上腕二頭筋の筋トレ特集!科学的な知見を基に種目を徹底解説!

上腕二頭筋は、長頭と短頭に分かれている筋肉で男性のたくましい力こぶに憧れている人も多いのではないでしょうか。上腕二頭筋は、その他の部位とトレーニングにおけるポイントや注意点が異なる筋肉です。

本記事では、上腕二頭筋の筋トレにおけるポイントやおすすめの種目、注意点について解説します。

1.上腕二頭筋について

上腕二頭筋の筋トレをする上では、解剖学を押さえておく必要があります。

1-1.上腕二頭筋の解剖学

上腕二頭筋を鍛える上では、短頭と長頭に分けてバランスよくトレーニングを行うと効果的です。なぜならば、上腕二頭筋のトレーニングは短頭・長頭を鍛える種目に分かれているためです。

上腕二頭筋は、長頭も短頭も肩甲骨から橈骨に付着している二関節筋です。このため、主な働きとしては、肘関節の屈曲伸展のみならず、肩関節の屈曲(手を上に挙げる動作)や前腕を回外(外側に捻る動作)する動作に関与します。

1-2. 上腕二頭筋種目はバランスよく取り入れましょう。

多くの上腕二頭筋のトレーニングは、長頭か短頭をピンポイントで鍛える種目が多いことから、バランスよく種目を取り入れることをおすすめします。

加えて、収縮様式の異なる種目を取り入れることによって、筋肉に入る刺激を変えてプラトーな状態を作りにくくできるため筋肥大に効果的です。

2上腕二頭筋の筋トレで抑えるべきポイント

上腕二頭筋の筋トレにおいて抑えるべきポイントは、下記のとおりです。

2-1.上腕二頭筋の筋トレは低重量高レップで行う

上腕二頭筋の筋トレは低重量高レップで行ったほうが良いです。なぜならば、Brad  Schoenfeld et al.

1)の研究結果によれば、低重量高レップで行ったほうが、上腕二頭筋の筋厚の増加は大きい傾向があったことを報告しているためです。

この研究では、8RMから12RMで行った群(高重量低レップ)と25RMから35RMで行った群(低重量高レップ)を比較しており、高重量低レップは5.3%の筋厚増加に対して低重量高レップでは8.6%の筋厚増加であったことが報告されています。

つまり、上腕二頭筋は低重量高レップのほうが筋肥大を起こしやすい事が言えます。

これに加えて、高重量を取り扱うバーベルカールなどを行うことで、筋力の増加も促し効率的な上腕二頭筋の筋トレを行うことが出来ます。

2-2.上腕二頭筋の筋トレではチーティングは効果的

上腕二頭筋の筋トレにおいて、チーティングは効果的な手段の一つです。なぜならば、上腕二頭筋は、速筋が多い事が研究結果で報告されており、Brad Schoenfeld 2)によればチーティングを使ってネガティブに効かせたトレーニングは、速筋の発達を促すことが報告されているためです。

また、その他の研究報告でも、上腕二頭筋は、伸張性収縮(ストレッチをかけた種目)のほうが短縮性収縮(収縮種目)よりも有意な効果が認められたことから、チーティングを用いてネガティブに効かせるのは有効である事が言えます。

これに加えて、上腕二頭筋は肩甲骨から橈骨に付着しているため、肩関節の伸展動作(手を挙げる動作)に関与しています。上腕二頭筋の筋トレでチーティングを用いて上腕の動きを加えることによって強い収縮・伸展を起こしやすくなります。

2-3.上腕二頭筋の構造を意識してトレーニングする

上腕二頭筋の構造を意識してトレーニングすることは重要です。冒頭でも述べた通り、上腕二頭筋は2つの筋肉で構成されており、鍛え方がそれぞれ異なるためです。

上腕二頭筋は、腕を曲げ伸ばしする際に、小指側に力が入ると短頭、親指側に力が入ると長頭を鍛えやすくなります。

例えばバーベルカールでもEZバーを用いて親指側に力が入るようにした場合と、バーベルで小指側に力が入る場合で長頭と短頭への効かせ方は異なります。

3.上腕二頭筋の筋トレ3選

上腕二頭筋の筋トレのおすすめ種目は下記の通りです。はじめに高重量を取り扱うバーベルカールを行うことで、筋肉内の血流を貧血状態に陥らせることが出来るため、筋肥大に効果的な状態を整える事が出来ます。

その後は、ストレッチ種目であるインクラインダンベルカールを行い、上腕二頭筋にストレッチをかけます。最後にケーブルハンマーカールで収縮種目を取り扱うことによって、伸びた筋肉に対して収縮をかけ、様々な刺激を上腕二頭筋に入れることが出来ます。

3-1. 高重量を取り扱うバーベルカール

上腕二頭筋の筋トレにおいては、高重量を取り扱う種目を取り入れることは重要です。なぜならば、高重量を取り扱ったトレーニングでは、筋肉の血流を貧血状態に陥らせ、筋肥大が起こりやすいことが報告されているためです3)

バーベルカールのやり方

  1.  バーベルを持つ
  2.  軽く腕を曲げた状態でセットする
  3.  腕を曲げて上腕二頭筋を収縮させる
  4.  バーベルを降ろす

バーベルカールの重量設定と効果的に行うためのコツ

重量に関しては、個人差がありますが、15キロから20キロ程度の重さで6RMから12RM程度行うと良いでしょう。上腕二頭筋のトレーニングを行う上では、バーベルカールで高重量を取り扱い、筋肉を貧血状態に陥らせた後にケーブルハンマーカールやインクラインダンベルカールを行うと効果的です。

またバーベルカールは、短頭に効かせるためのトレーニングであるため、小指側に力が入るようにすると効果的です。

高重量を取り扱うバーベルカールを取り入れる事によって、筋肉の肥大化のための筋トレだけではなく、筋力アップを目的としたトレーニングも出来るため、インクラインダンベルカールやケーブルハンマーカールといった種目の取り扱う重量を上げる事につながり、上腕二頭筋の筋トレは効率的になります。

3-2.  上腕二頭筋にストレッチをかけて鍛えるインクラインダンベルカール

インクラインダンベルカールは、その他の上腕二頭筋種目よりも可動域を広くとることができるため、ストレッチを効かせてトレーニングする際におすすめです。

先にも述べた通り、上腕二頭筋はネガティブに効かせたトレーニングが筋肥大において重要な手段であるため、上腕二頭筋を鍛える上では欠かせません。

インクラインダンベルカールのやり方

  1. ベンチの角度を60°から70°に設定する
  2. オン・ザ・ニーテクニックを使用して胸の前にダンベルを構える
  3. 胸を張りダンベルをゆっくりと降ろす
  4. 肘が伸び切る前にダンベルを挙げる
  5. 繰り返す

インクラインダンベルカールの重量設定と効果的に行うためのコツ

インクラインダンベルカールの重量設定としては、初心者であれば5キロ程度から行いましょう。この場合にも必ず最大挙上重量を測定し、その重量に対する割合が60%以下でオールアウトまで追い込むと効果的です。また、チーティングを用いてネガティブに効かせることによってさらに効果的になります。

加えてインクラインダンベルカールは、上腕二頭筋短頭を狙う筋トレであるため、ダンベルを持つときに親指側に寄せてダンベルを持つことで、小指側に負荷がかかりやすくなります

3-3. 上腕二頭筋を収縮させて鍛えるケーブルハンマーカール

上腕二頭筋を収縮させて鍛えるのにケーブルハンマーカールはおすすめです。なぜならば、ダンベルで行うハンマーカールとは異なり、ケーブルハンマーカールは、腕を伸ばした状態であっても負荷をかけ続ける事が出来るためです。

ケーブルハンマーカールのやり方

  1. 親指が上に来るようにロープを持つ
  2. 肘を支点にして出来るところまで腕を曲げる
  3. トップポジションで静止する
  4. 腕を伸ばす
  5. 繰り返す

ケーブルハンマーカールの重量設定と効果的に行うコツ

ポイントとしては、ケーブルハンマーカールは立って行う種目であることから、体の反動を使って無理やり行わない事です。

重量設定は個人差によりますが、初心者であれば7キロから8キロ程度の低負荷でレップ数は20レップ以上の高レップで行うと良いです。自分のケーブルハンマーカールの最大挙上重量を測定し、その挙上重量の60%以下の重量設定を行えばよいです。

例えばケーブルハンマーカールの最大挙上重量が20キロであれば、12キロ以下の重量でオールアウトするまで行うことによって、自然と低重量高レップのセットになります。

ケーブルハンマーカールは、上腕二頭筋長頭を狙う種目であるため、親指を上に向ける事を意識しましょう。

6.上腕二頭筋の筋トレにおける注意点

上腕二頭筋の筋トレにおける注意点としては下記の通りです。

6-1. 上腕二頭筋の筋トレでの動作スピードは同じにする

上腕二頭筋の筋トレ種目では、挙上スピードと下降スピードを出来る限り同じにしたほうがよいです。なぜならば、収縮を早くするアイソメトリックトレーニングや伸展を遅くするアイソトニックトレーニングよりも、動作スピードを同じにする等速性トレーニングのほうが高い効果が得られたことが報告されており4)、安全性も高いです。

この等速性トレーニングは、上腕二頭筋のトレーニングにおける動作スピードをコントロールすることによって可動域の中で力が抜けることが少なくなり、全可動範囲の中で常に最大筋力を発揮できることがトレーニング効果の高い理由です。

6-2. 上腕二頭筋のアイソレーション種目はコンパウンド種目後2セット程度に留める

上腕二頭筋のアイソレーション種目は2セット程度に留めましょう。なぜならば、上腕二頭筋は、上半身のコンパウンド種目においては動員されることの多い筋肉です。

上腕二頭筋を鍛えるつもりがなくても、ベントオーバーローやデッドリフトなどをアンダーハンドで行ったコンパウンド種目においては、刺激が入るため上腕二頭筋のアイソレーション種目を多く行ってしまうとオーバーワークに陥りがちになります。

頻度も週1回か、多くても2回に留めると、オーバーワークに陥らないです。

まとめ

上腕二頭筋のトレーニングは、長頭と短頭に分けてバランスよく行うと効果的です。上腕二頭筋のトレーニングのトレーニングにおけるポイントは、低重量高レップで行うことと、チーティングを効かせると効果的であるということです。

おすすめの種目としては、ケーブルハンマーカール、インクラインダンベルカール、バーベルカールです。上腕二頭筋の筋トレにおける注意点としては、オーバーワークにならないためにもコンパウンド種目後2セット程度に留めることと、動作のスピードを同じにすることです。

本記事を参考にたくましい上腕二頭筋を作りあげてみてください。

引用参考文献

  1. Brad J. Schoenfeld, Mark D. Peterson, Dan Ogborn, Bret Contreras, Gul T. Sonmez(2015).Effect of Low- Versus HIgh- Load Resistance Training on Muscle Strength and Hypertrophy in Well- Trained Men, The Jounal of Strength and Conditioning Research 29(10) : 2954-63.
  2. Brad Schoenfeld(2011).The Use of Specialized Training Techniques to Maximize Muscle Hypertrophy, Strength and Conditioning Journal 33 (4) : 60-65.
  3. 石井直方(2007).究極のトレーニング 講談社
  4. 後藤幸弘, 緒方宗雄, 辻延浩, 辻野昭(1993).上腕筋群の等速性筋力の年齢推移とトレーニング適時期に関する研究 兵庫教育大学研究紀要, 13:89-106.

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編集長プロフィール

Bulkup theory編集長

Bulkup theory編集長

私は現在、IT企業で働きながら競技者としても活動していますが、本業が忙しい中で競技者として活動するためには「効果的で効率的な筋トレ」が非常に重要になってきます。このメディアでは現役の選手やパーソナルトレーナーと共に「最小限の努力で最大の成果」をモットーに高い成果を実現するための筋トレ情報を可能な限り科学的根拠を持って発信していきます。