トレーニングを始めた初期というのは、どんどん扱える重量が上がり見た目の変化も感じやすいです。
しかしある程度するとカラダも刺激に慣れ、変化が感じづらくなります。これが、いわゆる停滞期です。
そこで今回はこの停滞期を打破するのにオススメなダンベルプルオーバーの紹介をしていきます。
そもそもダンベルプルオーバーとは?といった基礎的な情報から鍛えられる部位、正しいフォームや効かせ方のまで徹底的に解説していきます。
1.ダンベルプルオーバーとは?ダンベルプルオーバーの基本情報
プルオーバーとは、両手を上から下に下げる動作のことを指します。
そしてダンベルプルオーバーは、ベンチとダンベルを利用してこの動作を行うことにより、大胸筋もしくは広背筋を鍛えていくトレーニング種目です。
まずはダンベルプルオーバーの基本的な情報から見ていきましょう。
1-1.ダンベルプルオーバーは大胸筋をメインで鍛える種目
ダンベルプルオーバーは大胸筋と広背筋を鍛えていく種目と説明しましたが、メインで刺激が入るのは大胸筋です。
大胸筋は上部、中部、下部の3つに分類されますが、ダンベルプルオーバーは上体の角度によってそれぞれ刺激が入る場所を変えることができます。
また、ダンベルプルオーバーではPOF法に分類するとストレッチ種目に該当します。
1-2.ダンベルプルオーバーでは広背筋を鍛えることも可能
ダンベルプルオーバーでは、フォームによっては広背筋を鍛えることも可能となります。
ただ、プルオーバーにはスタンディングで行うケーブルプルオーバーもあります。
こちらは広背筋をメインで刺激が入るためわざわざダンベルプルオーバーで広背筋を狙う優先度は低いと言えます。そのためダンベルプルオーバーを行う場合は大胸筋を狙って行いましょう。
2.ダンベルプルオーバーの特徴
ダンベルプルオーバーの特徴を紹介していきます。
2-1.ダンベルプルオーバーは大胸筋を縦方向からストレッチできる唯一の種目
ダンベルプルオーバーは、主に大胸筋に刺激を入れることができる種目だと説明しました。
ベンチプレスやダンベルプレスなど大胸筋を鍛える種目はたくさんありますが、ダンベルプルオーバーはこうした種目とは明らかに異なる特徴を持っています。
それが、大胸筋に対して縦方向で刺激を与えることができるという点です。
大胸筋は、筋繊維が横方向に走行している筋肉です。通常の大胸筋のトレーニングでは、この筋繊維に沿った動きが行われています。
例えば、ダンベルプルオーバーと同じストレッチ種目のダンベルフライを例に考えて見ましょう。
ダンベルフライでは、両手に持ったダンベルを真横に開きながら大胸筋をストレッチさせていきます。
この動きからわかるように、大胸筋の筋繊維に沿った動きが行われているのです。
しかし、詳しいフォームは後ほど説明しますが、ダンベルプルオーバーではダンベルが頭上を通って縦の動きをするため大胸筋に縦の刺激を与えることができるのです。
2-2.ダンベルプルオーバーは停滞期の打破に最適な種目
ダンベルプレスなどの大胸筋を鍛える種目は筋繊維に沿った動きをしているため、大胸筋へと強い刺激を与えることができます。
ダンベルプルオーバーはあえて大胸筋の走行に逆らった動きをしているため、一見非効率的な種目です。
しかし、普段与えることができない刺激だからこそ効果があります。
トレーニングを始めたばかりの頃は、すぐに扱える重量も伸びて見た目の変化も感じやすいです。
しかし人間の体は同じ刺激ばかりを与えていると順応し、次第に停滞期が訪れます。
この停滞期を打破するには、今まで違った刺激を与える必要があります。
ダンベルプルオーバーは通常の大胸筋種目で与えられない縦方向での刺激を与えることができるため、停滞期を打破するには最適な種目です。
しかし、これは裏を返せば上級者向けの種目ともいえます。
そのためトレーニング初心者の方は、まずは通常の大胸筋種目から行いましょう。
2-3.ダンベルプルオーバーは胸郭を広げる効果があるといわれている
プロのボディビルダーの中には、ダンベルプルオーバーには胸郭を広げる作用があると言及する方もいます。
かの有名なアーノルド・シュワルツェネッガー氏も胸郭を広げるためにダンベルプルオーバーを取り入れていたというのは有名な話です。
胸郭を広げることができれば、大胸筋を発達させるよりも簡単に胸囲を大きくするこが可能となりますが、私が調べた限りダンベルプルオーバーが直接的に胸郭を広げるというエビデンスは出てきませんでした。
しかし実際にダンベルプルオーバーによって胸囲を広くできたと実感している方が多いということ、そして普段とは違った刺激を与えることができるという点から効果はあるのではないでしょうか。
3.大胸筋を狙ったダンベルプルオーバーの正しいフォーム
まずは大胸筋を狙ったダンベルプルオーバーの正しいフォームから解説していきます。
まずは一連の流れから見ていきましょう。
- ベンチを横向きにセットし、肩甲骨をしっかりとベンチに乗せるようにして仰向けになる
- 両足は膝が軽く曲げた状態にし、足の裏で踏ん張る
- 三角形を作るようにして両手を重ね合わせ、ダンベルを保持する
※ここがスタートポジションです。 - 肘を軽く曲げた状態で、ダンベルを頭の後ろへと下ろしていく
- 大胸筋にしっかりとストレッチを感じたら一度止め、再度戻していく
- 胸の真上まで戻し、肘を内側に絞るようにして大胸筋を収縮させる
続いて、各動作を細かく解説していきます。
ベンチを横向きにセットし、肩甲骨をしっかりとベンチに乗せるようにして仰向けになる
ダンベルプルオーバーはベンチに仰向けに寝て行う方法もありますが、これだと大胸筋のストレッチが弱くなってしまいます。
ブリッジを組めば強いストレッチをかけることも可能ですが、ベンチに対して横向きにセットした方がやりやすくなります。
また、ベンチには肩甲骨から上背部にかけてしっかりと接地し、首はのベンチに乗せて頭だけ外に出るようにセットしましょう。
両足は膝が軽く曲げた状態にし、足の裏で踏ん張る
膝の角度は90度を目安にして曲げます。
膝がお尻に近づきすぎたり逆に遠すぎると下半身が安定しないため、あくまでも自然と力が入るポジションを探りましょう。
三角形を作るようにして両手を重ね合わせ、ダンベルを保持する
ダンベルの握り方はたくさんありますが、一番安全なのが両手で保持する握り方です。
まず片手の手のひらをダンベルのプレート部にかざし、もう片方の手を重ね合わせます。
両手で三角形を作るようにしてダンベルを保持します。
肘を軽く曲げた状態で、ダンベルを頭の後ろへと下ろしていく
ダンベルをしっかりと保持したら、肘を軽く曲げます。
その状態をキープしたまま、ダンベルを頭の後ろへとゆっくり下ろしていきましょう。
大胸筋にしっかりとストレッチを感じたら一度止め、再度戻していく
フィニッシュポジションは肩関節の柔軟性によって変わってきますが、大胸筋へとしっかりとストレッチがかかる場所まで下ろしていきます。
ストレッチを感じたら一度止め、再度スタートポジションまで戻していきましょう。
胸の真上まで戻し、肘を内側に絞るようにして大胸筋を収縮させる
ダンベルがちょうど胸の真上に来るまで戻していきます。
また、この時に脇を閉じるようにして大胸筋を収縮させることを意識しましょう。
3-1.大胸筋を狙ったダンベルプルオーバーのコツと注意点
肘を軽く曲げた状態をキープする
ダンベルプルオーバーを行う際は、肘を軽く曲げた状態(約50~70度)をキープします。
肘を伸ばしきってしまうと大胸筋のストレッチが弱くなってしまうためです。
また、ダンベルを戻す際に肘が伸びないようにも注意しましょう。
動作中に肘の曲げ伸ばしが行われると、トライゼプスエウクステンションのような動きになってしまい上腕三頭筋の関与が高まってしまいます。
反動を使わない
ダンベルプルオーバーは、ストレッチ種目です。
そのためフィニッシュポジションで一番強い負荷を与えることができます。フィニッシュポジションでの切り返しで反動を使ってしまうとストレッチが弱くなってしまうため気をつけましょう。
イメージとしては最大ストレッチ時に一度動きを止め、1~2秒停止してから切り返していきます。
ストレッチ時にお尻を上げる
ダンベルプルオーバーは、肩関節の柔軟性が低いと上手にストレッチをかけることができません。
そこで、肩関節が硬い人はダンベルを下ろしていく際に一緒にお尻をあげましょう。
腰にアーチを組むことで、可動域が狭くともストレッチをかけやすくなります。
4.広背筋を狙ったダンベルプルオーバーの正しいフォーム
続いて、広背筋を狙ったダンベルプルオーバーのフォームを解説していきます。
基本的に動作は同じなのですが、少しフォームを変えるだけで広背筋へと効かせやすくなります。
まずは一連の流れから見ていきましょう。
- ベンチを横向きにセットし、肩甲骨をしっかりとベンチに乗せるようにして仰向けになる
- 両足は膝が軽く曲げた状態にし、足の裏で踏ん張る
- 三角形を作るようにして両手を重ね合わせ、ダンベルを保持する
※ここまでは大胸筋を狙ったダンベルプルオーバーと同じ動作です。 - 肘を伸ばした状態で、ダンベルを頭の後ろへと下ろしていく
- 広背筋にしっかりとストレッチを感じたら一度止め、再度戻していく
- ダンベルをみぞおちの上あたりまで戻し、広背筋を収縮させる
続いて、各動作を細かく解説していきます。
- ベンチを横向きにセットし、肩甲骨をしっかりとベンチに乗せるようにして仰向けになる
- 両足は膝が軽く曲げた状態にし、足の裏で踏ん張る
- 三角形を作るようにして両手を重ね合わせ、ダンベルを保持する
※ここまでは大胸筋を狙ったダンベルプルオーバーと同じ動作と同じのため割愛します。
肘を伸ばした状態で、ダンベルを頭の後ろへと下ろしていく
大胸筋を狙ったダンベルプルオーバーでは肘を軽く曲げた状態で行いましたが、広背筋を狙う際はできるだけ肘を伸ばした状態で行います。
広背筋にしっかりとストレッチを感じたら一度止め、再度戻していく
ボトムポジションで広背筋へとストレッチを感じたら、背中でダンベルを押し上げるようにして戻していきます。
ダンベルをみぞおちのあたりまで戻し、広背筋を収縮させる
大胸筋を狙ったダンベルプルオーバーではフィニッシュポジションで胸の真上にダンベルが来ましたが、広背筋を狙う際はより下げてみぞおちを目安に戻します。
そうすることで広背筋の起始と停止が近づき、より収縮感を得やすくなります。
4-1.広背筋を狙ったダンベルプルオーバーのコツと注意点
肘は伸ばして固定する
広背筋を狙う際は、できるだけ肘を曲げずに動作を行います。肘を伸ばすことで、より広背筋へとストレッチをかけることができるためです。
しかし、肘を伸ばした状態で動作を行うと関節への負担も高まってしまいます。そのためまずは軽めの重量から行いましょう。
脇を開いて肩甲骨を寄せる
動作中は気持ち脇を開くようにしましょう。脇を開くことで肩甲骨が寄り、広背筋へと刺激が入りやすくなります。
以上のように、ダンベルプルオーバーでは大胸筋と広背筋を狙った際にフォームが若干異なります。
大まかな動作自体は同じですが大胸筋を狙った際には肘を軽く曲げた状態で行い、広背筋を狙う際は肘を伸ばして行いましょう。
また一番大事なのは自分が狙いたい場所への意識ですので、動作中は常にマッスルコントロールを心がけましょう。
5.まとめ
今回はダンベルプルオーバーに関する基本的な情報から効かせ方のコツまで紹介をしてきました。
ダンベルプルオーバーは大胸筋と広背筋を鍛えることができる種目です。
特に大胸筋では縦方向にストレッチをかけられる唯一の種目のため、停滞期の打破に最適な種目ということができます。そのため初心者にはあまり優先度が高くないですが、トレーニング中〜上級者の方はマンネリ化を感じた際などにたまに取り入れてみることをオススメします。
ダンベルプルオーバーを行って停滞期を打破し、大きく発達した大胸筋を手に入れましょう!
コメント