紀要2:32-37.
2)生田啓記,井尻朋人,鈴木俊明(2016).膝関節屈曲角度の変化に伴う膝関節伸展等尺性収縮時の大腿四頭筋における筋活動変化 理学療法科学32(1):7-11.
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