鍛える前におさえておきたい中殿筋の基本情報、おすすめの種目、トレーニングメニュー

臀部の筋肉について調べると、大殿筋の他に中殿筋という名称の筋肉も出てきます。

大殿筋を鍛える方法はおさえた人は増えてきていますが、中殿筋を鍛える方法や効果的に鍛えるポイントをおさえている人はまだまだ多くいらっしゃらないのが現状です。

この記事では、中臀筋の構造とはたらき、効果的に鍛えるための3つのポイント、中殿筋を鍛えるのにおすすめの種目、トレーニングメニューを紹介しています。ぜひ、参考にしてみてください。

1.おさえておきたい中殿筋の基本情報

中殿筋を集中的に鍛える前に、中殿筋の基本情報をおさえておきましょう。

1ー1.中殿筋の構造


中殿筋は骨盤(腸骨)から太ももの骨(大転子の尖端)までについている臀部の筋肉です。中殿筋は大殿筋のやや上方にあり、中殿筋の一部は大殿筋に覆われてます。中殿筋を発達させることで臀部をより大きくすることができ、丸みを帯びたヒップを手に入れることができます。

1ー2.中殿筋のはたらき


中殿筋の主なはたらきは以下の3つです。

・股関節の伸展
・股関節の外転
・股関節の外旋

股関節の伸展は脚を後方に引く動きで、股関節の外転は脚を外側に振る動き、股関節の外旋は脚を外側に開く動きです。これらのはたらきは大殿筋のはたらきでもあるので、この3つのはたらきに関しては大殿筋の種目でまかなうことができます。

中殿筋は上のはたらきの他にも、骨盤を平行に保つはたらきも有しています。片脚ずつ鍛えるシングルレッグ種目を行うことで中殿筋の骨盤を平行に保つはたらきにより、中殿筋に強い刺激を与えることができます。

つくばリポジトリ
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このはたらきは大殿筋にはないはたらきで中殿筋を効果的に鍛えるためにはこのはたらきを上手く利用する必要があります。

1ー3.中殿筋を発達させることで立体感のあるヒップをつくることができる


中殿筋を発達させることでより立体感のあるヒップをつくることができます。中殿筋は上部を除き大殿筋と重なっているので、中殿筋が発達することで重なっている部分の盛り上がりが大きくなり立体的なヒップが出来上がります。

大殿筋のトレーニングをフリーウエイトで行うことで中殿筋もある程度は発達しますが、骨盤を平衡に保つ中殿筋の特有のはたらきをを利用した中殿筋に特化した種目を取り入れることでより中殿筋を発達させることができます。

2.中殿筋を効果的に鍛えるための3つのポイント

ここでは、中殿筋を効果的に鍛えるためのポイントを紹介します。

2ー1.事前に中殿筋を活性化させる

中殿筋を重点的に鍛えたいのであれば、事前に中殿筋を活性化させておきましょう。中殿筋を活性化させておくことで安定した動作でトレーニングができるようになります。

中殿筋を活性化させる準備運動はシェルエクササイズがおすすめです。方法は以下のとおりです。

①真横に寝て股関節と膝と足首の角度を90度にする
②下側の腕は頭の下に、上側の手はへその前に置く
③足首の側面をつけたまま上側の膝を持ち上げていく
④骨盤が捻れないで持ち上げる高さまで膝を持ち上げる
⑤コントロールしながら膝を下ろしていく

シェルエクササイズはトレーニング前に20回ずつ行うようにしましょう。事前にシェルエクササイズをしておくことで中殿筋を使いやすくなるだけでなく、スクワットでの股関節の捻れを予防することもできます。脚のトレーニングの前にはシェルエクササイズを行うようにしましょう。

2ー2.フリーウエイトで行う


中殿筋を鍛えるときはフリーウエイトで行うようにしましょう。フリーウエイトで行うことで中殿筋のはたらきの1つである骨盤を平行に保つはたらきによりマシンで行うものよりも中殿筋に刺激が入りやすくなります。中殿筋を鍛えるとき、骨盤を平行にするはたらきを有効利用するためにできるかぎりはフリーウエイトで行うようにしましょう。

2ー3.ヒップアブダクションのような股関節の外転のみの動作は避ける


中殿筋狙いの筋肥大のトレーニングを行うとき、ヒップアブダクションのような股関節の外転のみの動作は避けるようにしましょう。なぜなら、ヒップアブダクションのような股関節の外転のみの動作で負荷を増やしていくと胴体を横に曲げる側屈という動作が入り中殿筋へ刺激が入りにくくなるからです。

また、中殿筋は外転のみの動作よりも股関節の伸展を伴う動作のほうが刺激が強くなるというデータがあります。

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/49411/1/17_11.pdf

筋肥大のために中殿筋を鍛えるのであれば、股関節の外転のみの動作は避けましょう。

3.中殿筋を鍛えるのにおすすめの種目

ここからは、中殿筋を鍛えるのにおすすめの種目を紹介します。

3ー1.ワイドスタンスでのローバースクワット


中殿筋狙いのトレーニングで最初に行ってほしいのがワイドスタンスで行うローバースクワットです。ローバースクワットは中殿筋のはたらきである股関節の伸展と外転の両方が行えて、なおかつ高重量が扱える種目です。

また、ワイドスタンスでのローバースクワットは中殿筋だけでなく大殿筋を鍛えたい人にもおすすめの種目です。ワイドスタンスでのローバースクワットは殿部を大きくしたい人にとっては欠かせない種目です。方法は以下のとおりです。

①ラックを脇とみぞおちの間の高さに、セーフティーを膝の高さに設定する
②肩甲骨の真中にバーがくるようにする
③息を吸い込んでからバーの下に足を置いて立ち上がる
④2~5歩で後ろに下がり、スタンスを肩幅の1.5倍に広げる
⑤息を吸い込んで股関節を引きながらしゃがんでいく
⑥膝よりも股関節が下に来るまでしゃがむ
⑦しゃがみきったら立ち上がり、横から見て足の真中と股関節とバーが一直線にくるようにする

中殿筋狙いのローバースクワットを行うときはつま先を外側に45度開いて行うようにしましょう。そうすることで殿筋群への刺激が強くなります。ぜひ試してみましょう。

ワイドスタンスでのローバースクワットの適切な回数とセット数

ワイドスタンスでのローバースクワットは1セットの回数を5回に設定しましょう。ローバースクワットは回数が多すぎると呼吸が苦しくなりフォームが崩れる可能性が出てきます。ローバースクワットでのフォームの乱れは深刻な腰へのダメージにつながるので、1セットの回数は5回にしておきましょう。

ローバースクワットのセット数は最低でも5セット、できれば6セット行うようにしましょう。1セットの回数が少ないのでセット数でボリュームを確保するようにしておきましょう。

3ー2.ラテラルスクワット

中殿筋狙いのトレーニングを行うのであればラテラルスクワットを行うようにしましょう。ラテラルスクワットは股関節の伸展を行いながら股関節の外転を同時に行うことができる中殿筋のための種目です。あまり馴染みがない種目かもしれませんが中殿筋を発達させたいのであればできるだけ行うようにしましょう。

ラテラルスクワットで私が個人的におすすめしたいのがダンベル1つを身体の前に持って行うゴブレットスタイルのラテラルスクワットです。ゴブレットスタイルのラテラルスクワットはバーベルを担いで行うラテラルスクワットよりも簡単に行える優れた種目です。方法は以下のとおりです。

①ダンベルの端を両手で持ち、ダンベルを胸につける
②スタンスを肩幅の1.5倍にしてつま先を正面に向ける
③骨盤を右(左)斜め後ろに引きながら右(左)の足首の上に膝がくるようにする
④正面から見たときに右(左)側の足首と膝と股関節が一直線上にくるようにする
⑤右足で床を押してスタンスの真ん中に骨盤がくるように立つ

ラテラルスクワットは片脚ずつ鍛えていく種目ですが、もう片方の脚に気を配らなくてもいいという種目ではありません。鍛えていない側の脚もしっかりと気を配るようにしましょう。特につま先が外側に開いたり足の親指が床から離れたりしやすいのでしゃがむときは気をつけましょう。

ラテラルスクワットの適切な回数・セット数

ラテラルスクワットの1セットの回数は10回にしておきましょう。ラテラルスクワットの場合、回数が少な過ぎると中殿筋への刺激を感じにくく、回数が多過ぎると集中力が切れたり中殿筋ではなく腕がきつくなるので10回がベストの回数です。

セット数は3セットにしておきましょう。ラテラルスクワットは片脚ずつ行う種目です。セット数を3セットにおさえることでトレーニング時間が長引くのを防ぐことができます。

3ー3.ブルガリアンスクワット


ブルガリアンスクワットも中殿筋を鍛えるのにおすすめの種目です。ブルガリアンスクワットは片足立ちのようにして行うので、中殿筋の特別なはたらきである骨盤を平行にするはたらきにより中殿筋をより強く刺激することができます。中殿筋に刺激を与える方法は以下のとおりです。

①片足をベンチの上に乗せて、もう片方の足をベンチから1足分離れたところに置く
②正面から見て床に置いた足とベンチに置いた足を同じライン上にくるようにする
③つま先と膝とへそとみぞおちを正面に向ける
④骨盤を後ろに引きながら膝を曲げていく
⑤膝の角度が90度になったら床に置いた足と股関節と頭が一直線になるようにする

ブルガリアンスクワットは身体の捻れが起こりやすい種目です。肩の高さや骨盤の高さが左右均等になっているのを常に確認しながら動作を行うようにしましょう。

ブルガリアンスクワットの適切な回数・セット数

ブルガリアンスクワットの1セットの回数は10回にしておきましょう。回数が少なすぎると中殿筋へ刺激を与えるのが難しく、回数が多いとフォームが崩れやすく集中力も切らしやすくなるので間をとって10回に設定しましょう。

セット数は3セットにしておきましょう。ブルガリアンスクワットも片脚ずつ行う種目なので、あまり他セットで行ってしまうと集中力の低下を招き、トレーニングの質を大きく下げてしまう恐れがあるからです。ブルガリアンスクワットのセット数は3セットにしておきましょう。

4.中殿筋を重点的に鍛えたい人向けのトレーニングメニュー


筋肥大を目的とした場合、大殿筋の強化を抜かして中殿筋を重視して強化することはありません。なので、ここでは大殿筋を鍛えたうえで中殿筋にも強い刺激を与えることができるトレーニングメニューを紹介します。

シェルエクササイズ 20回ずつ
ワイドスタンスでのローバースクワット 8RM 5回 6セット インターバル3~5分
ヒップスラスト 10RM 10回 3セット インターバル3~5分(大殿筋狙い)
ラテラルスクワット( or ブルガリアンスクワット) 10回ずつ 3セット インターバル3~5分

最初にシェルエクササイズを準備運動として行いましょう。そこから、中殿筋を含めた臀筋群全体に強い刺激を与えるためにローバースクワットを行います。

ローバースクワットで刺激を与えてから、ヒップスラスト、ラテラルスクワット(orブルガリアンスクワット)の順番で行います。この順番だと使用重量が種目ごとに下がっていくので安全性が確保されます。

ラテラルスクワットとブルガリアンスクワットをセッションごとに交互に行い筋肉を混乱させるようにすると筋肥大に効果的なのでおすすめです。

まとめ

中殿筋を上手く発達させるためには、脚を外側に広げるだけでなく股関節を伸展させることも必要です。脚を外側に広げるだけでは活性化はできても筋肥大にいたるまでの刺激を中殿筋に与えることができません。

中殿筋へ筋肥大するような刺激を与えるために私が取り組んだのがラテラルスクワットです。ラテラルスクワットを継続して行ってモノにしてからは下半身のトレーニングの質が格段に良くなりました。

みなさんも中殿筋を発達させてよりよいトレーニングを行ってみてください。応援しています。

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編集長プロフィール

Bulkup theory編集長

Bulkup theory編集長

私は現在、IT企業で働きながら競技者としても活動していますが、本業が忙しい中で競技者として活動するためには「効果的で効率的な筋トレ」が非常に重要になってきます。このメディアでは現役の選手やパーソナルトレーナーと共に「最小限の努力で最大の成果」をモットーに高い成果を実現するための筋トレ情報を可能な限り科学的根拠を持って発信していきます。