ハムストリングスの種目をこなしているつもりでもなかなか発達しないという悩みを持っている人は多いと思います。そんなときはスティッフレッグドデッドリフトが有効です。
この記事ではスティッフレッグドデッドリフトの基本情報、バリエーション、理想的な動作、鍛えることができる部位、さらに効果的なトレーニングのための4つのポイントを紹介しています。
ぜひ、参考にしてみてください。
1.スティッフレッグドデッドリフトの基本情報
スティッフレッグドデッドリフトは脚を伸ばしきったまま股関節を使って上体を倒すことで太ももの裏や腰の筋肉を鍛える種目です。スティッフレッグドデッドリフトを実際に行う前にスティッフレッグドデッドリフトの基本情報をおさえておきましょう。
1ー1.ハムストリングスのストレッチ種目である
スティッフレッグドデッドリフトはハムストリングスのストレッチ種目です。ストレッチ種目とは筋肉が伸びているときに強い刺激が入る種目のことです。スティッフレッグドデッドリフトはハムストリングスのストレッチ種目の代表格と言える種目です。
ハムストリングスを鍛えるときはどうしても収縮メインの動作(デッドリフトや様々なレッグカール)が中心になってしまうものですが、スティッフレッグドデッドリフトをそこにプラスすることで筋肉のバランスを整えることができるようになります。筋肉のバランスが整うことで姿勢が崩れるのを防ぐことができます。
1ー2.中級者以上向けの種目である
スティッフレッグドデッドリフトは中級者以上向けの種目です。トレーニング初心者はハムストリングスに力を入れるのが難しくスティッフレッグドデッドリフトの感覚を理解できない可能性があるからです。初心者の人はレッグカールをやり込んでハムストリングスに力を入れる感覚を養いましょう。
スティッフレッグドデッドリフトはハムストリングスに力を入れる感覚さえモノにすれば絶大な効果を発揮します。実際に、日本のトップボディビルダーの中で脚を武器にしている人はほぼ全員スティッフレッグドデッドリフトをトレーニングメニューの中に入れています。
1ー3.軽い重量でも強い刺激を与えることができる
スティッフレッグドデッドリフトは軽い重量でも強い刺激を与えることができます。軽い重量で強い刺激を与えることができるので筋肉を追い込みたいときに重宝する種目です。また、軽い重量で行うので怪我のリスクを抑えた形でトレーニングができる点も大きな特徴です。
1ー4.股関節の動作のみで行う種目である
スティッフレッグドデッドリフトは股関節の動作のみで行う種目です。スティッフレッグドデッドリフトは股関節の動きのみに集中していればいいので、ハムストリングスの筋肉に焦点を当てたトレーニングが行いやすいという特徴を持っています。
また、スティッフレッグドデッドリフトは膝の曲げ伸ばしを行わないので、膝を曲げると痛い人がハムストリングスを鍛えるときは重宝します。膝を曲げなくてもハムストリングスを鍛えることができるのは大きな特徴です。
ちなみに、ルーマニアンデッドリフトは股関節中心のデッドリフトではあるのですが若干の膝関節の屈曲を伴います。その点でスティッフレッグドデッドリフトとルーマニアンデッドリフトは違います。
2.スティッフレッグドデッドリフトのバリエーション
スティッフレッグドデッドリフトには主に2つのバリエーションのものがあります。そのバリエーションごとの特徴を紹介します。
2ー1.バーベルで行うスティッフレッグドデッドリフト
バーベルで行うスティッフレッグドデッドリフトはダンベルに比べて動作が行いやすいことが特徴です。バーベルだと両手で1つのものを操作するので動作の修正が効きやすく初心者がスティッフレッグドデッドリフトを行うのに適しています。私がスティッフレッグドデッドリフトを紹介するときは基本バーベルのものを紹介します。
2ー2.ダンベルで行うスティッフレッグドデッドリフト
ダンベルで行うスティッフレッグドデッドリフトはセッティングが楽なことが特徴です。ダンベルをラックから外してまっすぐ立つだけでセッティングはほぼ終わります。時間がないときやパワーラックが開いていないときはダンベルで行うスティッフレッグドデッドリフトを試してみましょう。
ダンベルでのスティッフレッグドデッドリフトのデメリットは使用重量が上がるにつれて上背部のコントロールが難しくなってしまうことです。肩甲骨の位置をキープすることに意識が分散されてしまい本来鍛えたい部位であるハムストリングスや脊柱起立筋への刺激が減ってしまいます。使用重量には気を付けましょう。
3.スティッフレッグドデッドリフトの理想的な動作
ここではバーベルで行うスティッフレッグドデッドリフトの理想的な動作を解説します。
3ー1.セッティング時の3つのポイント
スティッフレッグドデッドリフトのセッティング時の3つのポイントを紹介します
セーフティーを脛の真中よりも下に設定する
スティッフレッグドデッドリフトを行う前にはセーフティーを脛の真中よりも下に設定しましょう。脛の真中よりも下過ぎると膝の動作が伴ってしまいスティッフレッグドデッドリフトではなくなってしまいます。そうなると鍛えたい部位への負荷が分散されてしまいコンセプトがブレてしまいます。
スティッフレッグドデッドリフトを行う前にセーフティーの位置は脛の真中よりも下に設定しましょう。
ラックの高さは直立したときの股関節の高さに設定する
スティッフレッグドデッドリフトを行う前に、ラックの高さは直立したときの股関節の高さに設定しましょう。股関節の高さにラックを設定することで最小限の労力でラックアップをすることができます。太ももの外側にある骨のでっぱりを目安にしてみてください。
グリップ幅は肩幅にする
スティッフレッグドデッドリフトを行うときはグリップ幅は肩幅にしておきましょう。グリップ幅が肩幅よりも狭いと不安定になり、肩幅よりもグリップ幅が広いと広背筋への刺激が増えて股関節への負荷が分散されてしまいます。グリップ幅は肩幅にしましょう。
3ー2.スタートポジション時の3つのポイント
スティッフレッグドデッドリフトのスタートポジションのときのポイントを3つ紹介します。
足幅を腰幅の広さにする
スティッフレッグドデッドリフトを行うときは足幅を腰幅の広さにしましょう。足幅を腰幅以上にしてしまうと負荷が臀部に逃げてしまいます。スティッフレッグドデッドリフトはハムストリングスを鍛えるための種目なので足幅を腰幅の広さにしましょう。
つま先を正面に向ける
スティッフレッグドデッドリフトを行うときはつま先を正面に向けて行うようにしましょう。つま先を正面に向けることでハムストリングスへの刺激を強くすることができます。スティッフレッグドデッドリフトはハムストリングスの種目なので、スティッフレッグドデッドリフトを行うときはつま先を正面に向けるようにしましょう。
脚全体に力を入れて脚を固める
スティッフレッグドデッドリフトを行う直前には脚全体に力を入れて脚を固めるようにしましょう。脚を固めることで股関節の動作に集中することができます。また、脚を固めることでハムストリングスにテンションがかかりバーベルを下ろすときにハムストリングスに強い刺激が入るようになります。
脚を固める感覚が掴めない人は膝をロックするように脚を伸ばしきってみましょう。そうすると脚の筋肉にテンションがかかっていることがわかります。ぜひ試してみてください。
3ー3.フィニッシュポジション時の3つのポイント
スティッフレッグドデッドリフトのフィニッシュポジションでのポイントを紹介します。
胴体が水平になるまで身体を倒す
スティッフレッグドデッドリフトのフィニッシュポジションは胴体が水平になるところまでです。これ以上胴体を倒してしまうとプレートが床に着いたり腰が曲がったりといったことになりフォームが乱れてしまいます。胴体が水平になるまで身体を倒していくようにしましょう。
股関節の柔軟性によっては脚を伸ばしたまま胴体が水平になるまで身体を倒すことができない人もいると思います。そういった人の場合はハムストリングスの柔軟性を高める努力をしつつ、フォームを保つことができる上体の角度まで下ろすよう心がけましょう。
踵に重心が乗るようにする
スティッフレッグドデッドリフトのフィニッシュポジションのところでは踵に重心がくるようにしましょう。踵に重心がくることでハムストリングスをより大きくストレッチすることができます。反対につま先重心だと腰が曲がったり脛に負荷が移ったりしてしまうので、踵に重心が乗るようなフォームを作り上げましょう。
フィニッシュポジションで1回止まる
スティッフレッグドデッドリフトのフィニッシュポジションで1回止まるようにしましょう。ハムストリングスがストレッチしているときに一時停止することでハムストリングスに強い刺激を与えることができます。このテクニックはハムストリングスに刺激を与えるのが不得意な人でも簡単に効かせることができるのでおすすめです。
4.スティッフレッグドデッドリフトで鍛えることができる部位
スティッフレッグドデッドリフトで鍛えることができる部位は大きく分けて2つあります。部位ごとに1つずつ紹介します。
4ー1.太ももの裏のハムストリングス
スティッフレッグドデッドリフトを行うことでハムストリングスを鍛えることができます。ハムストリングスとは太ももの裏側に筋肉群のことで骨盤や太ももの骨から脛の骨にまでついています。ハムストリングスが発達することで太ももの厚さを表現することができます。
スティッフレッグドデッドリフトで骨盤と脛の位置を遠ざけることでハムストリングスに強い刺激が入ります。スティッフレッグドデッドリフトは基本的にはハムストリングスを鍛えるための種目なので、ハムストリングス以外への負荷は2の次と考えるようにしましょう。
4ー2.背骨を支える脊柱起立筋群
スティッフレッグドデッドリフトでは、ハムストリングスの他に脊柱起立筋群も鍛えることができます。スティッフレッグドデッドリフトは通常のデッドリフトよりも上体の前傾が大きくなるので脊柱起立筋群に刺激が入ります。
もし、ハムストリングスよりも脊柱起立筋群をメインに鍛えたいのであればグッドモーニングをおすすめします。なぜなら、スティッフレッグドデッドリフトよりもグッドモーニングのほうが脊柱起立筋群に強い刺激を与えることができるからです。
5.スティッフレッグドデッドリフトをさらに効果的に行うための4つのポイント
スティッフレッグドデッドリフトをさらに効果的に行うための4つのポイントを紹介します。
5ー1.底が薄くて硬いシューズを履く
スティッフレッグドデッドリフトを行うときは、底が薄くて硬いシューズを履いて行うようにしましょう。底が薄くて硬いシューズで行うことで安定した動作ができるようになります。インソールを抜いたスリッポンや鳶靴などがおすすめです。
反対に、ヒールが高いリフティングシューズやソールが柔らかいバスケットボールシューズは避けておきましょう。リフティングシューズだとハムストリングスのストレッチ感を感じるのが難しくなり、バスケットボールシューズだとソールが歪んで動作が安定しなくなってしまうからです。
5ー2.ストラップを着ける
スティッフレッグドデッドリフトを行うときはストラップを付けて行うと回数を稼ぐことができます。スティッフレッグドデッドリフトは通常のデッドリフトに比べて回数を多く行うべき種目なのでバーを握り続ける時間は回数の分だけ長くなります。握り続ける時間が長いと握力が低下してしまいフォームが崩れやすくなるのでストラップを着けるようにしましょう。
ストラップはトレーニングのアクセサリーの中では安価で長期間使えるので必ずゲットしておきましょう。
5ー3.重量よりも可動域を優先する
スティッフレッグドデッドリフトを行うときは重量よりも可動域を優先するようにしましょう。スティッフレッグドデッドリフトはストレッチ種目なので、いかに筋肉を伸ばすことができるかが重要な項目になります。重量を増やして筋肉をストレッチできないよりは、重量を減らして筋肉をストレッチできるようにしたほうが効果的なトレーニングができます。
5ー4.ハムストリングスの柔軟性を確保しておく
スティッフレッグドデッドリフトを行う前にはハムストリングスの柔軟性を確保しておきましょう。スティッフレッグドデッドリフトはハムストリングスをストレッチさせて刺激を与える種目です。そのハムストリングスが伸びないとトレーニング効果が半減してしまいます。
また、ハムストリングスの柔軟性を確保しておくことでハムストリングスの怪我を予防することができます。ハムストリングスは1度痛めてしまうと癖になりやすいので必ず予防するようにしましょう。ハムストリングスの柔軟性を確保するためにはスモウスクワットストレッチを試してみましょう。方法は以下のとおりです。
②膝を外に開きながらしゃがんでつま先を掴む
③つま先を持ったまま脚を伸ばす
④息を吸いながらしゃがむ
スモウスクワットはトレーニング前に20回ほど行いましょう。もし、柔軟性に自信がない人は足首を持って行いましょう。スモウスクワットを行うことで股関節の動きがよくなりスティッフレッグドデッドリフトの質が上がります。ぜひ、試してみましょう。
まとめ
スティッフレッグドデッドリフトは効果が高いわりにあまり行っている人を見かけない種目です。腰が深刻な状態ではない限り、スティッフレッグドデッドリフトは脚のトレーニングメニューに入れるべき種目です。
スティッフレッグドデッドリフトはハムストリングスのストレッチ感を掴むには最適な種目なのでぜひ試してみてください。応援しています。
コメント