リーンバルクの基本情報やリーンバルクの基本的な流れ、実際に行うときのポイント

食事

「リーンバルクとダーティバルクはどっちのほうがいいの?」「リーンバルクで本当に筋肥大できるんですか?」「リーンバルクの計算の仕方がわからない」

リーンバルクに関する疑問は様々です。

この記事では、リーンバルクの基本情報やリーンバルクの基本的な流れ、実際に行うときのポイントをわかりやすく紹介しています。ぜひ、参考にしてみてください。

1. リーンバルクとは

リーンバルク

リーンバルクはリーン(効率的)な食事をして行う増量法です。リーンバルクは、摂るカロリーと消費するカロリーとのバランスや各栄養素の適切なバランスを保った食事を行うことでリーンなバルクを手に入れることを目的としています。

1ー1. 体脂肪の増加を極力おさえた増量法である

リーンバルクは体脂肪の増加を極力おさえた増量法です。リーンバルクはカロリー収支や各栄養素のバランスを保った食事を行うので、一般的な増量法よりも体脂肪の蓄積が少なく減量幅を最小限におさえることができます。

1ー2. 筋肉量の増加が目に見えてわかる増量法である

リーンバルクの特徴のうちの1つに筋肉量の増加が目に見えてわかることが挙げられます。各栄養素のバランスを気にしないダーティバルクのような増量法だと減量するまで筋肉量が本当に増えているかがわかりません。クリーンバルクであれば体脂肪の増加をおさえているので筋肉の大きさを把握したまま増量をすることができます。

リーンバルクは増量幅が少ない不毛な増量方法と言われ続けていましたが、最近の研究だと体脂肪率が多すぎるとテストステロンという筋肥大に必要な物質の量が減って筋肥大のペースが遅くなってしまうというリーンバルクを支持するような研究結果が出ています。この結果を受けて、リーンバルクはこれからのフィットネス界の新しいスタンダードになるかもしれません。

1ー3. マックス重量が伸びる可能性がある

リーンバルクを行うことでマックス重量が伸びる人も中にはいます。栄養についてあまり気を使っていない人の場合、マックス重量が伸びることがあります。とにかく食べればいいんでしょ、という食生活で使用重量が伸びなくなった人はリーンバルクを行うことをおすすめします。

2. リーンバルクの対象者

リーンバルク 対象者

リーンバルクはいろいろな人におすすめの増量法です。

2ー1. 体脂肪の増加をおさえた増量がしたい人

リーンバルクは体脂肪の増加をおさえた増量がしたい人におすすめです。リーンバルクは消費するエネルギーよりも少しだけ多くのカロリーを毎日摂りながら筋肥大を目指す増量法です。体脂肪の増加をおさえて減量幅を小さくしたい人にはリーンバルクがおすすめです。

2ー2. 体脂肪率が15%以下の人

リーンバルクは体脂肪率が15%以下の人におすすめです。『BIGGER LEANER STRONGER』の著者であるマイク・マシューズは、体脂肪率が高すぎると筋肥大に必要な物質であるテストステロンの数値が落ちてしまうことや脂肪を貯蔵する物質であるエストロゲンの数値が高くなることを理由に体脂肪率が15%よりも上の人はバルクアップをするべきではないと主張しています。

3. リーンバルクを実践するときの流れ

流れ

それでは、リーンバルクを実際に行うときの流れについて解説します。

3ー1. 自分の基礎代謝を知る

リーンバルクで最初に行うべきなのが自分の基礎代謝を知ることです。自分の基礎代謝を知らないとカロリーのバランスをとることが難しいからです。これは通常の減量方法でも同じことがいえます。基礎代謝を知る方法は2つあり(キャッチマカードルとハリス・ベネディクト)、環境によって使い分ける必要があります。

3ー2. 1週間の活動をもとに活動代謝を計算する

基礎代謝を知ることができたら、次は活動代謝を計算しましょう。活動代謝は1週間の活動量をもとに計算していきます。1週間の活動量に合った係数を基礎代謝に掛けることで活動代謝を求めることができます。活動代謝を知ることで1日に摂取すべきカロリー量がわかります。

3ー3. 1日に摂取すべき栄養素の量を求める

活動代謝を計算したら、次は1日に摂取すべき栄養素の量を求めましょう。同じ摂取カロリーでもタンパク質が不足していては筋肉量を増やすことができません。1日に摂取すべきタンパク質量を計算してから他の栄養素(脂質・炭水化物)の適切な量を求めましょう。

3ー4. 自分の条件に合った食品を選択する

1日に摂取すべき栄養素の量が決まったら、最後に自分の条件に合った食品を選択しましょう。要は好きな食品の中から1日に摂取すべき栄養素が摂れるように色々な食品を組み合わせて計算していきます。

4. 基礎代謝の測定方法

基礎代謝

基礎代謝の測定方法は大きく分けて2つあります。それぞれの特徴を理解して今いる環境に合ったものを選びましょう。

4ー1. 体脂肪率を考慮するキャッチマカードル

基礎代謝を求める方法のうちの1つにキャッチマカードルがあります。キャッチマカードルの特徴は体脂肪率を考慮しているので体型ごとの基礎代謝がわかることです。キャッチマカードルのほうがこれから紹介するもう1つの方法よりも正確な基礎代謝の数値がわかります。方法は以下のとおりです。

基礎代謝量は37021.6×除脂肪体重(kg)で求めることができます。計算して出た数値が基礎代謝量(kcal)の値になります。

例)体重80kgKさんが体脂肪率15%の場合、
全体重から脂肪の量だけ引いて除脂肪体重を求めて: 80×(10.15)=68
計算式に除脂肪体重を代入して基礎代謝量を求めます: 37021.6×681839  答え 1839kcal  となります。
Kさんの基礎代謝量は1839kcalということがわかります。

ただし、計算式を見てわかるとおり、キャッチマカードルは体脂肪率を測定する設備がないと成り立たない方法です。体脂肪率が正確にわかる設備がある人はキャッチマカードルを選択しましょう。

最近の体脂肪率を測定する設備は大抵、体脂肪率と一緒に基礎代謝量も同時に出るものが大半なので計算式は無用の長物かもしれません。

4ー2. 体脂肪率を考慮しないハリス・ベネディクト

ハリス・ベネディクトは年齢と身長と体重を計算式に入れるだけでおおよその基礎代謝量を求める方法です。この方法だと身長と体重が同じであれば体脂肪率が違っていても同じ数値が出てくるので多少の誤差が出てしまうことがあります。それでも、体脂肪率を測定する設備がない場合ハリス・ベネディクトは1つの目安になります。計算方法は以下のとおりです。

男性: 66.4730+13.7516×体重(kg) +5.0033×身長(cm)-6.7550×年齢(歳)

女性: 655.0955+9.5634×体重(kg)+1.8496×身長(cm)-4.6756×年齢(歳)

ご覧のとおり計算式は複雑なので、ハリス・ベネディクトと検索して自動計算をしてくれるページで計算したほうが楽だったりします。

例)年齢31歳、身長188cm体重80kgKさん(男性)の基礎代謝量を計算すると
66.4730+13.4730×80(kg)+5.0033×188(cm)-6.7550×31(歳)≒1898  答え 1898kcal  となります。

ハリス・ベネディクトは欧米人を対象としているため、日本人にとってやや高めの数値が出る傾向にあります。

5. 活動代謝の計算方法

ダンベル

自分の基礎代謝量を把握したら、活動代謝を求めましょう。活動代謝を求めることで1日に摂るべきカロリー量がわかります。リーンバルクの教科書的な位置にある『BIGGER LEANER STRONGER』では以下のような計算方法を推奨しています。

1週間に13時間運動をしている人の活動代謝: 基礎代謝×1.2

1週間に46時間運動をしている人の活動代謝: 基礎代謝×1.35

1週間に6時間よりも多くの時間運動している人の活動代謝: 基礎代謝×1.5

例)先ほどのKさんが1週間につき5時間運動している場合でハリス・ベネディクトで計算した基礎代謝を使って計算すると、

1898×1.35=2562.3   答え 2562.3kcal がKさんの活動代謝ということになります。

6. PFCバランスの計算方法

計算方法

1日に摂るべきカロリー量がわかったら、その内訳を詰めていきます。PFCバランスの計算方法を解説します。

6ー1. PFCとは

PFCとは三大栄養素のアルファベットの頭文字を並べたものです。Pproteinでタンパク質、Ffatで脂質、Ccarbohydrateで炭水化物のことです。同じカロリー量でもPFCのバランスが異なることで身体作りがうまくいかなくなる可能性があります。適切なPFCバランスの食事を行うことがリーンバルクを成功させるためには必要です。

6ー2. 各栄養素ごとの1日の摂取量を計算する

1日に摂るべきカロリーがわかったら、次は各栄養素ごとの1日の摂取量を計算しましょう。リーンバルクの教科書的存在である『BIGGER LEANER STRONGER』ではリーンバルクをするときは以下のようなPFCバランスで行うことを推奨しています。

タンパク質: 体重1kgあたり2.2g

脂質:   体重1kgあたり0.8g

炭水化物: 体重1kgあたり4.4g

活動量によってはこれでは不足してしまったり反対に多すぎたりします。1週間で225450g程度増えていれば現時点でのカロリー摂取は適切にできています。また、体重計での結果だけでなく低血糖の状態になったらカロリーを増やすようにしましょう。目がチカチカしたらすぐにカロリーを摂りましょう。

7. 1日の栄養摂取例

食事

リーンバルクの1日の栄養の摂取例を紹介します。

7ー1. 500gのお肉と2合のごはんをベースに考える

まず、1日に摂るべき各栄養素の摂取量を計算します。体重80kgKさんを例に挙げると1日に摂るべき各栄養素の摂取量は以下のようになります。

タンパク質:80×2.2=176g
脂質:80×0.8=64g
炭水化物:80×4.4=352g

私がリーンバルクを行う場合、500gのお肉を軸に考える方法をとります。私はコンビニなどでも手に入りやすい鶏むね肉を軸に考えることが多いです。500gの鶏むね肉の栄養は以下のとおりです。

鶏むね肉 500g
タンパク質:111.5g
脂質:7.5g
炭水化物:0g

次に、炭水化物について考えます。炭水化物に関しては2合のご飯をベースに考えることが多いです。2合(660g)のご飯の栄養素は以下のとおりです。

ご飯 2合分
タンパク質:16.5g
脂質:2g
炭水化物:244.9g

1日に摂るべき各栄養素の摂取量から500gの鶏むね肉と2合のご飯を引いた数値は以下のようになります。

タンパク質:176-111.5-16.5=48g
脂質:64-7.5-2=54.5g
炭水化物:352-244.9=107.1g

鶏むね肉500g2合のごはんをベースにしてから、鶏むね肉と2合のご飯以外の栄養をどうやりくりしていくかを考えましょう。

7ー2. 良質な脂質を摂る

リーンバルクを行うときはなるべく良質な脂質を摂るようにしましょう。できれば、身体にいいとされているアボカドやナッツ類、魚類の油を摂るようにしましょう。個人的にはアボカドやナッツ類がおすすめです。アボカドなら2個、ナッツ類なら100gで脂質50gを確保することができます。

7ー3. プレワークアウトドリンクとポストワークアウトドリンクを活用する

食が少し細い人はプレワークアウトドリンクとポストワークアウトドリンクを活用してみましょう。トレーニングの前後にドリンクを作って摂ることで必要な栄養を確保します。プレワークアウトドリンクとポストワークアウトドリンクの例を紹介します。

プレワークアウトドリンク(トレーニング30分前)
タンパク質:3040g
マルトデキストリン:40g
ポストワークアウトドリンク(トレーニング直後)
タンパク質:3040g
マルトデキストリン:体重1kgあたり1g

吸収の速いホエイプロテインやマルトデキストリン(粉飴)を使って栄養を素早く摂るようにしましょう。

まとめ

リーンバルクはトレーニングの内容によっても若干の修正は必要です。脚のトレーニングの日はカロリーを多めに摂らないと低血糖の症状が出てしまうことがあります。そういったときは普段の食事やサプリメントでカロリーを多めに摂るようにしましょう。

リーンバルクは身体の変化を目視しやすいのでリーンバルクはモチベーションを維持しやすい増量法だと個人的には思います。食事の面ではタフさが求められますが慣れてくれば楽しくなってくることでしょう。そうなるまで頑張ってみてください。応援しています。

参考文献 Sabine Rohrmann,Meredith S.Shiels,Daid S.Lopez,Nader Rifai,William G.Nelson,Norma Kanarek,Eliseo Guallar,Andy Menke,Corinne E.Joshu,Manning Feinleib,Siobhan Sutcliffe,and Elizabeth A.Platz,”Body Fatness and Sex Steroid Hormone Concentrations in US Men:Results from NHANES Ⅲ,”Cancer cause and control 22,no.8(2011):1141-51.doi:10.1007/s10552-011-9790-z.

Sylvia Santosa and Michael D.Jensen,”Adipocyte Fatty Acid Storage Factors Enhance Subcutaneous Fat Storage in Postmenopausal Women,”Diabetes 62,no.3(2013):775-82.doi:10.2337/db12-0912

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Bulkup theory編集長

Bulkup theory編集長

私は現在、IT企業で働きながら競技者としても活動していますが、本業が忙しい中で競技者として活動するためには「効果的で効率的な筋トレ」が非常に重要になってきます。このメディアでは現役の選手やパーソナルトレーナーと共に「最小限の努力で最大の成果」をモットーに高い成果を実現するための筋トレ情報を可能な限り科学的根拠を持って発信していきます。