『ダンベルで行う背筋の種目を教えてください』『ベントオーバーロウとワンハンドロウはどちらのほうがいいですか』『ダンベルのみでメニューを組むとどういう感じになりますか』
ダンベルで背筋を鍛えようとするときに浮かぶ疑問はさまざまです。
この記事では、ダンベルで背筋を鍛えるときの4つのポイントと特におすすめしたいダンベルでの背筋種目3選、ダンベルで背筋を鍛えるときの3つの注意点などを紹介しています。
ぜひ、参考にしてみてください。
1. ダンベルで背筋を鍛えるときの4つのポイント
ダンベルで背筋を鍛えるときの4つのポイントを紹介します。
1ー1. ダンベルを使うことで可動域が広くなり強い刺激を与えることができる
ダンベルを使うことで可動域が広がり背筋に強い刺激を与えることができます。バーベルだと動作の途中でバーがお腹に当たって肩甲骨を寄せきれないことがありますが、ダンベルではそのようなことは起こりません。身体の厚みを作るのに適している僧帽筋や菱形筋に刺激を与えたいときはバーベルよりもダンベルを使うようにしましょう。
特にダンベルでのベントオーバーロウやワンハンドロウイングは背筋を寄せきることができるので背筋のトレーニングメニューの後半に持ってくることで大きな効果を発揮します。
1ー2. 左右差に気づくことができる
ダンベルを使って背筋を鍛えることで左右差に気づくことができます。バーベルだと左右差があってもある程度動作を行うことができますが、ダンベルでは左右差があると動作を行うことができません。左右均等に鍛えたいのであればバーベルよりもダンベルを選ぶようにしましょう。
1ー3. 軽い重量で効かせることができる
ダンベルで背筋を鍛えるうえでのポイントの1つに軽い重量でも効かせることができる点が挙げられます。この後紹介するダンベルプルオーバーやベントオーバーロウ、ワンハンドロウイングは家にあるような可変式の10kgほどのダンベルでも十分なトレーニングができます。
ただし、10kg未満のダンベルだとさすがに背筋を鍛えるには軽すぎるので、最低10kg以上の可変式のダンベルで行うようにしましょう。
1ー4. ダンベル種目だけでは背筋のトレーニングを網羅することはできない
ダンベルでの背筋種目だけでは背筋のトレーニングを網羅することはできません。ダンベルでの背筋種目は身体に対して水平に引くロウイング種目の数は多いのですが、身体に対して垂直に引くプル種目の数が少ないというデメリットがあります。
ダンベルでの背筋種目をベースにメニューを組むときはラットプルダウンや懸垂のようなプル種目も取り入れることでバランスよく背筋を鍛えることができるようになります。
2. 特におすすめするダンベルでの背筋種目3選
ここでは、背筋を鍛えることができるダンベル種目のうち特におすすめする種目を3つ紹介していきます。いずれも10~20kgのダンベルでできるのでその点でもおすすめです。
2ー1. ダンベルプルオーバー
ダンベルプルオーバーはベンチに対して90度になるように寝て、ブレーキをかけながらダンベルを頭と同じ高さまで下ろして広背筋を伸ばしていくことで広背筋に集中的に刺激を与えることができる広背筋のストレッチ種目です。ダンベルプルオーバーは広背筋のストレッチ種目の中でも特に広背筋を強く刺激することができる種目です。
実際に行っている人はあまり見かけませんが、広背筋を効果的に鍛えたいのであればダンベルプルオーバーはマストの種目だと私は考えます。
②ダンベルを骨盤の上に置いて骨盤を上に持ち上げる
③両手でダンベルを持ち、ダンベルを胸の上に押し上げる
④ブレーキをかけながらダンベルを頭と同じ高さに来るまで下ろす
⑤ダンベルを上に押し出し③の状態に戻る
ダンベルプルオーバーは軽すぎると逆にわかりづらい種目なので最初は14kg程度のダンベルで試してみましょう。
2ー2. ダンベルベントオーバーロウ
ダンベルベントオーバーロウは上体を前傾させたままダンベルを引くことで広背筋や僧帽筋、大円筋や菱形筋を鍛える種目です。ダンベルでのベントオーバーロウはバーベルでのものとは違い、背筋を収縮させきるまで寄せることができるので背筋に強い刺激を与えることができます。方法は以下のとおりです。
②横から見て頭と肩、股関節、膝、くるぶしが一直線に来るようにする
③臀部に力を入れつつ股関節を後方に、頭を前方に移動させて上体の角度を45度にする
④あばらにこぶしをタッチさせるようにしてダンベルを持ち上げる
⑤みぞおちの裏側を可能な限り寄せる
⑥ダンベルをコントロールしながら膝の近くまで下ろす
ダンベルベントオーバーロウは軽い重量でも効かせることができるので背筋を鍛えるメニューの後半に置くことが多い種目です。家にある可変式の15kgのダンベルでも背筋に強い刺激を与えることができます。
2ー3. ワンハンドロウイング
ワンハンドロウイングはベンチを使って体勢を作る背筋の種目です。片手をベンチに置いて行うので腰への負担が少ないのが特徴です。ワンハンドロウイングでは広背筋や僧帽筋、大円筋や菱形筋を鍛えることができます。ワンハンドロウイングも背筋を寄せきることができる種目なので背筋に強い刺激を与えることができます。方法は以下のとおりです。
②右手でダンベルを持ち胸を張る
③あばらに向かってダンベルを引く
④ダンベルをコントロールしながら下ろしていく
腰に何かしらの不安を抱えている人はダンベルベントオーバーロウよりもこちらを選ぶようにしましょう。
3. 高重量を扱うことで効果を発揮するダンベルでの背筋種目
ダンベルでの背筋種目のうち、20kg以上の高重量を扱うことで効果を発揮する背筋種目もあります。
3ー1. ダンベルデッドリフト
ダンベルデッドリフトは背筋を縮めた状態のままダンベルを持ち上げることで背筋全体を鍛えることができる種目です。ダンベルデッドリフトはダンベルを下ろしすぎると下半身の種目になってしまうので膝の高さまでにしておきましょう。方法は以下のとおりです。
②横から見て頭と肩、股関節、膝、くるぶしが一直線上に来るようにする
③股関節を後方に、頭を前方に移動させて上体を前傾させる
④グリップが膝の高さまで来るまで上体を倒す
⑤親指を外側に開きながら上体を起こす
ダンベルのみでメニューを組むのであれば私はダンベルデッドリフトを最初の種目にします。高重量のダンベルで背筋全体を鍛えてから他の種目で個別に鍛えるようにするとメニューが組みやすくなります。
ただし、バーベルがある環境であればダンベルデッドリフトよりもバーベルでのトップサイドデッドリフトのほうがいいでしょう。なぜなら、バーベルのほうがより高重量を扱うことができるからです。なので、ダンベルデッドリフトはバーベルが使えないときのセカンドチョイスと考えるようにしましょう。
3ー2. ダンベルシュラッグ
ダンベルシュラッグはダンベルを持ったまま肩をすくめることで僧帽筋の上部を集中的に鍛える種目です。肘を伸ばし切ると肩をすくめることができる範囲が限られるので肘を緩めて行うようにしましょう。方法は以下のとおりです。
②股関節を3cm後方に引く
③肩をできる限り高く上げる
④ダンベルをコントロールしながら肩をゆっくり下ろす
ダンベルシュラッグは直立の状態だと負荷が乗っている感覚が分かりづらいのでほんの少しだけ上体を前傾させて行うようにしましょう。
4. ダンベルのみで行う背筋のトレーニングメニュー例
ここではダンベルのみで行う背筋のトレーニングメニュー例を紹介します。
ダンベルプルオーバー 10回 3セット (広背筋を伸ばすことを意識する)
ダンベルベントオーバーロウ(or ワンハンドロウイング) 10回 2セット
(背筋を収縮させることを意識する)
ダンベルシュラッグ 20回 2セット
最初にダンベルデッドリフトで背筋全体を鍛えます。その後ダンベルプルオーバーで広背筋をストレッチさせてダンベルベントオーバーロウで背筋を収縮させることで背筋への刺激をより強くすることができます
最後の種目をダンベルシュラッグにすることで後のことを考えずに僧帽筋を追い込むことができます。
上でも触れたとおりダンベルでの背筋種目はロウイング種目に偏りがちなので、これにラットプルダウンや懸垂を追加することでバランスよく背筋を鍛えることができるようになります。
5. おさえておきたい背筋の構造・作用
ダンベルで鍛える背筋の種目を紹介した後に、背筋の構造・作用について解説します。
5ー1. 広背筋
広背筋は逆三角形のシルエットを強調するのに効果がある筋肉です。広背筋は背骨や骨盤・肋骨から二の腕にかけてついている筋肉でバンザイをすると伸びて、バンザイの状態から手を下ろしたり胸を張った状態で肘を後ろに引くことで筋肉が縮みます。広背筋を鍛えるときはこの作用を使って筋肉を刺激していきます。
5ー2. 僧帽筋
僧帽筋は首の付け根のふくらみを作ったり身体を分厚くするのに効果がある筋肉です。僧帽筋は首~腰にかけての背骨から肩や肩甲骨の外側までついている筋肉で腕を前方に出したり肩甲骨を外側に開くことで伸びて、胸を張ったり肩甲骨を寄せたりすることで筋肉が縮みます。僧帽筋を鍛えるときはこの作用を使って筋肉を刺激します。
僧帽筋を鍛えることで肩の位置が本来の位置に戻って肩こりの症状が軽減することがあります。肩こりで悩んでいる人は僧帽筋を鍛えるようにしましょう。
5ー3. 脊柱起立筋
脊柱起立筋は腰あたりを筋肉で盛り上げるのに効果がある筋肉です。脊柱起立筋は骨盤から椎骨・肋骨・頭部にまでついている筋肉で身体を前方に曲げることで伸びて、身体を後方に曲げることで縮みます。また、身体を右に曲げることで右側は縮んで左側は伸びます。
ダンベル種目での脊柱起立筋の使い方は身体を気持ちやや後方に曲げる(反らす)ことで姿勢を保つものが大半です。伸びたり縮んだりというよりもキープする筋肉ととらえるようにしましょう。
5ー4. 大円筋
大円筋は背中の広がりを強調するのに効果的な筋肉です。大円筋は肩甲骨から二の腕にかけてついている筋肉で腕を上に挙げたり腕を前方に出したりすることで伸びて、バンザイの状態から腕を下ろしたり肘を身体の後ろに引くことで縮みます。大円筋を鍛えるときはこの作用を使って筋肉を刺激します。
5ー5. 菱形筋
菱形筋は背中の筋肉を盛り上げるのに効果的な筋肉です。菱形筋は背骨から肩甲骨までついている筋肉なので両方の肩甲骨を離すことで伸びて両方の肩甲骨を近づけることで縮みます。この作用を利用して菱形筋を鍛えていきます。
菱形筋は姿勢の維持に大きく関わっている筋肉で姿勢をキープするためには定期的に強い刺激を与える必要があります。胸を張ったまま肘をできる限り後ろに引くことで菱形筋に強い刺激を与えることができます。肩こりや腰痛を予防したいのであれば菱形筋に強い刺激を与えるようにしましょう。
6. 背筋を鍛えることで得られる4つのメリット
背筋の仕組みが分かったところで、次は背筋を鍛えることで得られる4つのメリットを紹介します。
6ー1. 身体の横幅や厚みを強調することができる
背筋を継続的に鍛えることで身体の横幅や厚みを強調することができます。身体の前側のみを鍛えていても身体の横幅や厚みを出すことは難しいので背筋を鍛えて身体の横幅や厚みを出すようにしましょう。
6ー2. 姿勢がよくなり腰や首への負担を軽減することができる
背筋を定期的に鍛えることで、姿勢がよくなり腰や頸への負担を減らすことができるようになります。背筋の筋力が弱いと肩が前方に引っ張られてしまい肩や腰に負担がかかりやすくなります。背筋を鍛えることで肩が前方に来るのを防ぐことができます。
6ー3. 胸骨が持ち上がってウエストが細くなる
背筋を鍛えることで胸骨が持ち上がってウエストが細くなります。特に脊柱起立筋が発達することで背骨が後方に引っ張られて骨盤とあばらとの間の間隔が広くなります。骨盤とあばらの間の空間が広くなるとお腹の皮に張りが出てウエストが細くなります。
6ー4. 呼吸が楽になって疲れにくくなる
背筋を鍛えることで胸骨が持ち上がり、呼吸が楽になって疲れにくくなります。胸骨が持ち上がることで身体が分厚くなり息が吸える容量が広がり呼吸が深くなります。呼吸が深くなることで体中に酸素が行き届きやすくなりその結果疲れにくくなります。
7. ダンベルで背筋を鍛えるときの3つの注意点
最後にダンベルで背筋を鍛えるときの3つの注意点を紹介します。
7ー1. 前腕を床と垂直の位置関係にする
ダンベルで背筋を鍛えるときは基本、前腕を床と垂直の位置関係を保ちながら行うようにしましょう。前腕が床と垂直でないと力こぶの筋肉や前腕の筋肉に負荷が分散されて背中への刺激が少なくなってしまいます。ダンベルプルオーバー以外の背筋のダンベル種目のときは常に前腕を床と垂直の位置関係にするようにしましょう。
7ー2. 床からダンベルを持ち上げるときは集中する
ダンベルでトレーニングを行う際、床からダンベルを持ち上げるときは必ず集中するようにしましょう。ダンベル種目での怪我の大半は床からダンベルを持ち上げたときに起こるものです。トレーニングは最初から最後まで集中して行うようにしましょう。
7ー3. ストラップを使う
ダンベルで背筋を鍛えるときはストラップを使うようにしましょう。ダンベルで背筋を鍛えるときに大きな障害となるのが握力の低下です。握力が落ちてしまうことで動作を正確にすることができないということがダンベル種目では起こりがちです。ストラップを使って握力の低下を予防しましょう。
ストラップは比較的安価なので購入しておきましょう。私は同じストラップを10年近く使っていますが今も問題なく使えています。背筋を効率よく鍛えたいのであればストラップは必ず買っておきましょう。
まとめ
ダンベルで背筋を鍛えるとき、身体に対して水平方向に引くロウイング種目が中心になります。なので身体に対して垂直方向に引くプル種目が不足しがちです。
そこでダンベルプルオーバーをトレーニングメニューに入れることでダンベル種目のみのメニューに彩りを付けることができます。あまり広背筋狙いでダンベルプルオーバーをしている人はいませんがかなりおすすめの種目です。ぜひ、試してみてください。応援しています。
コメント