減量中の筋トレで脂肪を減らす為の3つのポイントと最適な食事を紹介

食事

「なるべく筋肉を落とさずに、脂肪のみを減らして減量したい」このような悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

確かにせっかくつけた筋肉を減らすのは嫌ですよね。そこで今回は、減量中の筋トレ・食事方法やポイントを細かく解説していきます。

今回紹介する内容をしっかり抑え、効率よく減量を成功させましょう!

1. 減量中に脂肪のみを落とすことは可能?

減量中は誰しも「筋肉は落とさずに脂肪だけを落としたい」と考えますが、果たしてこんなことは可能なのでしょうか。一般的にトレーニーの間では「脂肪だけを落とすのは無理。筋肉が落ちてしまうのはどうしようもないこと」と言われているため諦めている方も多いですよね。

しかし、実は理論上は減量中に脂肪のみを落とすのは可能なのです。

というのも、ボディビルコーチであるLyleMcdonald氏によると上記のような説が提唱されたのは被験者のトレーニング方法・栄養管理が間違っていた可能性が大きいからです。

具体的には減量中に筋肉が減ってしまうのはトレーニングの質が低下、 そして筋肉量を維持するための適切な栄養素が足りなかったことが原因とされています。

つまりこのポイントさえしっかりと抑えていれば、筋肉量を維持したまま体脂肪のみを燃焼させていけるというのです。

とはいいつつも、個人的には筋肉量を一切減らさないことは困難極まりないと考えています。なぜなら、このポイント(特にトレーニングの質を維持すること)を完璧に抑えることは相当なメンタリティの強さと自己管理力がなければ難しいからです。

ある程度筋肉量は減ってしまうものと考え、これから紹介するポイントを参考になるべく筋分解を防ぐといったスタンスを取ることをおすすめします。

2. 減量中の筋トレで大切な3つのポイント

まずは減量中に大切な筋トレ時のポイントを3つ紹介していきます。先ほど軽く説明したように、いかにトレーニングの質を維持することが重要です。

2-1. 大筋群を中心に鍛える

まず1つ目のポイントが、大筋群を優先的に鍛えることです。なぜなら、小筋群を鍛えるよりも大筋群を鍛えたほうがエネルギー消費量が大きく、体脂肪燃焼につながるからです。

もちろん普段から大筋群を中心にしたトレーニングメニューを組んでいるとは思いますが、減量中はスクワットやベンチプレスなどハードなトレーニングを何かと避けがちです。辛いからといってアイソレーション種目ばかりを行なっていては、使用される筋肉も発揮されるパワーも減ってしまいます。

減量に入った途端腹筋を鍛え始める方もいますが、減量期こそ大筋群へのアプローチをより意識しましょう。

2-2. トレーニング強度を維持する

続いて2つ目のポイントが、トレーニング強度を維持することです。
減量中というのは慢性的なカロリー不足のため筋分解が優位にたち筋量が減りやすい傾向にあります。

しかし、そこで使用重量まで落としてしまうと、より筋分解が促進されてしまいます。なぜならトレーニング強度を落としてしまうと、カラダが自分には筋肉の必要がないと認識してしまうからです。

減量中はエネルギー不足に陥ってしまって使用重量を下げたくなる気持ちはわかりますが、なるべく普段通りでセットするようにしましょう。
ただ、やはりパワー不足や体重低下など物理的にセット数やレップ数などトータルボリュームが下がってしまうのは仕方ありません。
そのため、最初の1,2セットだけでも通常通りの重量を使用することを心がけてください。

大切なのは自分はパワーを発揮する必要がある、とカラダに指令を出すことです。
トータルボリュームが落ちてしまうと筋肥大の効率が下がるのでは?と不安に感じるかもしれませんが、そもそも減量中に筋肉量を増やすことはできません。

筋肉を増やすことよりも、いかに筋肉を減らさないかにフォーカスしましょう。

2-3. 筋トレ頻度を落とさない

最後3点目が、筋トレの頻度を落とさないことです。
これも使用重量と同じ考えで、筋トレの頻度が減ることで筋肉を使用する機会が減るため結果として筋肉量の減少に繋がるからです。

筋肉を減らさないためにも、定期的に刺激を与えて使用する必要があることをカラダに対してアピールしましょう。

2-4. 減量中でも通常通りのトレーニングを行おう

今まで紹介してきた3つのポイントからわかる通り、減量中だからといって新たに特別なことをする必要はありません。有酸素運動を取り入れる方もいますが、長期間の有酸素運動は体脂肪燃焼だけではなく筋分解も促進してしまいます。

減量末期にHIITなど高強度のインターバルトレーニングを取り入れるのであれば問題ありませんが、あくまでもメインは高強度のウェイトトレーニングだということを覚えておきましょう。

大切なのは、通常時と同じトレーニングルーティンをいかにこなすかです。
減量中だからといって使用重量を下げたり、頻度を減らしたりしてしまえば徐々に筋肉量は低下していくので要注意です。

3. 減量中の摂取カロリーはメンテナンスカロリーの20%減

続いて、減量中の摂取カロリーの計算方法を細かく紹介していきます。減量中の摂取カロリーはメンテナンスカロリーの20%減に設定しましょう。

減量中に消費カロリー〉摂取カロリーを維持する必要があることを知っている方は多いと思いますが、ただ単に摂取カロリーを減らしさえすればいいわけではありません。

極端にカロリーを制限してしまうと筋肉も落ちやすくなってしまうからです。出来るだけ筋肉量を維持しつつ体脂肪のみを減らしていくことを意識するのであれば、摂取カロリーはメンテナンスカロリーの20%減に設定すべきです。

具体的に摂取カロリーを求める方法を見ていきましょう。

3-1. 基礎代謝と活動量から1日のメンテナンスカロリーを推定する

メンテナンスカロリーというのは、体重が増えも減りもしない現状を維持することができるカロリーのことです。1日における消費カロリーと同等のカロリーと覚えておきましょう。(消費した分摂取すれば±0になるイメージです)

基礎代謝量に活動エネルギーを足すことで算出することができます。
最近の体組成計では一日における消費カロリーが出るものもあるのでそちらを参考にするのが一番簡単なのですが、一から計算する方法も説明しておきます。

具体的な算出方法としては、基礎代謝と活動量を目安に計算していきます。
基礎代謝とは、1日に何もしていなくとも消費するエネルギーのことを指します。休んでいても人間のカラダは臓器や脳を動かしてエネルギーを使用しているため、勝手にカロリーが消費されていくのです。

そして活動量とは、その名の通り動くことによって消費されるカロリーのことを指します。習慣的にトレーニングをしている人とまったく運動をしない人、もしくは肉体労働をしている人とデスクワークをしている人とでは活動量が異なるため、結果として1日の消費カロリーも異なりますよね。

つまり基礎代謝量に活動量を加味することで1日における消費カロリーを求めることができるのです。

最近の体組成計やジムに置いてあるinbodyでは体重、身長、年齢などの情報を入力することで基礎代謝を求めることができるので、その数値を参考にするのが一番手取り早いです。

ただ、中には体組成が手元にない方もいると思いますので、簡単に基礎代謝を計算できる方法(ハリス-ベネディクトの式)を紹介しておきます。

男性:66.4730+13.7516×体重(kg) +5.0033×身長(cm)-6.7550×年齢(歳)
女性:655.0955+9.5634×体重(kg)+1.8496×身長(cm)-4.6756×年齢(歳)

上記の数値に自分の年齢を入れ込んで計算をすれば基礎代謝を算出することができるのですが、如何せん計算が複雑という欠点があります。

手取り早く自分の基礎代謝が知りたい場合は自動で計算をしてくれるサイトを利用しましょう。

基礎代謝量
生命を維持するために必要なエネルギー量である基礎代謝量(BMR)を計算します。

そして基礎代謝がわかったら、以下のように活動レベルに合わせて消費カロリーを算出していきます。

・活動レベル1=1週間に1~3時間運動をしている人の活動代謝: 基礎代謝×1.2
・活動レベル2=1週間に4~6時間運動をしている人の活動代謝: 基礎代謝×1.35
・活動レベル3=1週間に6時間よりも多くの時間運動している人の活動代謝:基礎代謝×1.5

よりわかりやすくするため、実際に筋肉を増やしたい男性を例に1日の消費カロリーをみていきましょう。
例)
・Dさん
・男性
・年齢 25歳
・身長 167cm
・体重 59kg
・週3回ジム通い

先ほどの式にDさんの情報を入れ込むと
66.4730+13.7516×59(kg) +5.0033×167(cm)-6.7550×25(歳)=1,544kcal

そしてDさんは週に6時間以上の運動をしているため基礎代謝に1.5をかけると

1,544×1.5=2,316kcal

つまりDさんの1日におけるメンテナンスカロリーは2,316kcalということになります。
筋肉をなるべく減らさずに減量をするために最適な摂取カロリーはメンテナンスカロリーの20%減ですので、毎日1,852kcalのエネルギーを摂取することで減量を進めていくことができます。

3-2. PFCバランスは4:4:2

摂取カロリーがわかったところで、続い栄養素ごとの内訳を決めていきます。基本的に減量でも増量でも、PFCバランス(タンパク質・脂質・糖質)のバランスは大枠4:4:2がいいとされています。

より具体的に計算したい場合は以下のステップに沿って計算していきましょう。

①タンパク質=体重×2倍
②脂質=総摂取カロリーの20%
③糖質=総摂取カロリー-①+②

先ほどのDさんを例に計算してみると

①タンパク質=体重(59kg)×2倍=118g(472kcal)
②脂質=総摂取カロリー(1,852kcal)の20%=370kcal(41g)
③糖質=総摂取カロリ(1,852kcal)ー-①(472kcal)+②(370kcal)=1010kcal(252g)

となります。

つまりDさんがなるべく筋肉量を減らさずに減量をしようと考えた場合は

1日1,852kca、PFCそれぞれの栄養素を

・タンパク質=118g
・脂質=41g
・糖質=252g

摂取していけばいいわけです。

3-3. あくまで理論値のため実際の数値で管理しよう

しかしあくまでこの数値は理論値であり、実際には筋肉量や体質によって反応が異なります。
そのため、一度決めたカロリーを摂取しながら体重の測定も行いましょう。

体重の変化がなければ摂取カロリーを減らし、大幅に体重が落ちるようであればむしろ増やすなどの調整が必要です。

筋肉を減らさずに減量を成功させる体重の落ち幅の目安としては、一週間に体重の0.5%~1%とされています。

つまり59kgのDさんの場合は、先ほど算出した1,852kcalの摂取を続けることで毎週300~600gずつ体重が落ちていればひとまず成功です。

4. 減量は3~5ヶ月の期間で行おう

減量を行う際には、実施期間を考慮することも大切です。減量に入る際の体脂肪率や目的にもよりますが、基本的には3~5ヶ月ほどを目安に行うのが効果的です。

4-1. あまりに短期間だと筋肉量も大幅に減少してしまう

たまに1ヶ月など短期間で大幅な減量を行う方もいますが、これはおすすめできません。なぜなら短期間での減量は脂肪だけでなくて筋肉も落としてしまうリスクが高まるからです。

せっかく増量期につけた筋肉を落とさないためにも、あまりにも短期間での減量は控えましょう。

4-2. 逆に長すぎても代謝が落ちてしまう

短すぎるのは筋肉量も減ってしまうため逆効果と説明しましたが、逆に1年以上など長すぎるのもよくありません。

なぜなら代謝が落ちてしまって減量の効率が下がるからです。減量というのは基本的に消費カロリー〉摂取カロリーを維持しなければならないため、長く続けていると体が省エネモードに入ってしまいます。

そのため、減量は最初に説明したように3~5ヶ月といった数ヶ月単位で行うようにしてください。

5. 減量を効果的に行うための食事テクニック

続いて、減量を効果的に行うための食事テクニックを2つ紹介していきます。

5-1. 食事回数を増やす

まず1つ目が、食事回数を増やすことです。通常は1日3食が目安だと思いますが、減量期にはもっとこまめに、1日5,6食を目安に食べるようにしましょう。

食事回数を増やすことの狙いは

①空腹を感じにくくする
②血中アミノ酸濃度を保つ

の2つあります。

減量中は特に空腹ストレスと闘う必要がありますが、こまめに食事を取ることで空腹を感じにくくなるべくストレスフリーで乗り切ることができます。

そして3〜4時間に一回食事を摂取することで、血中のアミノ酸濃度を一定に保つことができます。アミノ酸は筋肉を合成促進する材料なのですが、脂質や糖質と違って体内に長時間貯めておくことができません。

つまり食間が長く開いてしまうと血中アミノ酸濃度が保てなくなり、筋肉の分解作用が働いてしまうのです。減量中はいかに筋肉量を維持するかが大切となりますので、食事回数を増やして血中アミノ酸濃度を保つことを心がけましょう。

5-2. サプリメントを活用する

続いて2つ目が、積極的にサプリメントを活用することです。減量中に必須なサプリメントは以下の3つです。

①プロテイン
②BCAA
③マルチビタミン

プロテインは言わずもがなボディメイクには欠かせない栄養素ですよね。先ほど説明したように血中アミノ酸濃度を一定に保つためにも、捕食としてプロテインを摂取する習慣を身につけることをおすすめします。

さらに、プロテインには余計な脂質や糖質が含まれていないため、シビアな減量中でも純粋にタンパク質のみを摂取することができます。

BCAAとは、必須アミノ酸のうちバリン・ロイシン・イソロイシンの総称です。BCAAには

・集中力を高める
・疲労軽減
・筋肉合成の促進
・筋分解の抑制

といった効果があるため、「なるべく筋肉を減らさずに減量をしたい」といった目的達成の手助けをしてくれます。

BCAAは飲んでから5分もあれば血中アミノ酸濃度がピークに達するほど即効性があるので、寝起きやトレーニング前~後にかけて摂取することをおすすめします。

マルチビタミンとは、その名の通りさまざまなビタミン(ミネラル)を摂取することができるサプリメントです。三大栄養素ばかりを意識して残りのビタミン・ミネラルを蔑ろにしている方は多いですが、実は筋肉を効率よく合成するにはビタミン・ミネラルの働きは欠かせません。

特に減量中は食べれる量や食材が制限されてしまって食事から必要なビタミン・ミネラルを摂取するのは難しいため、積極的にサプリを活用するようにしましょう。

6. 減量時に停滞した時の対処法

減量を始めたばかりの頃は調子が良くても、そのうち体重が落ちない停滞期に陥る可能性があります。最後に停滞期を乗り切るためお対処法を3つお伝えしておきます。

6-1. 耐える

まず1つ目の方法が、そのまま耐えるです。一見耐えることは無意味に感じるかもしれませんが、実はそうではありません。

これは停滞期に陥るメカニズムを考えればわかるのですが、停滞期の原因としては恒常性(ホメオスタシス)と呼ばれる機能が挙げられます。

恒常性とは、カラダの状態を一定に保つ役割を担っています。人間というのは変化を嫌う生き物なのですが、これは減量期で体重が減っていくことにも当てはまります。

体重が減っていくことは人間の生存本能とは反している行為ですので、代謝を落とすことでそれ以上体重が減らないようにしているのです。

ちなみに減量時に停滞期が訪れる条件としては、1月に5%以上の体重変動があった時とされています。

そしてなぜ耐えることで停滞期を切り抜けられるのかというと、その状態(減量時の摂取カロリー)が通常だと脳に認識させるまで一定期間をやり過ごしことで再度代謝機能がリセットされるからです。

極端に摂取カロリーを制限している場合以外であれば、ひとまず耐えてみることをおすすめします。

6-2. 摂取カロリー(糖質・脂質)を少し減らす

続いて2つ目の方法が、摂取カロリーを少し減らすことです。ある程度(2~3週間)耐えたのに体重が停滞している場合は、摂取カロリーに変化をつけて見ましょう。

ある程度体重が落ちることでどうしても基礎代謝も下がってしまうため、今まで摂取していたカロリーではトータル収支がトントンになっている可能性があります。

そのため少しずつ摂取カロリーを減らしていくのが常套手段なのですが、ここで注意して頂きたいのが減らす栄養素は糖質もしくは脂質という点です。

なぜなら、タンパク質を制限してしまうと筋分解が促進されてしまうからです。あらかじめ余裕を持ってせってしているのであればまた話しは別ですが、体重×2gは下回らないようにしてください。

停滞期が来るたびに糖質・脂質を徐々に削っていくことで比較的スムーズに減量を進めていくことが可能です。

6-3. チートデイを実施する

最後3つ目の方法が、チートデイを取り入れることです。チートデイとは、1日だけあえて多くカロリーを摂取することで代謝を促進させる減量テクニックです。

今のところ、研究結果によるとチートデイを取り入れることで体脂肪を燃焼させたとされる優位な効果はない2)のですが、個人的な体感としては1つの手段としては使用してもいいのではないかと感じています。
ただし、チートデイといってもなんでも食べていいというわけではなくしっかりとルールが決まっています。

簡単に説明すると

【対象者】
・体重が停滞している
・体脂肪率がある程度低い(10%前後)

【正しい方法】
・無駄に大量のカロリーを摂取しない(メンテナンスカロリー×1.2)
・増やすのは糖質のみ
・翌日は通常の減量と同じ摂取カロリーに切り替える

といった具合です。

より詳しい内容が気になる方はこちらの記事を参考にしてください(チートデイの記事)

あくまでもチートデイは切り札であり、停滞期に陥った場合は

①そのまま耐える
②摂取カロリーを減らす
③チートデイを行う

のように順を追って試してください。
いくつか対処法を持っておき、1つずつカードを切っていくイメージです。

まとめ

今回はなるべく筋肉量を減らさずに体脂肪のみを落として行くための方法を筋トレ・食事の観点から解説してきました。
せっかく増量期につけた筋肉を落としてしまってはもったいないので、筋トレ強度や頻度をなるべく下げず、減量期こそ栄養面に配慮しながら進めていきましょう。

参考文献
1)Lyle Mcdonald(2005)Size of Deficit and Muscle Catabolism – Q&A
2)Vajiheh Izadi (2014)Dietary intakes and leptin concentrations

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編集長プロフィール

Bulkup theory編集長

Bulkup theory編集長

私は現在、IT企業で働きながら競技者としても活動していますが、本業が忙しい中で競技者として活動するためには「効果的で効率的な筋トレ」が非常に重要になってきます。このメディアでは現役の選手やパーソナルトレーナーと共に「最小限の努力で最大の成果」をモットーに高い成果を実現するための筋トレ情報を可能な限り科学的根拠を持って発信していきます。