大きく発達した大胸筋を手に入れろ!ダンベルフライの正しいフォームと効かせ方を徹底解説

大胸筋を鍛える種目・ダンベルフライに関して解説していきます。
ダンベルフライの動作は一見簡単に見えて、意外と難しいという特徴があります。
実際に試してみても『大胸筋に効いているかイマイチわからない』『三角筋前部や上腕二頭筋が先に疲れてしまう』なんていう悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回はダンベルフライとは?といった基本的な情報から正しいフォームのコツ、そして大胸筋へとピンポイントで効かせるポイントまで徹底的に解説していきます!
ダンベルフライをマスターし、大きく発達した大胸筋を手に入れましょう!

1.ダンベルフライとは?ダンベルフライの基本情報

ダンベルフライの基本情報ダンベルフライとは、ベンチに仰向けに寝た状態で両手にダンベルを持ち、左右に開いて大胸筋をストレッチさせて鍛える種目です。

同じ部位を鍛えるベンチプレスやダンベルプレスに比べるとマイナーな種目かもしれませんが、ダンベルフライも大胸筋の発達には欠かせません。

2.ダンベルフライとダンベルプレスの違いは?

ダンベルショルダープレスとバーベルショルダープレス、どちらを行えばいいの?ダンベルフライとダンベルプレスは、同じ大胸筋を鍛える種目です。
どちらかというとダンベルプレスの方がメジャーであり、わざわざダンベルフライを取り入れる理由がわからない方も多いのではないでしょうか。

しかし、ダンベルフライとダンベルプレスはまったく違った種目です。
ここでは、その違いを細かく解説していきます。

2-1.ダンベルフライはストレッチ種目

ダンベルフライはストレッチ種目ダンベルフライとダンベルプレスの違いについて、まず1点目が、最大負荷がかかるポイントの違いです。

トレーニング種目は全てPOF法(Position of flexion)に分類することができます。
POF法とはどの位置で筋肉に対して最も負荷がかかるか、3分割(動作の中間で負荷がかかるミッドレンジ種目、筋肉が収縮時に最も負荷がかかるコントラクト種目、ストレッチ時に最も負荷がかかるストレッチ種目)に分ける方法です。

そしてこのうち、ダンベルプレスはミッドレンジト種目なのに対し、ダンベルフライはストレッチ種目に該当します。

大胸筋を鍛える種目では、ダンベルプレスの他にプッシュアップやベンチプレス、チェストプレスなどコントラクト種目はたくさんあります。

しかしストレッチ種目は、あまり多くありません。

特に大胸筋の種目ではプレス系がメインになり収縮やストレッチ系がおろそかになりがちです。
ダンベルフライでストレッチを入れることにより新しい刺激が加えることができます。

2-2.ダンベルフライは大胸筋にピンポイントで効かせられるアイソレーション(単関節)種目

ダンベルフライは大胸筋にピンポイントで効かせられるアイソレーション(単関節)種目ダンベルフライとダンベルプレスの違いについて、2点目は、使用する関節の違いです。

トレーニング種目には一つの関節だけが動くアイソレーション(単関節)種目と複数の関節を使用するコンパウンド(多関節)種目があります。

ダンベルプレスは肘関節と肩関節を動員するコンパウンド種目ですが、ダンベルフライは肩関節だけを動員するアイソレーション種目です。

アイソレーション種目には、狙った部位に効かせやすいというメリットがあります。

コンパウンド種目を代表するベンチプレスやダンベルプレスは三角筋や上腕三頭筋が疲れてうまく大胸筋に効かせることが難しいですが、ダンベルフライでは比較的ピンポイントで効かせることができます。

2-3.大胸筋のトレーニングでは両方取り入れよう!

大胸筋のトレーニングでは両方取り入れよう!ダンベルフライとダンベルプレスの違いを説明してきました。
この2つの種目はそれぞれメリットがあるため、胸のトレーニングでは両方取り入れましょう。

ダンベルプレスはコンパウンド種目のため動員される筋肉が多く、高重量を扱えます。
一方ダンベルフライでは扱える重量は下がりますがアイソレーション種目のためピンポイントで大胸筋へと効かせられ、さらにプレス系とはまったく違った刺激(ストレッチ)を与えることができます。

そのため、効率よく大胸筋を筋肥大させたいならば両方の種目を取り入れましょう。

3.ダンベルフライで鍛えられる筋肉は大胸筋

ダンベルフライで鍛えられる筋肉は大胸筋ダンベルフライでは大胸筋を鍛えることができる、というのはほとんどの方が知っているかと思います。
しかし、大胸筋の起始・停止、役割など機能解剖まで理解している方は少ないのではないでしょうか。

鍛える部位の筋肉を理解することにより、トレーニング効率をさらに高めることができます。
そのため、まずは大胸筋の特徴に関して説明していきます。

3-1.大胸筋の起始・停止

大胸筋は人間の体の中でも大きな筋肉であり、上部(鎖骨部)・中部(胸肋部)・下部(腹部)に分類することができます。

まずは大胸筋上部、中部、下部の起始・停止をそれぞれ説明していきます。
※起始、停止とは筋肉が付着している場所で、この両端を近づけることで収縮が起こり、遠ざけることでストレッチをかけることができます。

大胸筋上部の起始は鎖骨の内側1/2、大胸筋中部の起始は胸骨及び第1〜第6軟骨、大胸筋下部の起始は腹直筋鞘前葉に付着しています。
そして停止は上部、中部、下部ともに上腕骨の大結節稜に付着しています。

専門的な言葉が出てきてわかりづらいかと思いますが、
つまり大胸筋は鎖骨、胸骨あたりから上腕骨まで付着しており、この両端を近づけたり遠ざけることで刺激を与えることができるということです。

そして先ほど説明したように、ダンベルフライはストレッチ種目です。
理論的には大胸筋の起始と停止を遠ざければストレッチがかかるため、付着部位を把握しておきましょう。

3-2.大胸筋の役割

続いて、大胸筋の役割を解説していきます。
大胸筋の主な役割としては、水平内転、屈曲(初期動作のみ)、内旋、内転などが挙げられます。
そしてこの中でも大胸筋を使用している感覚が一番わかりやすいのが、肩関節の水平内転です。

水平内転とは、上腕を水平に挙げ、そのまま内側に絞るような動作です。この動きをすると、大胸筋が収縮しているのがわかるはずです。

これはケーブルクロスオーバーの動きをイメージするとわかりやすいかと思います。
ちなみに大胸筋を鍛える代表種目であるベンチプレスでも、肩関節の水平内転が行われています。

そしてダンベルフライでは、水平内転の逆の動きを行うことにより、大胸筋へストレッチをかけています。

4.ダンベルフライの正しいフォーム

ダンベルフライの正しいフォームダンベルフライの特徴、取り入れるメリットを理解したところで、正しいフォームを解説していきます。
動作自体は難しくありませんが、慣れていないと他の筋肉に刺激が入ってしまう可能性があります。

細かく説明していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
また、ここではフラットベンチを利用したオーソドックスなダンベルフライを解説します。

大胸筋上部を狙ったインクラインダンベルフライ、下部を狙ったデクラインダンベルフライに関しては6.ダンベルフライのバリエーションで解説しています。

4-1.ダンベルフライの動作手順

まずは一連の流れを紹介します。

  1. ダンベルを両手に持ち、ベンチに仰向けに寝ます。(オンザニーテクニック)
  2. しっかりと胸を張り、肩甲骨を寄せます。
  3. 両手に持ったダンベルを向かい合わせに持ち、左右に開いていきます。
    ※この時、肘は軽く曲げましょう(目安は100〜120度)
  4. ダンベルが体の真横にくるまで下ろします。(ここがフィニッシュポジションです。)
  5. 同じ軌道でダンベルを戻していき、ダンベルが身体の真上に戻る手前で切り返していきます。

それぞれの動作で意識することを細かく見ていきましょう。

1.ダンベルを両手に持ち、ベンチに仰向けに寝ます。

※軽いダンベルなら問題ありませんが、10キロ以上のダンベルを使用する場合は膝にダンベルを乗せて蹴り上げるオンザニーテクニックを利用しましょう。

ダンベルを使った種目では、いかにスタートポジションまでスムーズに持ってくるかが大切となります。
無理やり持ち上げることで肩や肘のケガ、ダンベルの落下に繋がってしまうため、オンザニーはトレーニング初心者の方でもマスターする必要があります。

言葉だけですとわかりづらいので、参考動画を載せておきます。(動画内40〜45秒参照)

2.しっかりと胸を張り、肩甲骨を寄せます。

胸椎が丸まってしまうと、大胸筋のストレッチも弱くなってしまいます。
動作中はしっかりと胸を張り、常に肩甲骨を寄せた状態をキープしましょう。

3.両手に持ったダンベルを向かい合わせに持ち、左右に開いていきます。

ダンベルが肩の真上にくる位置で持ち、手のひら同士が向かい合わせになるようにします。
この状態から真横にダンベルを下ろしていきます。

肘を伸ばしきった状態で動作を行うと肘関節への負担が高まり、怪我のリスクが高まってしまいます。
肘は常に軽く曲げた状態(100〜120度)でキープしましょう。

4.ダンベルが体の真横にくるまで下ろします。

ダンベルフライはストレッチ種目のため、一番意識することはストレッチがしっかりとかかっているか、ということです。

ダンベルが体の横に来る前に切り返してしまうと、大胸筋に十分なストレッチをかけることができません。
しっかりと大胸筋にストレッチがかかりきってから切り返していきましょう。

5.同じ軌道でダンベルを戻していき、ダンベルが身体の真上に戻る手前で切り返していきます。

ダンベルを下ろしてきた起動で戻していきます。
この時、ダンベルが肩の真上にくるまで戻してしまうと、重力の関係で大胸筋からはほとんど負荷が抜けてしまいます。

常に大胸筋に負荷をかけ続けるため、ダンベルが肩の真上にくる少し手前で切り返し、またボトムポジションまで戻していきましょう。

5.ダンベルフライを行う際の注意点

続いて、ダンベルフライを行う上での注意点を3つあげます。
ダンベルフライでは、少しでもフォームを間違えると大胸筋ではなく他の筋肉へと負荷が抜けてしまいます。
注意点を理解し、大胸筋へとピンポイントで刺激を与えましょう。

5-1.ダンベルを下ろす軌道を意識する

ダンベルフライを行う際に一番多いのが、三角筋(肩)に刺激が入ってしまうことです。
これはダンベルを下ろす軌道が間違っていると起こってしまいます。

ダンベルが体の真横ではなく上や下の軌道で下ろしてしまうと、他の部位にストレッチがかかってしまいます。
大胸筋は、筋肉の繊維が真横に走っています。この走行に沿ってダンベルを下ろしていくと、大胸筋のストレッチを意識しやすくなります。

また、中には真横に下ろしても三角筋へストレッチがかかってしまう人もいます。
その場合は、軽いダンベル(1~2kg)を利用し大胸筋がストレッチする感覚を掴んでから徐々に重量をあげていきましょう。

5-2.肘の角度は常に一定

ダンベルフライで三角筋の次に効いてしまうのが、上腕二頭筋(腕の内側)です。
これはダンベルをボトムポジションから切り返す際、腕の力を使ってしまうことで起こります。
上腕二頭筋は肘関節の屈曲で関与するため、動作中に肘の角度を一定に保つようにしましょう。

ダンベルフライは肩関節のみを使用するアイソレーション種目です。
そのため、肩の動きだけでダンベルを戻す意識で行いましょう。

※高重量を扱う場合のダンベルフライはこの限りではありません。詳しくは次章ダンベルフライのバリエーションにて解説しています。

5-3.反動は使わない

先ほども触れましたが、ダンベルフライで一番大切なことは大胸筋のストレッチを意識することです。
そして最大ストレッチは、ダンベルを体の真横に下ろしたボトムポジションでかけることができます。

そのため、ボトムポジションからの切り返しは反動を使わないようにしましょう。
ダンベルフライでは、動作中に辛くなってしまうと反動を使って持ち上げてしまいがちです。

しかしそれではストレッチが弱まり効果が半減してしまうため、
反動を使わずボトムポジションでは軽くキープ(1〜2秒)ほどキープする意識で行いましょう。

6.ダンベルフライのバリエーション

大胸筋は大きな筋肉のため、通常のダンベルフライではどうしても鍛えられない部位もでてきます。
目的に合わせたダンベルフライのバリエーションを3つ紹介していきます。

6-1.大胸筋上部に効果的!インクラインダンベルフライ

大胸筋上部に効果的!インクラインダンベルフライ通常のダンベルフライでは、主に大胸筋中部・下部が鍛えられ、上部はほとんど鍛えることができません。
そこでインクラインベンチを利用して角度をつけることにより、大胸筋上部へも刺激を与えることができます。

インクラインダンベルフライの正しいフォーム

  1. インクラインベンチの角度を70〜80度にセットします。
  2. ダンベルを両手に持ち、ベンチに仰向けに寝ます。(オンザニーテクニック)
  3. しっかりと胸を張り、肩甲骨を寄せます。
  4. 両手に持ったダンベルを向かい合わせに持ち、左右に開いていきます。
    ※この時、肘は軽く曲げましょう(目安は100〜120度)
  5. ダンベルが体の真横にくるまで下ろします。(ここがフィニッシュポジションです。)
  6. 同じ軌道でダンベルを戻していき、ダンベルが身体の真上に戻る手前で切り返していきます。

動作や注意点は、通常のダンベルフライと同様です。
動作を行う上でのコツとしては、両手首を少し回外(手首を外側に捻る)することです。
こうすることで大胸筋上部の走行とダンベルの軌道が一致するため、効かせやすくなります。

6-2.大胸筋下部に効果的!デクラインダンベルフライ

通常のダンベルフライでも大胸筋下部を鍛えることはできますが、さらに下部へピンポイントで刺激を与えたい場合にオススメなのがデクラインダンベルフライです。

1.デクラインベンチ、なければ腹筋台を用意します。
2.ダンベルを両手に持ち、ベンチに仰向けに寝ます。(頭を下向きにします)
3.しっかりと胸を張り、肩甲骨を寄せます。
4.両手に持ったダンベルを向かい合わせに持ち、左右に開いていきます。
※この時、肘は軽く曲げましょう(目安は100〜120度)
5.ダンベルが体の真横にくるまで下ろします。(ここがフィニッシュポジションです。)
6.同じ軌道でダンベルを戻していき、ダンベルが身体の真上に戻る手前で切り返していきます。

動作自体は通常のダンベルフライと同じです。
デクラインダンベルフライでは、頭が下向きになるため、頭に血が上りやすくなります。
そのため長時間行うのは避けるようにしてください。

6-3.ダンベルフライで高重量を扱いたい!上下運動のダンベルフライ

最後に紹介するのが、ワイドプレスのような動きで行うダンベルフライです。

先ほどダンベルフライで三角筋が関与する場合は、ダンベルを下ろす軌道を意識した方が良いと説明しました。
しかし、それでもまだ三角筋に刺激が入ってしまうという方もいるかと思います。

その原因は、通常のダンベルフライでは軌道が円運動で行われることでモーメントアームが大きくなり、肩関節への負荷が高まることが挙げられます。

そこでおすすめなのが、円運動ではなく上下(正確には斜め)の動きを意識したダンベルフライです。
イメージとしては、ダンベルプレスのワイドバージョン(ワイドプレス)です。

また、このダンベルフライでは通常のダンベルフライよりも高重量を扱えるという利点もあります。

フォームを解説していきます。

1.ダンベルを両手に持ち、ベンチに仰向けに寝ます。(オンザニーテクニック)
2.しっかりと胸を張り、肩甲骨を寄せます。
3.両手に持ったダンベルを向かい合わせに持ち、左右に開いていきます。
※この時、肩関節だけではなく肘関節も同時に動かします。
4.大胸筋にしっかりとストレッチがかかるまでダンベルを下ろします。
5.両肘を近づけるようにして、ダンベルを戻していきます。

フォームが難しいため、参考動画を添付しておきます。(動画内1分20秒〜2分40秒参照)

通常のダンベルフライはダンベルの軌道が円運動ですが、このダンベルフライでは縦の動きとなるため、動作が異なります。

動作中は、常に上腕と地面が垂直になることを意識しましょう。

しかし一番大事なことは大胸筋へとストレッチをかけることですので、その意識だけは忘れないようにしましょう。

まとめ

今回はダンベルフライの正しいフォームや効かせ方に関して解説してきました。
ベンチプレスやダンベルプレスに比べるとあまりメジャーではありませんが、大胸筋を発達させるには欠かせない種目です。
文中で何度も触れたように、ダンベルフライでは「ストレッチ」が大切なポイントです。
大胸筋にしっかりとストレッチがかかっていることを毎回意識して行いましょう。
ダンベルフライをマスターし、大胸筋を効率よく発達させましょう!

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編集長プロフィール

Bulkup theory編集長

Bulkup theory編集長

私は現在、IT企業で働きながら競技者としても活動していますが、本業が忙しい中で競技者として活動するためには「効果的で効率的な筋トレ」が非常に重要になってきます。このメディアでは現役の選手やパーソナルトレーナーと共に「最小限の努力で最大の成果」をモットーに高い成果を実現するための筋トレ情報を可能な限り科学的根拠を持って発信していきます。