フェイスプルの正しいフォームと効果的に三角筋後部に効かせるポイント

逆三角形の体を作るには、肩の筋肉が欠かせません。そこで三角筋のトレーニングを取り入れてみたものの、三角筋前部と中部は発達しやすいのに比べ、後部がなかなか発達せず悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
今回は三角筋後部を効率よく発達させるためにオススメな種目・フェイスプルを紹介していきます。
フェイスプルの基本的な情報から正しいフォーム、そして効かせ方のポイントまで徹底的に解説していきますので、この記事を読ん大きなリアデルトを手に入れましょう!

1.フェイスプルとは?フェイスプルの基本情報

フェイスプルの基本情報フェイスプルとはケーブルマシンとロープを使い、顔に向かって重りを引くことで三角筋後部を鍛える種目です。肘関節と肩関を動員するコンパウンド種目(多関節種目)に該当します。

あまりメジャーなトレーニング種目ではないため取り入れていない方も多いかと思いますが、実はエドワード加藤選手など、国内トップフィジーカーも自身のボディメイクに取り入れている人気種目です。

1-1.フェイスプルで大きなリアデルトを手に入れろ!

フェイスプルで大きなリアデルトを手に入れろ!フェイスプルで鍛えることができるのは、僧帽筋や広背筋、三角筋後部です。
しかし、フェイスプルはロープを使うため握力の関係で高重量を扱うことが難しいという特徴があります。
また、僧帽筋や広背筋を鍛える種目は他にもたくさんあるため、ここでは三角筋後部に絞って解説していきます。

三角筋は上の図のように三角筋前部(赤)・中部(緑)・後部(紫)に分かれており、フェイスプルではこのうち三角筋後部(緑)を鍛えることができます。

1-2.フェイスプルで三角筋後部をピンポイントに収縮!

フェイスプルで三角筋後部をピンポイントに収縮!フェイスプルは、POF法(ミッドレンジ、ストレッチ、コントラクトなどすべての可動域で対象部位へと負荷をかける方法)に当てはめると、コントラクト種目に該当します。コントラクトとは、筋肉が収縮した際にもっとも負荷をかけることができる収縮種目です。

三角筋後部の代表的なトレーニングとしてリアレイズをあげることができますが、リアレイズでは三角筋後部を使用している感覚を掴むことはできますが収縮感は感じづらいという方が多いのではないでしょうか。

リアレイズで収縮感を得るために、インクラインベンチに横向きになって行うインクラインライイングリアレイズを行うのもオススメですが、これは片手ずつ行うため手間がかかりますし、トレーニング初心者にはフォームが難しいという課題もあります。

その点フェイスプルでは、ピンポイントで三角筋後部を収縮させ、ケーブルを使っているため常に負荷をかけ続けることができるという利点があります。

1-3.三角筋後部は低重量高回数が筋肥大に効果的!

三角筋後部は低重量高回数が筋肥大に効果的!

筋肉には平行筋(筋繊維が平行に並んでおり収縮スピードは早いがパワーが弱い)と羽状筋(筋繊維が斜めに並んでおり収縮スピードは遅いがパワーが強い)がありますが、このうち三角筋後部は平行筋に該当します。

平行筋を代表する筋肉には上腕二頭筋があります。平行筋は低重量高回数、高重量低回数のどちらが筋肥大に効果的なのかを調べる実験が行われました。

同実験ではトレーニング経験者を対象に「8-12レップスで3セット群」と「25-35レップスで3セット群」で比較したところ、上腕二頭筋は後者の方が筋肥大したと報告されています。※1

つまり、同じ平行筋である三角筋後部も低重量、高回数で行うことが筋肥大に効果的だということです。
また、そもそもフェイスプルでは高重量を扱いづらいという点があることからも三角筋後部の種目には最適な種目だといえます。

2.フェイスプルの正しいフォームを徹底解説!

ジムでもあまり行っている方がおらずフォームも難しいイメージがあるフェイスプルですが、実は他の三角筋後部の種目よりも比較的簡単です。

ここではフェイスプルの正しいフォーム手順を細かく解説していきます。

2-1.ケーブルマシンセッティング方法

①ケーブルの位置を自分の肩と同じ場所でセットします。
②ロープアタッチメントを装着します。

2-2.フォームの手順

①足を肩幅に開いて直立します。
②ロープのコブに小指側をつけ、手のひらで軽く握りこみます。握り方はオーバーグリップです。
③手の甲を上にし、プレートが少し浮いた状態になるまで後ろに下がります。この時、しっかりと胸を張りましょう。ここがスタートポジションです。
④左右のロープを開く意識で肘を外側に開き、顔の近くまで引き寄せていきます。
⑤両手が耳の横に来るまでロープを引ききります。この時に三角筋後部を最大収縮させます。ここがフィニッシュポジションになります。
⑥三角筋後部に常に負荷を感じながらゆっくりと同じ軌道で戻していき、肘が伸びきる直前で切り返します。

この動きを繰り返していきましょう。

3.フェイスプルで三角筋後部に効かせるコツと注意点

3-1.肩甲骨を下げた状態で外側に開き固定する

三角筋後部を鍛える際に一番ありがちなのが、僧帽筋にばかり刺激が入ってしまうことです。
フェイスプルは三角筋後部をピポイントで収縮させることができる種目ではありますが、フォームを間違うと他の三角筋種目同様に僧帽筋が関与してしまいます。

僧帽筋を関与させないためにも、動作中は常に肩甲骨を下制させて外転の状態を保ちましょう。
肩甲骨の下制とは、その名の通り肩甲骨を下に押し下げることです。イメージしづらい方は、肩を下げた状態で胸を張ると解剖学的に自動で肩甲骨が下制されますので、試してみてください。

そして下制させた状態で外側に広げる(外転)ことにより、肩甲骨が固定されます。

僧帽筋が関与するのは肩甲骨が動く時ですので、動作時に肩甲骨を固定してしまえば僧帽筋の関与が減り、三角筋後部へとピンポイントで効かせることができます。

3-2.肘で引くのではなく肩関節で引く

フェイスプルは肘関節と肩関節が関与するコンパウンド種目です。
しかし、肘で引こうとしてしまうと三角筋後部ではなく上腕二頭筋へ刺激が入ってしまいます。
あくまでも肩関節を引く動作がメインで、その動きに合わせて肘を曲げていきましょう。

三角筋後部の役割としては肩関節の伸展(腕を体側から後ろに引く動作)、外旋(小さく前習えした状態で上腕を外側に開く動作)、水平外転(上腕を外転=真横に挙げた状態で、後ろ側に水平に引いていく動作)があります。

フェイスプルでは、このうち肩関節の水平外転が行われています。
イメージとしては直立し、前を向いた状態で行うリアレイズです。

この水平外転を意識することにより、肩関節優位で動作を行うことができます。

3-3.最大収縮時に1秒静止

フェイスプルは収縮種目なので、いかに収縮を意識できるかが効かせるポイントとなります。
フェイスプルで最大収縮が起こるのはフィニッシュポジション、すなわちロープを引ききった時です。
この最大収縮時に1秒程度静止するようにしましょう。常に三角筋後部がギュっと収縮した状態をキープします。

これはピークコントラクションというトレーニング方法で、対象部位へより強い刺激を与えられるというメリットがあります。
ピークコントラクション法は高重量を扱う種目では活用できないため、そもそも重量をあまり扱えないフェイスプルとは相性がいい方法です。

また、三角筋後部の収縮を意識することによりマッスルコントロールが上手くなり、他の種目でも効かせやすくなります。

4.フェイスプルの適正重量とセットの組み方

フェイスプルはロープを使うため握力の関係上高重量を扱うことができません。
また、無理に高重量を扱おうとした場合は体幹部が重りに引っ張られてしまったり、三角筋後部だけではなく僧帽筋や広背筋の関与が高まってしまいます。

そのためフェイスプルは低重量で中〜高回数(20~25レップ)を行うようにしましょう。
まずは5キロなど軽い重量で三角筋後部へとしっかり効かすことをイメージし、慣れてきたら8~10キロでセットを組みましょう。

三角筋後部の筋肥大には低重量高回数がいいと説明しましたが、
筋力をアップさせるために低重量高回数だけではなく、少し重量をあげ通常の回数(8~12回)で行うなどなどさまざまな刺激を与えましょう。

また、フェイスプルは収縮種目のため、通常のダンベルリアレイズでミッドレンジ種目、ケーブルリアレイズでストレッチ種目を入れた後に行いましょう。

さまざまな角度から刺激を入れることにより、三角筋後部を効率よく発達させることができます。

まとめ

今回はフェイスプルの正しいフォームと効かせ方のコツ、そしてセットの組み方まで説明してきました。
フェイスプルを行う際は低重量で最大収縮を意識しましょう。
また、肩甲骨を固定、肘関節ではなく肩関節で動作を行うなど効かせ方のコツも紹介してきたので、ぜひ試してください。フェイスプルをマスターし、大きく発達した三角筋後部を手に入れましょう!

参考文献 ※1.山本義徳著『山本義徳業績集8-筋肥大・筋力向上のプログラミング』no.917

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編集長プロフィール

Bulkup theory編集長

Bulkup theory編集長

私は現在、IT企業で働きながら競技者としても活動していますが、本業が忙しい中で競技者として活動するためには「効果的で効率的な筋トレ」が非常に重要になってきます。このメディアでは現役の選手やパーソナルトレーナーと共に「最小限の努力で最大の成果」をモットーに高い成果を実現するための筋トレ情報を可能な限り科学的根拠を持って発信していきます。