バックプレスは危険?どこを鍛えられるの?三角筋の人気種目『バックプレス』を徹底解説!

男らしい肩幅を手に入れるためには、三角筋のトレーニングが欠かせません。

そこで今回は三角筋のトレーニングの中でも人気種目であるバックプレスに関して解説していきます。

『バックプレスは本当に三角筋後部に効くの?』『バックプレスは危険な種目なの?』など、バックプレスに関する疑問の解明とそもそもバックプレスとは?といった基本的な情報から正しいフォームまで徹底的に解説していきます。

バックプレスのことを正しく理解し、大きく発達した三角筋を手に入れましょう!

1.バックプレスとは?バックプレスの基本情報

バーベルショルダープレスは安定して高重量を扱える

バックプレスとは、バーベルを首の後ろに下ろして持ち上げる、肩周りの筋肉を鍛える種目です。

まずはバックプレスの基本的な情報から見ていきましょう。

1-1.バックプレスで最も刺激が入るのは三角筋前部

肩は三角筋と呼ばれる筋肉によって覆われており、上図のように前部(赤)、中部(紫)、後部(緑)の3つに分類することができます。

そしてよく、バックプレスを三角筋後部を狙って行っている方を見かけます。しかし、実はバックプレスで最も刺激が入るのは三角筋前部です。

早稲田大学で、5つのプレス系種目(ワイドベンチプレス、ナローベンチプレス、インクラインベンチプレス、フロントプレス、バックプレス)の筋電図を比較する研究が行われました。1)

この研究結果によると、フロントプレスとバックプレスではバーベルの挙上時に多少バックプレスの方が三角筋後部に刺激が入っていましたが筋電図にはほとんど優位な差が見られませんでした。(下図参考)
※FP=フロントプレス BP=バックプレス

また、バックプレスでは、三角筋前部、中部、後部のうち主に三角筋前部に刺激が入っていることが明らかにされています。(下図参考)

つまり、バックプレスは三角筋後部ではなく前部を鍛える種目なのです。

ただし、フロントプレスよりはバックプレスの方が三角筋後部への刺激が入っているため、まったく意味がないと言うわけではありません。

三角筋後部では高重量を扱える種目が少ないため、バックプレスであくまでもサブ的な役割として三角筋後部を狙うという方法もあります。

1-2.バックプレスは肩関節と肘関節を動員するコンパウンド(多関節種目)で筋肥大に効果的!

トレーニングには、動作内でいくつかの関節を動員するコンパウンド(多関節種目)と一つの関節のみを動員するアイソレーション種目(単関節)種目があります。

そしてバックプレスは、このうち肩関節と節肘関節を動員するコンパウンド種目に該当します。

コンパウンド種目を行うメリットとしては、高重量を扱いやすいという点です。

複数の関節が関与するということは動員される筋肉の数も多くなり、パワーを発揮しやすいというメリットがあります。

また、特にトレーニング初期はコンパウンド種目が有効です。

高重量を扱えるということで神経系の発達につながり、筋肥大にも効果的です。

しかし、その一方でコンパウンド種目はフォームが難しく、怪我に繋がるというリスクもあります。

そして詳しくは後述しますが、バックプレスでは動作の関係上肩関節に大きな負担がかかってしまいます。そのためコンパウンド種目で高重量を扱えるからといって、無闇に高重量を扱うのは避けましょう。

1-3.バックプレスはミッドレンジ種目で高重量が扱える

バックプレス

トレーニング種目は全てPOF法(Position of flexion)に分類することができます。

POF法とはどの位置で筋肉に対して最も負荷がかかるか、3分割(動作の中間で負荷がかかるミッドレンジ種目、筋肉が収縮時に最も負荷がかかるコントラクト種目、ストレッチ時に最も負荷がかかるストレッチ種目)に分ける方法です。

そしてバックプレスは、このうちミッドレンジ種目に該当します。

ミッドレンジ種目を代表するトレーニングにはベンチプレスやスクワットがあります。

これらのトレーニングを見ればわかる通り、ミッドレンジ種目の特徴としては筋出力が高く、高重量を扱えるという点です。

つまり、バックプレスも比較的高重量を扱いやすいということです。

ただし、これもコンパウンド種目同様、無理して高重量を扱うのは避けるべきです

2.バックプレスをオススメできない3つの理由

バックプレスは、積極的にやるべきではない種目です。

その理由を3つ説明していきます。

2-1.肩関節へと強い負担がかかる

まず1つ目が、バックプレスは肩関節へ強い負担をかける種目だということです。

バックプレスの特徴としてはコンパウンド種目とミッドレンジ種目、つまり高重量を扱えるという点を挙げました。

しかし、先ほどから述べているようにバックプレスで高重量を扱うのは避けたほうがいいです。

なぜなら、バックプレスはその動作自体が肩関節へ大きな負担をかけるからです。

バックプレスは、頭上に持ち上げたバーベルを首の後ろに下ろしていきます。

この首の後ろでバーベルを上下させる運動は、肩関節の外旋(小さく前習えした状態で肘から先を外側に開く動作)と外転(上腕を真横に上げる動作)が同時に起こります。

肩関節の柔軟性にもよりますがこれは基本的には関節に非常に強い負担をかけ、回旋腱板やローテーターカフといったインナーマッスルの怪我のリスクを高めてしまいます。

2-2.可動域が狭い

バックプレスは首の後ろでバーベルを下げていきますが、三角筋に負荷を乗せたままで下ろせる範囲は限られています。

首の付け根まで下ろしてしまうと、肩がすくんで僧帽筋の関与が高まってしまいます。

そのため、他のプレス系の種目と比較してもそもそも可動域を広くとれない種目だということです。

2-3.あえて行うメリットがない

仮にバックプレスで三角筋後部がメインで鍛えられるならば、高重量で三角筋後部に刺激を与えられる数少ない種目という観点からバックプレスは重宝します。

しかし、前述したようにバックプレスで最も刺激が入るのは三角筋前部です。

そして同じ三角筋前部を鍛えるのであれば、怪我のリスクから見てもバールショルダープレスやダンベルショルダープレスの方が効果的です。

つまり、バックプレスを進んで行うメリットというのはないわけです。

新しい刺激を入れてマンネリ化を防ぐためたまに取り入れるのであれば問題ありませんが、肩の種目で積極的に取り入れる理由はないと言えます。

3.バックプレスの正しいフォーム

バックプレス

バックプレスはただでさえ関節に負担がかかる種目ですので、間違ったフォームで行うとさらに怪我のリスクが高まってしまいます。

ここでは、バックプレスの正しいフォームを解説していきます。

まずは一連の流れから見ていきましょう。

3-1.動作手順

  1. フラットベンチに座り、しっかりと胸を張る
  2. バーベルを肩幅の約1.2倍~1,5倍で握る
  3. バーベルをラックアップし、一度頭上に持ち上げる
  4. ゆっくりと頭の後ろへと下ろしていく
  5. 三角筋から負荷が抜けないところまで下ろす
  6. 切り返して頭上まで上げる
  7. 1~6を繰り返して行う

続いて、それぞれの動作を細かく解説していきます。

フラットベンチに座り、しっかりと胸を張る

バックプレスに角度をつけて上体を背もたれに預ける方法もありますが、
これだとバーベルが背もたれに当たる可能性があります。
なるべくフラットベンチを使用しましょう。

バーベルを肩幅の約1.2倍~1,5倍で握る

バーベルの手幅は、肩幅よりも少し広いところで握ります。
握り方はオーバーハンドグリップにし、親指はしっかりと握りこみましょう。
バックプレスでは、首の裏にバーベルを下ろすため自分では軌道が確認しづらくなります。そのため、サムレスグリップではなくしっかりと親指まで握りこみましょう。

バーベルをラックアップし、一度頭上に持ち上げる

バーベルを頭上まで上げたらもう一度しっかりと胸を張ります。
しっかりと腹圧をかけ、体幹を安定させましょう。
ここがスタートポジションになります。

ゆっくりと頭の後ろへと下ろしていく

ここから実際の動作へと入ります。
軌道が見えづらい分、ゆっくりと丁寧に下ろしていきましょう。
また、バーベルが体から遠くならぬよう、常に頭の後ろに沿って下ろしていきます。

三角筋から負荷が抜けないところまで下ろす

下ろす位置に関しては肩関節の柔軟性によって個人差がありますが、目安としては耳あたりです。
これより下に下ろしてしまうと三角筋から負荷が抜けて僧帽筋の関与が高まってしまいます。
ここがフィニッシュポジションです。

再度バーベルを頭上まで上げる

しっかりと三角筋のストレッチを感じたら、再度バーベルを頭上まで上げていきます。
この時、肘が伸びきらないようにしましょう。
肘が伸びきってしまうと三角筋から負荷が抜けて肘関節の負担が高まってしまいます。
動作中は常に三角筋から負荷が抜けないことを意識しましょう。

4.バックプレスを行う際の注意点

バックプレスを行う際に注意すべき点を3つ挙げていきます。

4-1.無理して高重量を扱わない

バックプレスはコンパウンド種目のため、扱おうと思えば高重量でセットを組むことが可能です。
しかし、文中で何度も述べているようにバックプレスは怪我のリスクが高い種目です。
また、通常のバーベルショルダープレスに比べて目視で軌道が確認出来る範囲が狭くなります。
そのためコントロールが難しくなるので、少し余裕があるくらいの重量で行うようにしてください。

4-2.早く下ろさない

バックプレス行う際は、なるべくゆっくりとバーベルを下ろすようにしましょう。
バックプレスは広い可動域が取れない(肩関節への負担と僧帽筋の関与が高まるため)種目ですが、スピードをつけて下ろしてしまうと勢いで可動域が広くなってしまいます。
なるべくゆっくりと、三角筋に負荷を感じながら下ろしていきましょう。

4-3.反動を使わない

これは②番のスピードとも関係する点ですが、バックプレスではフィニッシュポジションからの切り返して反動を使わないようにしましょう。
反動を使ってしまうと、より肩関節への負担が高まります。
バーベルはゆっくりと下ろしていき、フィニッシュポジションで一度止めてから切り返すようにしましょう。

5.より安全にバックプレスを行うために、スミスマシンを利用したバックプレスの紹介

通常のバーベルプレスは、怪我のリスクが高いためあまりオススメできないと解説してきました。

そこで、より安全にバックプレスを行うためにスミスマシンを使用したバックプレスを紹介します。

スミスマシンバックプレスでは、軌道が安定しているためコントロールをする必要がありません

そのため、三角筋へとより効かせやすくなります。

ただし、動作自体は通常のバックプレスと同じため肩関節には強い負担がかかることは認識しておきましょう。

また、セッティングは慎重に行いましょう。

軌道が決まっているため、ベンチの位置や座る位置を間違うと三角筋以外に負荷がかかってしまいます。

まずは重りをつけない状態でフォームを試し、三角筋にしっかりと負荷が乗っていることを意識してから加重をしていきましょう。

6.まとめ

今回はバックプレスに関して解説してきました。

バックプレスは三角筋後部ではなく、三角筋前部をメインで鍛える種目です。

また、動作の関係上肩関節への負担が高く、あまりオススメできない種目です。

たまに新しい刺激を与えるために取り入れるのであれば問題ありませんが、積極的に取り入れる必要はありません。

メニューに取り入れる場合もまずは低重量で試してから行いましょう。

もし少しでも肩に違和感を感じるなら、避けるべきです。

肩関節はただでさえ怪我をしやすい関節ですし、怪我をしてしまったら他の種目にも影響が出てしまいます。効率よくボディメイクを成功させるためにも、安全面に配慮してトレーニングを行いましょう。

 

参考文献

1)半田透(2009)『代表的な筋力トレーニング種目における主働筋の 筋電図学的分析Electromyographic Analysis of the Agonist Muscles During Commonly Prescribed Resistance Training Exercises 』

コメント

編集長プロフィール

Bulkup theory編集長

Bulkup theory編集長

私は現在、IT企業で働きながら競技者としても活動していますが、本業が忙しい中で競技者として活動するためには「効果的で効率的な筋トレ」が非常に重要になってきます。このメディアでは現役の選手やパーソナルトレーナーと共に「最小限の努力で最大の成果」をモットーに高い成果を実現するための筋トレ情報を可能な限り科学的根拠を持って発信していきます。