筋トレの効果を高めるためにはセット間のインターバルも大事だということは周知の事実です。ただ、インターバルに関しては「出来るだけ短くするべき」「インターバルを長くすると筋トレの効果が落ちる」「しっかりと休憩しないとトレーニングの質が下がる」などさまざな意見が長れているため困惑しがちです。
しかし実は、より効率よくボディメイクを成功させるためのインターバル時間というのは数多くの研究によってしっかりと決まっています。
そこで今回はもっとも最適なインターバル時間を具体的に解説していきますので、本稿を読んで自分のトレーニングに取り入れ、効率よく理想のカラダを手に入れましょう!
1. 筋肥大にもっとも効果的なインターバル時間は3~5分
インターバルに必要な時間として一般的に言われている主張は
・60秒以内(出来るだけ短くし、成長ホルモンの分泌を促す)
・3~5分(しっかりと休憩をとり、後半セットにおいてパフォーマンスの低下を防ぐ)
のどちらかです。
結論からいってしまうと、この2つの主張のうち正しいのは後者です。
つまり筋トレのセット間におけるインターバルは3~5分とるのがもっとも筋肥大に効果的だというわけです。
なぜ60秒ではなく3-5分がいいのか、その理由は次章から詳しく解説していきます。
2. インターバル60秒以内神話は崩壊した
最近でこそ「インターバルはなるべく長くとるべき」という声をよく聞くようになってきましたが、まだまだ主流は「60秒以内で次のセットを開始するべき」といったものですよね。実際に指導者の中にも短時間のインターバルを推奨している方もいます。
この主張は主に
・インターバルを短くすることで成長ホルモンの分泌が促進される
・筋肉を完全に回復させてしまうと筋肥大の効果が落ちる
といった2つの理由から成り立っています。
しかし、このインターバル60秒以内が効果的という説は最近の研究によって完全に否定されています。
2-1. インターバルを短くすると成長ホルモンの分泌は高まる
インターバルを短く設定することの一番大きなメリットとして考えられていたのが、成長ホルモン分泌の促進です。筋トレをすると成長ホルモンやテストステロンなどが分泌されますが、これらのホルモンが筋肥大に効果的と考えられていたからです。
そして成長ホルモンは、筋トレのインターバル時間によって分泌量が異なるとわかっています。
2010年にRamihi.Rらが行なった実験1)によると、セット間のインターバルを1分と2分で比較した場合、前者(1分)のほうが明らかに成長ホルモンの分泌が優位だったということが報告されています。
つまり、インターバル時間が短いほうが成長ホルモンの分泌は高まるのです。
2-2. 実は成長ホルモンと筋肥大に相互関係はない

Muscular man over dark background. Bodybuilder.
インターバルを短く(60秒)に設定した場合確かに成長ホルモンの分泌は高まったのですが、実は成長ホルモンと筋肥大には相関関係が認められていません。いくつかの研究報告を見ていきましょう。
2009年に、筋トレ直後の血中ホルモン増加と筋肥大にどのような関係があるかを調べた実験2)が行われました。
同実験ではトレーニング種目と鍛える部位を変えることにより
①血中ホルモンを少なく保つ(アイソレーション種目のみ)
②血中ホルモンを増加させる(コンパウンド種目も追加し、大筋群も狙う)
の2つの条件下でどちらが筋肥大に効果的かを調べました。
ところが、結果としては2つのグループともに筋タンパク合成率に優位な差は見られませんでした。
また2012年にWestらによって若年男性を対象に行われた研究3)でも、ホルモン増加と筋肥大には相関関係は見られなかったとされています。
つまり、今まで囁かれていた「成長ホルモンの分泌が高まる=筋肥大に効果的」といった通説は否定されたわけです。
2-3. むしろ短時間のインターバルは筋トレ効果を下げる危険性も
ここまでインターバルを短く設定することが筋肥大に効果的といった主張を否定してきました。そしてさらに、実はインターバルが短いと筋トレ効果を下げるとも言われています。
実際に2016年に行われた実験4)によると、インターバル時間を1分に設定したグループと5分に設定したグループでは、トレーニング後における筋タンパク質の合成率がそれぞれ76%と152%と5分のほうが優位に高い結果となりました。
つまり、今までの内容をわかりやすくまとめると
・インターバルを短くした場合は確かに一時的には成長ホルモンの分泌が高まるが、そもそも成長ホルモンやテストステロンの増加と筋肥大には相互関係はない
・インターバルを短くするとむしろ筋タンパク質合成率が低下する
→インターバルは短く設定するべきではない
となります。
3. 3~5分のインターバル時間が支持されている理由
本稿の冒頭でも、結論として適切なインターバル時間は3-5分と説明しましたが、なぜこの見解が支持されているかの理由を紹介していきます。
3-1. 筋タンパク合成率が高まる
先ほど紹介したように、インターバル時間を1分と5分に設定した場合、後者の方が明らかに筋タンパク質の合成率が高かったということがわかっています。
つまり、インターバルを長くとったほうが筋トレの目的である筋肥大に効果的だというわけです。
そして実際にインターバルは3-5分が効果的だと裏付けされる研究結果は数多くあります。
例えば2016年に報告された研究結果5)によると、若年男性21名をインターバル時間1分と3分のグループに分けて同一のトレーニングメニューを8週間にわたって行わせたところ、3分のグループのほうが筋量・最大筋力共に増加していたことが報告されています。
3-2. インターバルを長くするとトータルボリュームがアップする
なぜインターバルを短くするよりも長くすると筋トレ効果が高まるかは、トータルボリュームのアップによるものだと考えられています。
トータルボリュームとはどれだけ筋肉に対して刺激を与えたかを示す指標であり、下記の公式で表すことができます。
トータルボリューム=挙上重量×レップ数×セット数
そして最近の研究によると筋肥大にもっとも大切なファクターはトータルボリュームの大きさだとされています。
インターバルを長く設定することとトータルボリュームにどんな関係があるのでしょうか。
これは単純に休憩時間を長く取ることで後半セットでもレップ数を下げる必要がなくなるため、結果としてトータルボリュームを増やすことができるのです。
逆にインターバルを1分に設定してしまうと、体力・筋力がしっかりと回復しないため後半セットに悪影響が出てしまいます。
これが、インターバルを3-5分と長めに設定するべき最大の理由です。
4. インターバルを長くとるべき3つのメリット
数々の研究からインターバルはしっかりと取るべきことがわかっていますが、他にもメリットがあるため個人的な見解も含めて3つ紹介していきます。
4-1. 精神的に余裕が出る
まず1つ目が、精神的な余裕が出ることです。今までインターバルを60秒に設定していた方ならわかると思いますが、トレーニングのセット間における60秒はあっという間です。
トレーニング中は1セット1セット全力で行うことが大切ですが、インターバルが短いと体力・筋力よりも先にメンタルがやられてしまいかねません。
筋トレの成果はメンタルの強さも大きく影響してくるため、休憩が短いとトレーニングの質も低下します。
しっかりインターバルをとってメンタル面を回復させ、次のセットに備えましょう。
4-2. フォームが崩れにくくなる
続いて2つ目のメリットは、フォームが崩れにくくなる点です。インターバルが短いと筋力・体力の回復が間に合わなくなる可能性がzありますが、これはフォームの乱れに繋がります。
フォームが乱れると怪我のリスクも上がるため、長い目で見た場合ボディメイクには不利となります。
落ち着いてから次のセットに入れるくらい、長めにインターバル時間を設定しましょう。
4-3. カラダの変化を実感しやすくなる
最後3つ目のメリットは、カラダの変化を感じやすくなる点です。実際に私自身も数年前まではインターバルをそこまで長くとっておらずベンチプレスであれば60~90秒、スクワットの場合は長くとも120秒ほどに設定していました。
やはり短時間では筋力・体力ともに回復することはなく、後半セットの質が落ちて最大筋力も伸び悩む状態に。
しかし一度試しにインターバルを長めに設定してからは1セット1セット全力で追い込むことができ、停滞zしていた挙上重量も伸び始めました。結果としてカラダの変化も実感できました。
トレーニングルーティンを変えるという意味でも、インターバルの時間を長く設定することはおすすめです。
5. インターバルを長くとることのデメリットは特にない
今までインターバルを長くとることのメリットばかりを説明してきましたが、ここで気になるのがデメリットに関してですよね。結論からいってしまうと、インターバルを長く設定するデメリットは特にありません。
なぜならインターバルは短くすべきという主張は
・成長ホルモンの分泌促進
・筋肉を完全に回復させてしまうと筋肥大の効果が落ちる
といった2つの理由から成り立っていましたが、前者の成長ホルモンに関しては筋肥大と関係がないと説明してきました。
そして実は、後者の「筋肉を完全に回復させてから次のセットに入ると筋肥大の効果が落ちる」という意見に関しても特に科学的根拠があるわけではありません。
つまり、インターバル時間を3-5分に設定することはボディメイクの観点から考えるとメリットはあっても特にデメリットはないというわけです。
6. すべての種目でインターバルを長く設定する必要はない
バルクアップをしたいのであればインターバルは3-5分に設定するべきと紹介してきましたが、すべての種目で3分以上休憩をしていたらかなり時間がかかってしまいます。長すぎるトレーニングはストレスホルモンのコルチゾールが分泌されてカタボリック傾向になってしまいます。
そこで、種目に合わせて時間を調整していきましょう。
6-1. コンパウンド種目は3-5分
ベンチプレスやスクワット、デッドリフトなど大筋群を鍛えるコンパウンド種目の場合は、3-5分に設定してしっかりと休憩しましょう。
やはりコンパウンド種目の場合は体力の消耗も激しく、短いインターバルでは回復しきらないからです。
6-2. アイソレーション種目は1-2分で十分
アイソレーション種目の場合は、そこまで長い時間インターバルをとる必要はありません。
なぜなら使用する筋肉が1つでなおかつ体積も小さいため、回復にそこまでの時間を要しないからです。
アイソレーション種目まで3分以上のインターバルをとってしまうと、トレーニング時間が大幅に長引いてしまいます。
そのためコンパウンド種目は3-5分、
アイソレーション種目は1分を目安にインターバルを設定してください。
最後に、実際に私が脚を鍛える際のインターバル時間の目安を紹介しておきます。
脚トレーニングの具体例(所要時間:60分)
※インターバル3~5分
・レッグプレス→10レップ×3セット
※インターバル3~5分
・レッグエクステンション→15レップ×3セット
※インターバル60秒
・レッグカール→15レップ×3セット
※インターバル60秒
まとめ
今回は筋トレとインターバルの関係を解説してきました。
今までなんとなく60秒前後に設定していた方は多いと思いますが、さまざまな研究によって最適なインターバル時間はきまっています。
短すぎるインターバル時間は筋トレの効果を高めるどころかむしろ筋肥大を阻害する原因ともなりますので注意してください。
筋肥大に最適なインターバルは3=5分ですので、この時間を軸にトレーニングメニューを組んでください。
効率よくボディメイクを成功させるために、今一度インターバルを見直して見ましょう。
参考文献
1)Ramihi.R(2010)Effects of very short rest periods on hormonal responses to resistance exercise in men.J Strength Cond Res.
2)West DW(2009)Resistance exercise-induced increases in putative anabolic hormones do not enhance muscle protein synthesis or intracellular signalling in young men
3)West DW(2012)Associations of exercise-induced hormone profiles and gains in strength and hypertrophy in a large cohort after weight training.
4)Short inter-set rest blunts resistance exercise-induced increases in myofibrillar protein synthesis and intracellular signalling in young males.
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