トレーニングルーティンにハーフデッドリフトを選択するかどうか迷っている方はいらっしゃいませんか?
デッドリフトとも似た動作を行うハーフデッドリフト。フォームや期待できる効果の違いについてもご紹介していきます。
1.ハーフデッドリフトとは
ハーフデッドリフトはデッドリフトのバリエーションのひとつで、上背を強力に刺激できる上半身強化の為の優秀な種目です。
上背全体を強力に刺激できるハーフデッドリフトをマスターしてビッグな上半身を手に入れましょう!
1-1.ハーフデッドリフトとデッドリフトの違い
上述の通り、ハーフデッドリフトは床から引き上げるデッドリフトにくらべて高重量を扱える為、上背に強烈な刺激を与えることができます。
また、床から膝まで引き上げる動作が必要ない為、上背に大きな刺激が入る局面にだけ集中力とエネルギーを使うことができます。
ハーフデッドリフトは通常のデッドリフトと比べて得に上背を強化し薄い上半身を分厚くするのに適したエクササイズと言えるでしょう。
脊柱起立筋の稼働が通常のデッドリフトに比べて少ない為、脊柱起立筋のサイズよりも、僧帽筋、広背筋などの上背部を特に重点的に強化したいトレーニーは積極的に行いたい種目です。
1-2.腰(脊柱起立筋)への負担が少ない!
ハーフデッドは床引きのデッドリフトに比べて怪我のリスクが少なく、安全に身体の背面を強化できる種目です。
床引きのデッドリフトで腰を痛めるのは、腰が曲がっている・重量が身体から離れている等、脊椎に過剰に負担がかかっていることが原因。
ハーフデッドリフトは膝上の高さから引き上げるので、床から引き上げるデッドリフトに比べるとしゃがみこんでバーベルを掴む必要がなく、終始身体を直立に近く保ったまま動作を反復することができるのです。
1-3.高重量が扱いやすい!
ハーフデッドリフトは床から引き上げる通常のデッドリフトに比べて高重量を扱えるため、上背をより強烈に刺激することができます。
ハーフデッドリフトは膝上周辺から重量を引き上げる分、床から引き上げる通常のデッドリフトと比べるとボトムポジション(バーベルが床から膝の高さまでの段階)を省略できるため、多くの方くの方にとってのスティッキングポイント(動作がとまるポジション)を省いて、最も力を発揮できるポジションだけで動作を行うことができるのです!
ハーフデッドリフトは他の背中種目と比べて、
・デッドリフトと比較しても下半身の筋肉の稼働を抑えることができる
という特徴があります。
そのため、特に僧帽筋上部・僧帽筋中部・広背筋を集中的に刺激することができ、床から引くデッドリフトよりも怪我のリスクが少ないという特徴があります。
特に背中全体の『厚み』が欲しい方、逞しい僧帽筋を中心に背中全体を強化したいという方にはうってつけの種目であると言えるでしょう。
トレーニングルーティンの中に組み込む際には高重量によって背中の筋肉が強制的に引き延ばされるため、背中のメニューの最後、駄目押しとして入れるのがおすすめです!
また、ハーフデッドリフトはベントオーバーロウや床引きのデッドリフトと比較して脊柱起立筋や下半身の関与が少ない種目です。
他の背中の種目の補助筋肉群が疲弊しているトレーニングルーティンの最後に、『トドメの1種目』として高重量を使い、背中の成長を引き出したいならこのトップサイドデッドリフトで決まりでしょう。
ただ、下半身を含めた全身の筋量を増やしたいという方、は床引きのデッドリフトがオススメです。
目的に応じて種目を使い分けましょう。
1-4 怪我のリスクが低い!
ハーフデッドリフトは通常のデッドリフトに比べると腰周りに負担がかかりづらいため、怪我のリスクを低く抑えることができます。
上で述べたようにハーフデッドリフトはボトムポジションでの動作を必要としないため、腰にかかる負担を抑えられ、デッドリフトを行う際に最も怪我をしやすい腰への負担を抑えることができます。
安全に上背部を鍛えるのにもハーフデッドリフトは非常におすすめです。
2-1.ハーフデッドで鍛えられる部位
ハーフデッドリフトは上体を起こした上体で高重量を扱うので、僧帽筋上部を強烈に刺激することができます。
同じように僧帽筋上部を強化する種目にシュラッグがありますが、高重量を扱うハーフデッドリフトは姿勢や関節の維持の為に半ば強制的に僧帽筋が必要になってくるので力任せに動作を行っても容易に刺激を入れることができます。
体調の良く、大きなパワーが発揮できそうな時はハーフデッドリフト 。そうでないときはシュラッグと使い分けると良いでしょう。
ハーフデッドリフトは背中の厚みに大きく影響する僧帽筋中部を確実に刺激することができます。
僧帽筋中部の働きは肩甲骨を脊椎に近づける『内転動作』です。
高重量を体の前面で保持するハーフデッドリフトは肩甲骨を引き締める必要があり、僧帽筋中部が強制的に稼働するため、動作の中で強烈な刺激を自然に与えることができます。
広背筋は上腕骨(二の腕の骨)の前側と脊柱・骨盤を繋いでいる筋肉です。
そのため、広背筋が収縮すると上腕と脊柱の距離が小さくなり、腕は後ろに引っ張られ骨盤と上腕の距離が短くなることで腕を下に引き下げる動きが起こります。
ハーフデッドリフトで上体を起こす段階で上腕を後ろに引きながら肩甲骨を引き締めるように意識をすることで高重量での強烈な刺激を広背筋にかけることができるのです。
ハーフデッドリフトは自体重よりもはるかに大きな重重量を扱うことができる広背筋の種目の代表格なのです。
3.効果的にハーフデッドリフトを行う為に
効果的に安全にハーフデッドリフトを行うためには正しいフォームとアイテムを用いるべきです。
ここでご紹介する方法は多くの方にとって有効な内容。まずはそのまま実践し、感覚掴むようにしてみてください。
- セーフティバーをセッティングする
- バーを握る
- 状態を前傾させスターポジションをとる
- 肩甲骨を引き締めながら状態を起こす
3-1.セーフティバーを膝下にセッティングする
セーフティバーは膝下にセットするのが上背の強化に最も効果的です。
膝上から持ち上げると自然と身体が直立に近い状態となり、僧帽筋上部に負荷の多くがかかってしまいます。
手の長さによっても多少の差がでますが、膝下からバーを引き上げるのが背筋を伸ばしたままもっとも適度に前傾ができ効果の高いフォームになるでしょう。
3-2.グリップはリバースグリップで肩幅程度
ハーフデッドリフトの場合、目的が体づくりであるならリバースグリップで肩幅程度で握るのがオススメです。
リバースグリップで行う方がオーバーハンドグリップに比べて肩甲骨を下制した状態で引き締めやすく、僧帽筋中部・広背筋の稼働率を高めることができます。
デッドリフトのような高重量を扱う種目のグリップは、片手がオーバーハンド・もう片手がリバースハンドでにぎるオルタネイトグリップが有名ですが、これは素手で扱う重量をとことん追求するパワーリフティング競技の話。
パワーグリップやストラップなどの握力補助のためのアイテムを使うことが問題なければ、それらを使った上で高重量を扱う方が背中や肩・僧帽筋のアンバランスな発達を防ぐのには有効です。
もしもパワーグリップを用意できないけど、高重量を使用して背中をかっこよく発達させたいという方はオルタネイトグリップをセットごと交互に使い分けることで左右のアンバランスな発達を防ぐことができます。
3-3.スタート姿勢は上体を前傾させる
腰を丸めずに前傾姿勢でバーベルを握ります(ベントオーバー姿勢)。この時膝は伸ばしきらず、軽く曲げた状態で後ろにお尻を突き出すようにするとうまく姿勢を安定させることができます。
二本の足は肩幅で平行が理想です。
3-4.バーベルを引き上げる初動では肩甲骨を寄せることを意識
バーベルを引き上げる際は、肩甲骨を引き締めながら、上体が直立に近くなってくるにしたがって下から上に引き上げるように意識を加えていくことがポイントです。
状態を完全に起こし切ったトップポジションでも、肩甲骨を引き締める意識はそのまま保ち、脇の下の広背筋がぎゅっと収縮する意識を持つと、広背筋をうまく刺激することができます。
4.ハーフデッドリフトで怪我を最小限に抑える為のポイント
怪我のリスクが低い種目とはいっても高重量で行うハーフデッドリフトは危険を伴います。
この章ではハーフデッドリフトでより安全に追い込むための方法をご紹介します。
4-1.ベルトをしっかりと使うこと!
トップサイドデッドリフトでは必ず丈夫なパワーベルトを巻くようにしましょう。
私たちが動作をする際、体幹を安定させるために腹横筋というインナーマッスルが働いています。
腹横筋はコルセットのようにお腹を締め付けることで腹圧を高め、腰にかかる負担を軽くしたり体幹を安定させる筋肉。パワーベルトは腹圧を腹横筋の代わりに高めることで腰にかかる負担を軽減し、怪我を未然に防ぎます。
ポイントは休憩中にはずすこと。休憩中にもつけている方をたまに見かけますが、この状態では深く呼吸をすることができず、休憩中にも身体が休まりません。
4-2.背中の下部は丸めない
ハーフデッドリフトも通常のデッドリフトと同じく腰を丸めないように動作を行うことが大切です。
腰を丸めるのではなく、お尻を後ろに引くように前傾し、下背を一直線に保ったまま上背を主に動かす意識を持ちましょう。
4-3.トップで背中を反りすぎない
ハーフデッドリフトの動作中背中を反ってしまうと怪我の原因になります。
身体を一直線に保つようにアドバイスすると腰に力が入りすぎ、身体を反ってしまう方もいますが、常に身体を一直線に保つよう、鏡を見ながら行うようにしましょう。
トップポジションで身体を反ってしまうと、重力を腰で支えることになり特に大きな怪我のリスクになるので、特に注意してフォームを身につけてください。
4-4.腹圧を入れる
腹圧を入れることは怪我のリスクを抑え、より高重量を効果的に扱うために重要です。
パワーベルトをしめているとはいっても基本は自身の腹圧。怪我のリスクを抑えることに止まらず、パワーを発揮するにもお腹にグッと力をいれ、腹圧を高めることを意識してください。
5.ハーフデッドリフトを効かせる為の5つのポイント
ハーフデッドリフトを効果的に効かせるためには基本的なフォームの他にも抑えるべきいくつかのポイントがあります。
この章ではより効果的にハーフデッドリフトを修正する為のいくつかのポイントをご紹介していきます。
5-1.肩甲骨を引き締める!
ハーフデッドリフトで背中を十分刺激するには肩甲骨を意識的に動かすことが重要です。
セーフティバーに近い位置からバーを持ち上げる段階では肩甲骨を自然に開き、身体を直立させるにしたがって、肩甲骨を引き締めることで僧帽筋中部・下部を強烈に刺激することができます。
5-2.僧帽筋上部を狙うなら肩をすくめる
僧帽筋上部発達させて力強い上半身を作りたいなら、身体を直立させるトップポジションに向かうにしたがって肩をすくめるように力を入れることが重要です。
トップポジションで肩をすくめ1秒停止することで最大収縮させた状態で刺激を多く与えられるため、盛り上がった肩を作るのに有効です。
5-3.僧帽筋中部・下部を狙うならトップで上を向く
上背の働きは負荷を引く動きでで肩甲骨を引き締めることと、プルダウン系の種目で肩甲骨を引き下げる以外にも背中を反る動きにも関わっています。
下背(腰回り)を反る働きを持つのは脊柱起立筋ですが、上背を反る動きは上背の筋肉をより収縮させることに役立ちます。
5-4.足幅は肩幅と同じ
ハーフデッドリフトでは足幅を肩幅程度に広げて立つのが重心を安定させるのに重要です。
それよりも広すぎると力が入りづらく、狭すぎると支持基底面が狭くなるためバランスが取りづらくなります。
つま先の向きは両足が平行になる状態よりも気持ち程度内向き。そこから個人の骨格に合わせて足の角度を調節するようにしてください。
5-5.バーを完全に下ろして脱力しない
ハーフデッドリフトを行う時はバーをセーフティバーに置いて脱力をせず、狙う筋肉を稼働させたまま動作を反復する方が効果的です。
トップサイドデッドリフトは高重量を扱う種目であるため完全に脱力してしまうと、動作の中で稼働していた対象筋から負荷が逃げてしまうのです。
常に広背筋や僧帽筋が稼働している状態で動作を反復するようにしましょう。
最後に
今回は膝下の高さから引くハーフデッドリフトについてお話ししました。
上背を大きく、厚くするには最適の種目です。
ただもしも上背に限らず、下背・下半身を含めた全身のバルクアップを目的にするなら床引きのデッドリフトがおすすめ。
筋肉の成長を引き出すのなら高重量を使ってきつい種目を行うのが間違い無いでしょう。
握力が足りないなら、市販のパワーグリップを使用するとより高重量を簡単に扱うことができ、背中をより強烈に刺激できます。
正しいフォームで怪我のリスクを抑え、正しく筋肥大を目指しましょう!
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