Tバーロウの基本情報と理想的な動作、さらに効果的行うための3つのポイント

背中

やっている人は少ないけれど、何か気になる背中の種目である、Tバーロウ。正直、やったほうがいいのかわかりにくい種目だと思います。

実は、Tバーロウは効果が高い種目で背中の筋肉をさらに仕上げたい人や今の背中のトレーニングがうまくいかない人におすすめの種目なのです。

この記事では、Tバーロウの基本情報とバリエーションごとの特徴、理想的な動作、鍛えることができる部位、さらに効果的なトレーニングを行うための3つのポイントを紹介しています。ぜひ、参考にしてみてください。

1.Tバーロウとは

Tバーロウは、片方の端を固定したバーベルを引き上げることで中背部を鍛える種目です。ラットプルダウンやベントオーバーロー、シーテッドローに比べてややマイナーな種目となります。

1ー1.中背部をもっとも強く収縮させることができる種目

Tバーロウは中背部をもっとも強く収縮させることができる種目です。Tバーロウはグリップの軌道が少し特殊で他の種目に比べて中背部が寄せやすい構造になっています。

胴体に対してほぼ垂直に軌道が入る種目なので、他のどんな背中の種目よりも中背部の筋肉を収縮させることができます。しかも、弧を画く軌道なので肩が窮屈にならずに背中を寄せることができます。まさに、Tバーロウは中背部をもっとも効率よく刺激することができる種目であるといえます。

1ー2.中背部を鍛える種目の中で腰の負担が少ない種目

Tバーロウは中背部を鍛える種目の中では腰の負担が少ないという特徴があります。

Tバーロウの軌道は円弧軌道で中背部が寄せやすい構造なのに対し、ベントオーバーローは垂直軌道なので上体を水平近くになるまでに前傾させないとTバーロウと同じぐらいに中背部を寄せることができません。

当然、ベントオーバーローでは上体の前傾が大きくなるほど腰背部にかかる負担も大きくなります。Tバーロウだと上体の前傾があまり必要でないのでそのような心配はありません。腰に不安がある人はベントオーバーローの代わりにTバーロウを取り入れるといいでしょう。

2.Tバーロウのバリエーション

Tバーロウには、マシンで行うものとバーベルで行う、2つのバリエーションがあります。バリエーションごとの特徴について解説します。

2ー1.腰と足首にやさしいマシンで行うTバーロウ

マシンのTバーロウは腰と足首にやさしいことが特徴です。マシンのTバーロウはステップ(足場)がありつま先がやや上にくるので足首の柔軟性に自信がない人でもスムーズに行うことができます。

また、ステップに角度がついているので上体の前傾が浅くても中背部に刺激を与えることができます。上体の前傾が浅いことで腰への負担が少なくなるのでデッドリフトのような腰に疲労がたまる種目の後でもTバーロウなら行うことができます。

もし、これからTバーロウを始めるという人はマシンのTバーロウから始めることをおすすめします。

2ー2.グリップの微調整が効くバーベルで行うTバーロウ

バーベルの片方の端を専用の器具で固定して行うTバーロウはグリップの微調整が効くのが特徴です。Tバーロウはグリップの軌道が円運動です。グリップの位置は28㎜の部分の端が理想なのですが、体格によっては軌道が合わないことがあります。バーベルで行うTバーロウはそういったときにグリップの位置を変えて対応することができます。

2ー3.アタッチメントのバリエーション

Tバーロウはアタッチメントによって刺激が変わります。アタッチメントごとの特徴を解説します。

背中の収縮を強くすることができるストレートバー

ストレートバーで行うTバーロウでは背中の収縮を強くすることができます。なぜなら、Tバーロウは自分のみぞおちのほうに向かってくる軌道の種目なので、ストレートバーのほうが背中の収縮させるのに適しているからです。

マシンのTバーロウやバーベルのTバーロウでストレートバーができる環境であれば、ストレートバーを選択するようにしましょう。

フォームが作りやすいパラレルバー

パラレルグリップで行うTバーロウはフォームが作りやすいことが特徴です。パラレルグリップはバーベルで行うTバーロウのときに使われるアタッチメントです。パラレルグリップのメリットは自分に合った位置でアタッチメントをつけることができるので、フォームをつくるのが簡単なところです。

ただ、パラレルグリップでのTバーロウは、ストレートバーでのTバーロウほど背中の収縮を強くすることができないのでストレートバーでのTバーロウができないときの代替種目として行うのがいいでしょう。

3.マシンで行うTバーロウの理想的な動作

ここではマシンで行うTバーロウの理想的な動作について解説します。

3ー1.セッティングでの4つのポイント

Tバーロウはセッティングが命の種目です。セッティングでのポイントを解説します。

グリップの近くに足を置く

マシンでのTバーロウのセッティングを行うときはグリップの近くに足を置くようにしましょう。グリップと足の位置が離れすぎていると引き上げるときに腰に必要以上の負担がかかります。腰を痛めないためにグリップの近くに足を置くようにしましょう。

どうしても足の位置が決まらないときは重りをつけていない状態で1度動作を行い、もっとも背中を収縮させることができたポジションから逆算するような形で決めるといいでしょう。

腰幅のこぶし1つ分外側の位置で上から握る

マシンでのTバーロウではオーバーハンドグリップでグリップ幅は腰幅のこぶし1つ分外側の幅にしましょう。

息を大きく吸い込んで立ち上がる

Tバーロウを始めるときは、息を大きく吸い込んでから立ち上がるようにしましょう。息を大きく吸い込むことで背中が丸まるのを防ぐことができます。また、腹部に力を入れやすくなるので、腰痛を予防することもできます。

足の裏で重量を感じるところに足を置き直す

マシンでのTバーロウだとステップに傾斜がついているのでバランスを崩すことがあります。崩れたバランスを修正するために、足の裏で重量を感じるところに足を置き直すようにしましょう。そうすることでブレないフォームで動作を行うことができるようになります。

3ー2.スタートポジションでの3つのポイント

スタートポジションで大事なことは身体がブレない状態をつくることです。スタートポジションでのポイントを解説します。

お尻に力を入れてから股関節を後方に引く

Tバーロウのスタートポジションに入るときは、お尻に力を入れてから股関節を後方に引くようにしましょう。そうすることで腰の負担が減り中背部のトレーニングに集中することができます。スタートポジションに入るときはお尻に力を入れてから股関節を引くようにしましょう。

上体の前傾角度は床から45度に固定する

マシンのTバーロウの場合、上体の前傾角度を床から45度に設定しましょう。なぜなら、マシンのTバーロウは傾斜のついたステップがあるので、上体の前傾が45度でも中背部に刺激を与えることができるからです。上体の前傾が浅くすむので腰の負担が少なくなります。

肩甲骨を下制させる

Tバーロウのみならず背中の種目であれば基本、肩甲骨を下制するようにしましょう。肩甲骨の下制とは肩甲骨を下にしまうことで、肘を後方に引いたときに背中の筋肉の収縮が強くなり、背中の筋肉への刺激が強くなります。

Tバーロウを行うときは肩甲骨を下制するようにしましょう。

3ー3.フィニッシュポジションでの3つのポイント

フィニッシュポジションで大事なことは筋肉を強く収縮させることです。フィニッシュポジションでのポイントを解説します。

頭の位置を固定する

Tバーロウのフィニッシュポジションのときには頭の位置を固定することがポイントになります。Tバーロウでよくあるエラーがグリップを引くときに頭も後ろに引いてしまって背中が寄っていないというものです。スタートポジションからフィニッシュポジションまで頭の位置を固定するようにしましょう。

肘をできるだけ後方に引く

Tバーロウのフィニッシュポジションでは肘をできるだけ後方に引くようにしましょう。肘を可能な限り後方に引くことで背中の筋肉の収縮が強くなり効果的なトレーニングができるようになります。効果的なトレーニングをしたいのであれば肘をできるだけ後方に引くようにしましょう。

背中を1ヶ所に集める

Tバーロウのフィニッシュポジションのときは背中を1か所に集める感覚を持ちましょう。そうすることで背中の筋肉の収縮を強くすることができます。Tバーロウのフィニッシュポジションのときは背中の真ん中に向けて寄せる感覚を持ちましょう。

3ー4.安全な終わりかた

Tバーロウは雑な終わり方をすると腰を痛めてしまう可能性がある種目です。なので、Tバーロウを安全に終わる方法について書いていきます。手順は以下のとおりです。

  1. フィニッシュポジションから腕をまっすぐ伸ばす
  2. 膝を曲げてゆっくりバーを下ろしていく
  3. 負荷が完全に抜けたらTバーロウのマシンから離れる

このように丁寧に終わることで腰を痛める可能性を減らすことができます。雑に終わって怪我をするのはもったいないので丁寧に終わるようにしましょう。

4.Tバーロウで鍛えることができる部位

Tバーロウではさまざまな筋肉を鍛えることができます。鍛えることができる部位を解説します。

4ー1.広い背中をつくるために必要な広背筋

Tバーロウでは広背筋を鍛えることができます。広背筋は広い背中をつくるのに必要な筋肉です。広背筋は背骨や骨盤から上腕部についている筋肉で、Tバーロウの動きをすることで強い刺激を与えることができます。

Tバーロウで広背筋にさらに強い刺激を与えたいのであれば腰を少しだけ反らすといいでしょう。広背筋は骨盤にもついているので腰を反らすことによって収縮が強くなるからです。ただ、反らしすぎると腰に必要以上のストレスがかかるので注意が必要です。

4ー2.背中の広がりを強調する大円筋

Tバーロウで大円筋も鍛えることができます。大円筋は背中から脇にかけての広がりを強調する筋肉です。大円筋は肩甲骨から上腕部についている筋肉で、胴体よりも肘が後方にくることで強い刺激が入ります。

Tバーロウで大円筋に強い刺激を与えたいときは脇を締めて行うようにしましょう。そうすることでフィニッシュポジションのときの大円筋の収縮がより強くなるからです。背中の広がりを強調したい人はやってみましょう。

4ー3.身体の厚みをつくるのに必要な僧帽筋下部

Tバーロウでもっとも刺激を与えることができるのが僧帽筋下部の筋肉です。僧帽筋下部を発達させることで身体の厚みをつくることだけではなく、姿勢の改善も期待できる筋肉です。僧帽筋下部に刺激を与えたいのであれば「3」のとおり行えば強い刺激が入ります。

5.Tバーロウをさらに効果的に行うための3つのポイント

ここではTバーロウをさらに効果的に行うためのポイントを3つ紹介します。

5ー1.可動域をより広く取る

Tバーロウに慣れてきたら可動域を広く取ってみましょう。スタートポジションのときに肩を床に向けて押し出すようにしてから引くことで広背筋への刺激を強くすることができます。いきなりこのフォームをしようとするとフォームがガタガタになるので理想的な動作ができるようになってからチャレンジしましょう。

5ー2.つけるプレートを小さくする

マシンの形状にもよりますが、Tバーロウを行うときにつけるプレートをあえて小さくすることで可動域を確保することができます。例えば、35kgでTバーロウを行うとき、20kgのプレートと15kgのプレートを使うのが一般的ですが、あえて10kgのプレート3枚と5kgのプレートで行うといったようなことです。

この方法はプレートの枚数が多い環境でないと行えないのがデメリットです。

5ー3.最後のほうで反動を使う

Tバーロウでセットの最後のほうで追い込みをかけたいときは反動を使うといいでしょう。Tバーロウはベントオーバーローとは違い、軌道の性質上反動を使っても僧帽筋の上部に刺激が移ることがほぼないので安全に反動をつけることができます。

反動のつけ方は足首から車のペダルを踏むようにして行う方法と膝のクッションを使った方法があります。やりやすいほうでしてみてください。ただし、反動を使っていいのは3回までといった形であらかじめ決めておかないとフォームを崩す可能性が生まれるので注意しましょう。

まとめ

Tバーロウを行おうとしているということは、よほど背中のトレーニングが大好物な人か、なにがなんでも背中を大きくしたい人だと思います。ベントオーバーローで上手くいかなかった人がTバーロウで上手くいくようになった、という人はたくさんいます。

Tバーロウを通じてさらに背中のトレーニングが好きになっていただけたらと思います。応援しています。

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編集長プロフィール

Bulkup theory編集長

Bulkup theory編集長

私は現在、IT企業で働きながら競技者としても活動していますが、本業が忙しい中で競技者として活動するためには「効果的で効率的な筋トレ」が非常に重要になってきます。このメディアでは現役の選手やパーソナルトレーナーと共に「最小限の努力で最大の成果」をモットーに高い成果を実現するための筋トレ情報を可能な限り科学的根拠を持って発信していきます。